お蚕のいた家

けさは目覚ましをかけていた。
いつもはそんなものはなくても起きられるけれど、いつもじやないときに限って寝過ごすことは、きつと僕だけじゃないと思う。
ところが、目覚まし時計を見ながらもう5分もうちょっと、そろそろ起き上がろうとしたら、セットした覚えのないスマホが鳴るではないか。
勝手にAI化してきたスマホ。

お蚕のいた家_e0016828_08225687.jpg

早起きはラジオ体操ではありません。
珍しくもない循環器内科の月例診察、それと午後から歯医者のダブルヘッダー、さらに場合によつては近所の内科で先日の内視鏡検査で(念のため)採取した組織の分析結果を聞きにもいかなければならない。
異常なしと電話で伝えてくれることを祈るぜ。

ほい、しまった!
祈るで気がついた。
出かけるまぎわまで、頭にあつた仏壇に手を合わせるのを、あと一分、バスがくる!で飛び出してしまつた。
ルーティンの手順が崩れるときは気をつけるって書いたばかりじやん。
病院のロビーで目を瞑って手を合わせる。

お蚕のいた家_e0016828_08282400.jpg

祖母の歌。
盆灯籠丁寧に仕舞ひけり来む夏は誰が開くにやあらむ
亡くなる5年前の歌。
僕が中学生になったかならぬかの頃、夏休みに逢いに行って、二人で差出の磯に遊んだときも、「来年も生きていたら来ようね」といって、父以外の人は死なないような錯覚をしていた僕を驚かせた。
このままに乗りて長野に降りたかり父なき孫とその母住めば
日下部駅、いまは山梨市駅も祖母が下宿している家(新ちゃんこと中沢新一氏の生家にして郷土史家・中沢厚氏の家、豪農の大きな屋敷の片隅の一部屋を借りていた、隣りの座敷に蚕の棚が置いてあって、時期にはさわさわと蚕が桑の葉を食う音が聞こえた)から近かった。
こういうことを書いていると無性にあの小さな駅に行ってみたくなる。

お蚕のいた家_e0016828_08292117.jpg

母の句。
夏鶯展望台に靄立ち来
どこの展望台だったのだろう。
亡妻が亡くなる年の句だから、僕はいっしょではない。
近所の散歩道に大地主の畑や林があって(↑)、今もよく鶯が啼いている。
こんどから、あそこを通るときは母のことを思うことにしよう。

Commented by りんご at 2024-07-16 18:52 x

ロビーで目を瞑って手を合わせるsaheiziさん。見護られていますね いつもどこでも
「盆灯籠丁寧に仕舞ひけり来む夏は。。」「長野に降りたかり父なき孫とその母住めば」と心に
沁み入る句を読ませて頂き思いました 昨日はすみません 懲りずチェロの演奏を添付
させて頂きます。。ひとり娘と会う事叶わぬ露のご両親がご覧になれている事を願いつつ
      https://www.youtube.com/watch?v=hnMEnhvPZkE     
Commented by saheizi-inokori at 2024-07-16 21:59
> りんごさん、ありがとう。「ひとり娘とあうこと叶わぬ、、」?
Commented at 2024-07-17 00:29 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2024-07-17 11:19
> 鍵コメさん、ありがとう。よくわかりました。
きのう遅く帰ったので動画はこれから^^。
Commented by めぐ at 2024-07-17 14:05 x
夏鶯展望台に靄立ち来

先日のノルディックウォークでこういう場面がありました。雨が上がって歩いていたのですが この季節の美しさは山きわから立ち上る靄と水をたっぷり含んだ景色、それにラップをかけたようでさすがに汗をかいて疲れました。
でもこの句に出会えて行ってよかったです。 ありがとうございます。

日曜日出かける前に録画予約したサンジャポとか色々見て 古市氏の意見を叩いているネットを読んでまた疲れました。一方聞いて沙汰するのは公平ではないと色々な意見を読んでみたのですが、石丸氏がインタビューで尊敬する政治家は シンガポールの初代首相リークワンユーだと言ったので納得しました。
客家の出身者 とても教育を重んじる。大卒女性にどんどん結婚を薦めて優秀な子供を増やしたそうです。

それから 石丸構文を分析していた 古舘氏ニュースステーションのやたら声の大きくてプロレスの中継して多人の言い分も読んでなるほどそうなのか!
石丸信者とそれを嫌う人の言い分それぞれがエコーチェンバーみたいですね。
昨日はぼ〜っと山の郵便配達の映画を見て山道の険しさと美しさ、棚田の手入れの大変さを思いました。今日は、マーガレット サッチャー 
出る杭は打たれるけど怯まず進む。 今朝放送大学で経済のお話をしてました。
リーダーって孤独。
Commented by saheizi-inokori at 2024-07-17 14:56
> めぐさん、母の句をそのように感じていただき嬉しいです。
私はもう石丸には興味がなくなりました。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2024-07-16 08:59 | わが母と祖母の遺したまいしうた | Trackback | Comments(6)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31