百年前と変わらない

公園に大量の自転車があるのを訝しく思ってガードウーマンに尋ねたら、お祭りなんだって、散歩のコースを曲げて行くと、

氷水はチト寒いかと思つたが、子どもたちにはカンケーネー。

一本900円もする（あまりうまそうじやない）肉の串も売れていた。

今日の散歩で、二軒の閉店休業らしき店をみた。

お任せコース、一万円前後の二つで勝負して、学生相手の安い店が多いこのあたりで大丈夫かと案じていたミニ割烹、二年ももつたろうか。

もう一軒は個性的なアウトドア衣料の店、これもすっかりなくなって改装工事中。

一キロちよつと離れた商店街も月末にお祭り、寄付名簿が貼り出されていた。

二千円やコカ・コーラもあるのがウレシイ。

手書きの看板、上から別の文字が貼りたしてある。

去年のを使い回ししたのかな。

雨は大丈夫か？よその洗濯物まで気になる洗濯爺。

ひと回りして戻ってきたら、おりしも神輿がワッショイワッショイ！

アベ派と決別を覚悟したか石破神輿の行く末も気になるね。

僕は子どもの頃、こういう祭で遊んだ記憶がない。

ましてオヤジにテングルマしてもらったこともない。

サエが幼い頃、桜新町のねぶたを見るのに、長男にテングルマしてもらっていたことを思い出した。

このオジイさん、ここで育ったのだろうか。

どんな人生だったのだろうか。

「地震と虐殺」を少しだけ読んだ。

関東大震災発生の二日後、治安トップの内務省警保局長、後藤文夫は、船橋送信所から各地方長官（知事）に宛て、以下のような電文を送信した。

「東京付近ノ震災ヲ利用シ、不逞ノ目的ヲ遂行セントシ、現ニ東京市内ニ於テ爆弾ヲ所持シ、石油ヲ注ギテ放火スルモノアリ。既ニ東京府下ニハ一部戒厳令ヲ施行シタルガ故ニ、各地ニ於テ充分周密ナル視察ヲ加へ、鮮人ノ行動ニ対シテハ厳密ナル取締ヲ加ヘラレタシ」

まつたく根拠のないデマを政府が流布し、取り締まりを煽ったのだ。

この電文は前日、即ち震災の翌日用意され、陸軍兵により船橋送信所に運ばれた。

この電文に接した送信所所長は、「東京に於ける鮮人の暴動を知り敵愾心愈々高し」と日報に記している。

小池都知事の「朝鮮人虐殺の事実は（今後）歴史家が紐解くもの」とか松野官房長官の「記録が見当たらない」などの発言の不当性がはっきりするとともに、こういう記録があるからこそ、虐殺の事実そのものを無かったことにしなければ、政府の責任が追及されると考えたのかもしれない。

僕が強調したいのは、お上＝政府というものは、必要と認めれば、根拠のないデマをでっち上げて国民の差別偏見を煽って、自らも手を添えて殺戮行為に駆りたてることがあり得るということ。

それは百年前の政府に特有の限定的な現象とは、決して言えないということだ。

小池都知事や松野官房長官が、平然と朝鮮人虐殺の事実を事実であると知りながら否定したのは、その本質において、百年前の政府の行為と同じ行為だ。

だからこそ、小池都知事の言動に接した、在日朝鮮人が「朝鮮人は二度殺された」と述懐したのだ。

森友問題や治安立法や統一協会問題どころか、裏金問題ですら、もう昔の話、もう済んだことにしようとしている人たちなら、百年前の、まして日本人ではない朝鮮人が殺された話なんか、あつたかなかつたかなんて、どうでもいいじゃないか、それより韓国や北朝鮮に弱みを作らないことが国益に叶う、なんて考えるかもしれない。

だがしかし、繰り返すけれど、百年前の話ではないのだ。

今僕たちの命と暮らしを守るべき、東京都知事や政府が、事実を無かったことにすることによつて、ふたたび殺戮行為に加担している。

その恐ろしさを感じる。