亀山湖をめぐって

たった一泊でも知らない土地で過ごして帰って来ると、ミニ浦島気分になる。
ダイソンを持つ手が重く、ああ、あの湯にもう一度入りたいと切に思う。
温泉をこんなに気に入るというのは、僕もようやく老人になったからかもしれないな。
やはり、大した仕事ではなくても、家事一切から解放されるのはいい気分だな、とトイレを掃除しながら思う。

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宿を出たのが9時半ごろだったか、湖に降りる道を尋ねると、昨夜到着したときに聞いたのと反対方向のように感じて、ええ、まあどっちでもいいや、と足任せで歩いて行くと、お寺があって、そこで手をあわせてさらに進むと、野の道が、山道にさしかかる。
こんなところから湖に降りるのか、それも面白いな、滑らないように気をつけて進む。

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が、どうもちがうようだ、このまま行ったら山一つ越えそう、で、方向転換して、人の家の畑の道に降りる。

人がいたら聞こうと思うが、静まり返っている。
どの家の入口にも野菊が咲いて、さんさんと日が降り注いで、真に平和な農村の佇まいを楽しむ。

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けっきょく、昨夜宿の男が「40分くらいで湖を一周できますよ」といった、その30分ほどミズウミどころか、ミズも見ずに歩いて、久留里街道に出た。

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スマホに教わって歩くとようやく亀山ダムにたどりつく。

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「亀山やすらぎ館」なるところでレンタサイクルの受付をしているおじさんが、図面をくれて(宿にはない)親切に「そう、90分くらいかかるかな、大変だったら、押込め橋の先で戻ってくれば、、」と送り出してくれた。

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観光地でくれる略図はいろんな見どころなんかをイラストで示しているけれど、最も大事な、そこに行くのにどこで道を曲がればいいのか、がはっきりしていない。
距離感もわからない。

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半世紀も前に名古屋鉄道管理局で営業部長をしていたときに、「駅からぶらり散歩」という企画を提案して、各駅の待合室に、その駅から行けるお寺とか見どころを描いた携帯用の略図を置かせた。
僕がひとりで、その略図だけを頼りに歩いたら、すぐ先だと思った曲がり角が10分も歩かなくてはならなかったり、三叉路のどっちに行くのかがわからなかったり、ようやく目指すお寺についたら、閉門時間だったり、、略図を作った人は分かっているから、初めて来た人にわかるような情報が欠落している。
自分自身でこの略図を見ながら、目的地に行ってみろ、と指示したことがある。

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亀山湖にも、かつての僕の部下みたいな人が多いらしい。
略図が分かりにくいうえに、実際の道にも、こぎれいな「湖周遊→」みたいな、看板があるけれど、肝心の曲がり角そのものになんの道標も整備されていない。

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「やすらぎ館」のオジサンが、教えてくれた「押込め橋」への曲がり角を見落としてしまった。

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しかし、迷いながら歩いたところに、美しいメタセコイヤや、紅葉が次々に現れて、なんの不満もない。

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亀山の在という道行くおばさんに確かめて、本来の道にはいると、山ヒルに注意という看板がある山道、おりから帽子が飛ばされそうな強風が吹いて、何十年ぶりかの登山気分も味わえた。

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誰も来ないのを幸いに、立ちションも何年ぶりだろう。

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押込め橋についたが、ここからまたあの山道の急坂を登っていくのは気がさしたので、先に前進すると、来た距離よりも短いくらいで、ダムの入口にもどれた。

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道端のグランピングの事務所で、バス停の場所とバスの時間を聞く。
小一時間あるので、やすらぎ館で聞いた蕎麦屋に向かう。

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二日続けてウマい蕎麦を食えてしあわせ、なのだが、バスの時間が気になって猛スピードで手繰る。

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蕎麦湯でのんびりは、ぜんじつ久留里で地酒とともに楽しんだから、今日は省略。
大急ぎでバス停に向かう、このとき、すでに15000歩を超えている。
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泊まった宿には壁に「紅葉狩りバスの旅」のポスター(時間表つき)があって、これでぐるっと回ってみようかと思って、そのバス停を聞くと「あれは去年ので、今年はやっていない」という(ポスターには一言もそんな表示がない)。
東京行きのバスの小さな時間表も貼ってあって、それをスマホで写して来たのを、拡大してみると、あと20分あるので大丈夫だと思ったのに、今改めてスマホで調べると、あと5分しかない、あの宿のは古い時刻表だったらしい。

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息せき切ってバス停につくと、なんとそこは千葉行きのバス停、千葉行きは直ぐにくる。
まあいいさ、千葉までバスで、そこから電車で帰ろう。
房総半島の内陸を車で走ったのは、千葉時代のゴルフへの行き帰り以来かな。
一日ゴルフで遊んで、千葉に近づくと、家の子供たちのことが想われて、一刻も早く家につかないかと、気がせいた。
ああ、うまい焼き豚を食わせるビニールハウスはこのあたりだったかな、などと変り映えがしないけど、変った千葉の街を見て千葉駅前に到着。

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あわてて駅ビルのトイレに飛び込んで、楽しかった千葉の旅のお終い。

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Commented by jyariko-2 at 2024-11-29 17:14
健脚なsaheiziさんにカンパイ🥂
Commented by Solar18 at 2024-11-29 18:26
素晴らしい紅葉、楽しませていただきました。
ポツダム周辺のハイキングガイドに従って歩いたら、目的地に着かなかった経験があります。周囲を知っている人が、全く知らない人に情報を伝えることがいかに難しいことか、と実感しました。
Commented by saheizi-inokori at 2024-11-29 18:41
> jyariko-2さん、ありがとう。
ふだん5000歩ちよつとなのに、この4日間一万歩超え、今日の散歩は5000歩に戻しましたが、支障なく歩けて自信がつきました。

Commented by saheizi-inokori at 2024-11-29 18:48
> Solar18さん、もつとも紅葉の遅い(関東?日本?)と言われている養老渓谷の近くなのでまだ早かったのです。
だからか閑散として、それがよかつたです。
知っている人は不要なものを無意識にカットして記憶するのに対して、初めての人はいろんなものが目に入ってくるから、注意深い人の方がかえって迷うということもあるのかもしれませんね。
Commented by ikuohasegawa at 2024-11-30 06:19
いい旅をされましたね。
「押込橋」を渡ってすぐのゴルフ場は、お安いのでよく行っていました。懐かしいです。

「略図を作った人は分かっているから、初めて来た人にわかるような情報が欠落している」
肝に銘じておきます。

Commented by open-mind1109 at 2024-11-30 09:22
略図や標識があてにならないと思ったこと、あるあるです。
一日一万歩以上歩けるって立派ですね!
歩くことで見られる景色の画像が季節感満載で感動しました。
Commented by saheizi-inokori at 2024-11-30 11:36
> ikuohasegawaさん、ゴルフ場の看板が多かったです。
地方にいってレンタカーを借りてあちこち遊んだ帰りに、意外に駅のありかの案内が不足していて、焦ったことがありました。
あれも、その口かもしれないです。
Commented by saheizi-inokori at 2024-11-30 11:41
> open-mind1109さん、こういうところを独りで歩くのは、ほんとにいいものです。
歩けることに感謝します。
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by saheizi-inokori | 2024-11-29 12:30 | こんなところがあったよ | Trackback | Comments(8)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori