病院のはざまで(馬事公苑 ~三茶)

早起きは三文の徳というほどの早起きでもないけれど、早く行くと先生は早く診てくれて、9時半には薬局も済ませて、さあ、今日は午後の歯科医までどうすべえか。

買うつもりはないけど、本屋を覗こう、行ってみるとTSUTAYAのあったところがガランと空き家になつている。

病院のはざまで(馬事公苑 ~三茶)_e0016828_18391585.jpg

ここに来ると必ず寄るのが東京農大の「食と農の博物館」、今日は「美しき土壌の世界」展、なんと、さまざまな土壌を剥ぎ取って標本を展示していた。
下は長野県王滝村の「普通ポラゾル」、小学校の時の先生が校長になつたところ、御嶽海の出身地でもあつたかな。

病院のはざまで(馬事公苑 ~三茶)_e0016828_18423231.jpg

天理市新泉町の「野神祭り」は、5月5日に子供主役で農事を祀る。
麦わらで作った牛や馬が田畑を耕す。
病院のはざまで(馬事公苑 ~三茶)_e0016828_18313298.jpg

馬事公苑にもよらなくては。
煉瓦職人・高山登志彦作のおんまの親子が迎えてくれる。
病院のはざまで(馬事公苑 ~三茶)_e0016828_18513050.jpg

この前は入らなかった本館に。
立派な建物、清掃の人のほかは老人がひとり、カフエのコーヒーを飲みながら本を読んでいる。
僕はまだ喉が渇かないので、次回またということにする。
二階はレストランだけど、今日は振替月曜日で休業だ。
病院のはざまで(馬事公苑 ~三茶)_e0016828_18522801.jpg

バスに乗って三茶へ。
11時半、ちょっと早い昼飯、うまそうに思ったのに、肉の味がイマイチなのが残念。
うどんは硬く打った手打ち。
つい牡蠣の天ぷらを頼んでしまう。
牡蠣に対する絶対的飢餓感があるのだ、亜鉛欠乏かな。
病院のはざまで(馬事公苑 ~三茶)_e0016828_18540858.jpg

ちょっと歩いてカフエで、ミルクコーヒーを飲みながら、「喫茶店文学傑作選」(林哲夫)をとびとびに読む。
冒頭の漱石「野分(抄)」は半分で辞めて、水野仙子「散歩」の古いようで永遠の真実でもある屈託した夫婦の心理描写、谷崎精二「カフエ―の話」のユーモア、中戸川吉ニ「アップルパイ、ワン!」、カフエパウリスタで遭遇した紅顔の中学生の描写、植草甚一「東京に喫茶店が二百軒しかなかったころ」はあの植草節が楽しい。
田村泰次郎「銀座周辺」に登場する作家たちの横顔に懐かしさを覚える。

窓の外をサッカーボールを蹴りあいながら歩いていく青年(少年?)二人、ビックリするようなダンデイな着こなしのオッサン、真っ黒の上下のスーツとリュックに身を固めたサラリーマン、嬉しそうに腕を組んで向かいのカフエに入るカップル、、僕に文才ありせば、一篇のカフエ文学をものすところだ。
猫額洞さんに教えられた本だ。
病院のはざまで(馬事公苑 ~三茶)_e0016828_19023914.jpg

少し早いけど、クリニックで歯を磨こうと、行ってみたら2時5分前、早めに来ちゃいましたというと、受付の女性が怪訝な顔、2時予約だった。
勝手に3時だと思い込んでいた、危うくセーフ。
メモ帳にはちゃんとそう書いてあるのに、時間がたっぷりあるからと確認もしなかったのだ(リュックの奥から手帳を取り出すのが億劫で)
病院のはざまで(馬事公苑 ~三茶)_e0016828_19034707.jpg
霧雨に濡れたバラは、歯科医の庭にいろんな種類が咲いて、室内のクラシックとともに歯医者シックを和らげてくれるのだ。
Commented by yoko68 at 2024-05-08 17:04
いえいえ、佐平次さんは文章がとてもお上手で毎回ブログを楽しみにしています。
わたしの知らない言葉が随所に出てくるので調べながら読み進めています。
わたしから言わせると言葉を操る能力が優れていらっしゃるのだなと羨ましいです。
Commented by jyon-non3 at 2024-05-08 17:48
今日も愉しい記事をありがとうございます。

