恒産

けさはタイキとユイは入社式だな、元気に初出勤したかなと思っていたら、サエからラインでユイの初出勤、玄関の写真を送ってきた。

さすがにレインコートの下にきちんとスーツとブラウスがのぞいて、にっこり笑っている。

でもどこかに緊張感もただよう。

タイキは下宿から、こつちも緊張して出たのかな。

三々九度の盃を持つ手が震えて酒をこぼした僕の血をひいているのだ。

でも５９年前の入社式に僕はそんなに緊張してはいなかった。

岡野保太郎監査委員長の講演があって、「恒産なくして恒心なし」、たくさんはいらないが、仕事をやめてもしばらくは食っていけるくらいの資産を作れ、そうすれば自分の倫理観に忠実に生きていける、というようなことをいつた。

たしか彼が尊敬する石田礼助に教わったとか、「粗にして野だが卑ではない」と国会の自己紹介でいつた元国鉄総裁だ。

当時の僕は、二人共「政財界人」とひとくくりにして馬鹿にしていたから、あまり響かない言葉だつた。

その後の国鉄生活も、貧乏育ちで薄給、三人の子育てで恒産とは無縁なまま、徒手空拳でそれなりの倫理観を守って戦った。

上がり症がひどいときは、苦しくて靴磨きのオジサンのperfectdaysが羨ましかった。

むしろ親の資産に支えられている連中のほうが、保身に汲々としていたのではないか。

今の政財界のおエラ方は、「恒産あれども、まだまだ足りず」、彼らの「恒心」とは、貪欲な利己心ではないか。

石田、岡野たちのころの「政財界人」とは天と地の差があるなあ。

まんずあん人たちには、最低限の倫理観を持てと言わねばなんね。

（エゾシカのチョリソ）

きのうは贅沢にもカミさんとビストロで晩飯。

31日限りの20%還元、世田谷ペイと同じく期限切れになるタクシーチケットを活用して、誕生日のひと月前倒しお祝いをした。

（蕪）

前夜豪華な晩餐会でオイリーなものを食べたので、少し控えめに前菜（めいめい）と北海道赤平鶏のロースト（一皿をシェア）、白と赤のワインで満ち足りた。

店に入る前、あたりを散歩すると焼き肉屋の多いのに驚いた。

4月はそういうのもありかな。