歴史を改変する自民党
2024年 10月 05日
お位牌を丁寧に拭いた。
きのうは等々力に出て、間違い探し。
二度ほど入ったことのある蕎麦やが鉄板焼きの店に変っている。
「保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである」、先ごろ63歳で亡くなった福田和也の最後のエッセイ集の題名だという。
小さな和菓子屋が消えている、と思ったが、これはずいぶん前の出来事だった。
等々力渓谷の入口の豆腐やだったところが、透けて見えるカフエになっている。
こうした変化が僕の旅行以前にあったはずなのに、ぼんやり歩いていたから気がつかなかったのだ。
等々力渓谷は相変わらず通行禁止、樹木が倒れてくる恐れがあるのだ。
気がつく変化も気がつかない変化も、無慈悲に進行していつのまにか町の相貌を驚くほど変えてしまう。
せんじつバス停で遇ったマダムが、尾山台や桜新町にくらべて等々力は、大地主たちのせいで街が発展しないのよ、といっていたが、変化はしている。
そのマダムによれば、この、前は中華料理屋が最近高級鰻やとして新装開業した店は、名古屋のように鰻を焼くのだそうだ。
ためして見たくても高すぎて手が出ないな。
「地震と虐殺 1923ー2024」、読みつづけてよかった。
きのう読んだなかで、ここに書いておかなければならないこと。
関東大震災のあとに起きた朝鮮人などの虐殺が多くの人に知られるようになったのは、絹田幸恵という小学校の教員が、生徒の質問に答えるために荒川放水路の歴史を調査している際に、虐殺された朝鮮人たちが荒川の土手から蹴落とされたところを目撃した老人から、その話を聞き「お経でもあげてくれれば供養になるのだが」といわれて、遺骨を見つける活動を始めたことがきっかけだった。
彼女の活動が多くの人を巻きこみ、人生をも変えていく。
多くの証言が寄せられ、とうじの警察が証拠隠滅の命令のもと、遺骨を始末していたことも判明する。
73年、美濃部都知事のときに、横網公園に追悼碑が建立され、翌年から「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」も行われ、知事は追悼のメッセージを寄せた。
2017年、小池百合子都知事は、恒例となっていた追悼文の送付をやめる。
「関東大震災で亡くなったすべての方々に追悼の意を表したい」と、同じ日の「大法要」に寄せるメッセージで朝鮮人たちの追悼も済ませる意向をしめしたが、彼らは地震という自然災害の被害者ではなく、震災を生き延びたにもかかわらず人の手で殺されたのであって、知事のいうことは意味をなさない。
被害者の慰霊を行う人は「朝鮮人たちは二度殺された」と受け取った。
ここまでは僕も知っていた。
本書は、さらに小池知事の行為が、そのごどういう影響をもたらしたか、彼女の行為によって、都の役人や区会議員という立場の人たちが、まるで操り人形のように主体性をうしなって、市民の表現の自由を奪い、歴史の改竄、記憶の改変に突っ走っていることを明らかにしている。
2022年に開催された、東京都の外郭団体、公益社団法人・東京都人権啓発センターが運営する「東京都人権プラザ」で、飯山由貴の企画展「あなたの本当の家を探しにいく」において、飯山が上映しようとした短編映画を、東京都の人権部は上映禁止にしたのだ。
その理由について本書には三点記されているが、ここではその一つを引く。
人権部からのメールだ。
関東大震災での朝鮮人大虐殺について、(映画のなかの)インタビュー内で「日本人が朝鮮人を殺したのは事実」(東大教授・外村大)と言っています。これに対して都ではこの歴史認識について言及をしていません。小池知事は毎年9月1日に行われる朝鮮人大虐殺追悼祭について、都知事として追悼文を発出しておらず、これに対しての世論を騒がせています。都知事がこうした立場をとっているにも関わらず、朝鮮人虐殺を「事実」と発言する動画を使用することに懸念があります。朝鮮人虐殺が事実ではないかのごとき発言、それがこともあろうに、人権部の行為であることには衝撃を感じる。
もうひとつは、2023年12月の参院内閣委における松野官房長官の「調査した限りでは政府内に(朝鮮人虐殺について)事実関係を把握できる記録が見当たらない」との発言を受けて、杉並区議会本会議において、わたなべ友貴・自民党議員が、区施設における「関東大震災100年事業」パネル展示に、朝鮮人虐殺の事実が説明されていたことをもって、「区が国と異なる見解をイベントで掲示することの正当性」を岸本区長に糺し、同じく自民党の吉田あい議員も「都知事や官房長官の見解に反していいのか」という趣旨の質問を行った。
これに対する岸本区長の答弁は次の通りだ。
過去の間違いから学ぶということ、それが私たち、現代を生きる私たちの使命だと思います。当たり前のことを云ったに過ぎない岸本区長の答弁が、きわだって毅然とした、優れた答弁としなければならない、そんな国に東京都になってしまったのだろうか。
官房長官の見解とございましたけれど、内閣府傘下の中央防災会議(会長は当時の首相・麻生)は2009年3月に災害の継承に関する専門調査報告書関東大震災第二編を発表し、その中で、殺傷事件の発生、朝鮮人虐殺について詳しい内容が載っております。
ここには、関東大震災のときには、官憲、そして被災者周辺住民による殺傷行為が多数発生しましたという報告書が出ております。こういったこともきちんと直視しなければならないと考えております。
そして、国の見解が時代によって変わるということもありますけれど、そもそも自治体は国の下部組織ではございませんので、自治体は私たちの判断をきちんとしていくべきだと思います。
追悼祭のかたわらで、ヘイトスピーチをがなりたてる連中は、朝鮮人の虐殺そのものがなかったというらしい。
自民党の議員たちもそう思っているのだろうか。
石川・輪島市 82歳男性
— akiu (@a_k_i_u_) October 4, 2024
『政治家の人になんも言うことない。言うたからってその政治家が良くしてくれるっていうなら来て良くしてくれたらいいよ。政治家の先生方はどういう思いでおるか知らんけどね。私らはもう疲れ果てた』涙 こんな事言わすなよ自民党政権#報道1930 pic.twitter.com/07fuCnxu0g
それでも覚悟はできない、為政者が本来の努めを放棄しているため劣悪な環境に放り出されるから。
今現在海に沈みつつある南の島国が国民を生き残らせるためにあれこれ施策を打っている、日本より貧しい国々。
戦後殆どの期間、経済大国だった日本は国民のために何をした?考える期間はあったはず。
今になって「カネが無い」と逃げ口上、こういうのを普通詐欺師という。
戦争末期と同じ、国民を放り出して自分たちだけ逃げ出す準備でもしているとしか思えない。
人為的に日本を破壊する原発、地震津波などによる破壊、地球温暖化による破壊、犠牲を負うのが一般庶民の役目とでも思っているのか。
子孫には安心の人生を送らせたい、そう思う国民が自民党に投票することは矛盾の極み。
幾ら札束を追いかけても自然は買収できない。
天変地異だけでなく、原発や戦争を使ってでも国民を苦しめたいのは誰か、まだ分からないとは言わせない。
今、心の奥が凄く怒っています。
元は福田恆存らしいですね。
恆存は飯の食い方からして自国には自国の文化がある。
命がけでそれを守ることが大事だ、とも述べていました。
さて、政権与党において保守・タカ派議員を中心に出ていく動きがあるようです。
已む無くまとめるために早期解散・総選挙にした、と消息通が・・・
自民党議員に対する答弁に岸本区長の揺るぎない信念が現れていると思います。映画「⚪︎月⚪︎日、区長になる女。」の中で「日本の民主主義を育てたいとずっと思ってきた」という呟きがとても印象的でした。地方自治体の政治を市民の手で変えることで国の政治を変えていくことができるという希望が少しだけ見えた気がします。
「地震と虐殺」は私の読もうと思う本のリストに入っています。いつか読みます。
それにしても、区会議員とか都会議員のなかに低劣な議員がいることに驚きます。
兵庫県はどうだろう、こういう輩が多いとすれば知事が切れるのも少しはわかります。
おねだりは別ですが。