おんまの親子像に胸がキュンとなります。

雨に濡れた紫色の薔薇の美しい事。

どうしてこんなに綺麗でエレガントなんんでしょう。・・・

植草さんのご本楽しそうです。

サヘイジs難が詠みやすいと仰っていた御本・・

地元の図書館になくて県立図書館から取り寄せてもらっていますがまだ来ないところです。(^^♪



Commented by saheizi-inokori at 2024-05-08 18:28
> yoko68さん、意識的にいろんな言葉を探して使ってみようと思っています。その割にボキャ貧なことは承知の上です。
自分なりに認知症の予防にもなるかと。
Commented by saheizi-inokori at 2024-05-08 18:34
> jyon-non3さん、世田谷区の図書館もいくつかある図書館の在庫から回送してくれます。メールで到着を教えてくれるのはそちらも同じでしょうね。
Commented by gakis-room at 2024-05-08 22:01
新泉町(にいずみちょう)の「野神祭り」は聞いてはいますが,まだ見たことはありません。
新泉町だけでなく,県内のいくつかのところで「野神行事」が行われているようです。
Commented by norakoubou at 2024-05-08 22:07
毎日記事と写真を見るのがとても楽しみです。本を読む楽しみにも似て。
本と言えば、昨日図書館に行ったら「アメリカーナ」があったのでさっそく借りてきました。あと韓国の作家の本も二冊。読書の幅が広がり感謝してます。今まで書いてたブログがなぜか使えなくなり、新たにexに作りました。で、佐平治さんの真似をして写真をアップするようにして、でもまだ慣れなくてスムーズじゃないのですが、新鮮な気分を味わっています。いいことはマネすることにして。(野羅)
Commented by at 2024-05-09 06:26
JJ氏こと植草甚一は珈琲と古本とジャズという三題噺で、
エッセイを書き連ね、神保町はそのメッカとなりました。
若者がこぞってその都会風なライフスタイルを真似したんですが、
かくいう僕もその一人です。
Commented by saheizi-inokori at 2024-05-09 09:30
> gakis-roomさん、ありがとう。
この説明を読んだとき、すぐにあなたのことを思い浮かべましたよ。
お近くなのかなあ。ご覧になったことがないとおっしゃるのは離れたところかもしれないですね。
今でも子供たちが農事の祭りの主役なんて、面白そうです。
Commented by saheizi-inokori at 2024-05-09 09:33
> norakoubouさん、拙ブログがお役に立っているなんて!とても嬉しいです、信じられない。
そちらのブログになかなかアクセスできないのはどうしたことでしょう。

Commented by saheizi-inokori at 2024-05-09 09:36
> 福さん、このエッセイは喫茶店のマッチ箱の絵を集めていた時の、早稲田界隈の人々との交友などが、例の調子で描かれていて楽しかったです。
私は、憧れはしてもあのスタイルはとうてい真似ができない朴念仁でした(今もなお)。
Commented by stefanlily at 2024-05-10 02:43
こんばんは、
井上ひさし「ブラウン監獄の四季」というエッセイ集に「キサテノロジー」なる作品があります。
NHK周辺の喫茶店で脚本(遅筆)を書く為に関係者と缶詰めになっていたと。
「ひょっこりひょうたん島」や教育TVの脚本を書いていた頃の回顧録というか。
他にも「NHKに下宿した話」「赤ん坊を背負った作曲家」などが抱腹絶倒です。
Commented by saheizi-inokori at 2024-05-10 10:55
> stefanlilyさん、遅筆堂でしたっけ、編集者泣かせの遅筆が有名でしたね。
読んでみようかな。
ありがとう。
Commented by tanatali3 at 2024-05-14 02:02
馬事公苑の写真ありがとうございます。オリンピックその他で新しくなっていることに気が付きませんでした。
Commented by saheizi-inokori at 2024-05-14 09:29
> tanatali3さん、キレイになりすぎてしまって、ちょっと残念です。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2024-05-08 10:20 | こんなところがあったよ | Trackback | Comments(14)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori