二階の最期

かれこれ40年近く前だった。
僕がJR千葉支社にいたとき、二階がやってきた。
内房線の五井の先に新駅をつくってほしいという地元の陳情があって、運輸族で売り出し中の二階を地元の議員が呼んだのだ。
民営化されたのだから、なにも国会議員を引っ張り出さなくてもJRの主体性で新駅は作れるのだから、おかしな話ではあった。

早朝の現場視察に僕も立ち会えといわれて、何を聞かれるのかと緊張しながら行くと、本社の役員(運輸省出身)も来ていて、彼がやり取りをしてくれた。
ぴったりしたスーツ姿の二階は、いかにもやり手の有望株といった感じで、てきぱきと喋って人をそらさなかった。
短い視察のあと、近くの自治会館みたいなところで、朝飯が出されて、僕もご相伴にあずかった。
地元の奥さんたちが白いエプロン姿もかいがいしく用意した、つやつやした炊き立てのご飯に生卵をかけて食う。
いい匂いのする味噌汁もうまかった。
さあ、たくさん食べてください、とお母さんたちがいう。
すきっ腹の僕はご飯のお代わりをしたかったのに、二階が「それじゃっ!」と席を立つものだから、僕だけ残ってもう一杯食うわけにはいかなくなって、外に出て見送った。
あれからいろんな山越え野越え、政界の実力者として権勢をほしいままにもした二階。
最期の記者会見を「ばかやろう」では、いくら身から出た錆といっても惨めすぎるじゃないか。
それにしても、あの朝飯はうまかったなあ、「人生の御馳走帖」に載せておかなきゃ。



ギャンブル依存症はその名の通り、病気なのだ、しかも有効な治療薬もない難病。
そんな難病にかかる人を作り出し、そういう人に依存するカジノを、莫大な税金を投じて作ろうとする与党と維新の会は、国民の平和な暮らしを壊そうとする悪魔の勢力とか評しようがない。

そういう僕もスポーツ賭博をやったことがある。
大学の寮の二階から、小学校の運動会が良く見えて、かけっこをする子供たちがスタートラインにつくと、友人たちと、1コース、俺は3コースと一等になる子を賭けた。
一回10円だったか、悪いお兄さんたちだったね。
大相撲のチケットを貰って国技館の桟敷に坐ったときも、毎回どっちが勝つかを賭けた、これも10円だつたか。

武蔵浦和の駅ビルにいたときに、開発対象の埼京線の沿線を見て歩いて、戸田のボートレース場に行って、舟券を買った。
金のない頃だったので、ひとレースだけ、それも最小掛け金の百円だけだったと思う。
窓口の人が、それだけ?と聞き直した。
男女の選手のうち、1と6が女性だったので、1-6と買ったらそれが来て、絵にかいたようなビギナーズラック、3千円くらいになった。
競艇場の近くにある小さな鮨屋で、部下に寿司をご馳走してやった。
鮨屋のオヤジに「大穴を当てた」と威張って見せたけれど、ほとんど反応がなかった。
一桁どころか三桁も四桁も上の懸賞金を当ててくる客も珍しくないのだと聞いた。
あれでギャンブル依存症にならなかったのは、臆病なのと金がなかったからだと思う。
麻雀とパチンコはそれなりにやって常に負けたけど、あれは実力がないからだ。

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きょうはタイキの大学卒業式だという。
本人もともかく、親たちにご苦労様と心から言ってやりたい。
まだすっかり安心しきれないのが親心かもしれないが。

Commented by めぐ at 2024-03-26 11:54
賭博 というか宝くじを買った事があります。自分のためではなく甥っ子が
大学を出て中高の音楽教師の資格を取っていたのにもう一度フルートを勉強したい。今の自分では音楽を冒涜していると言うので。芸大に進む資金を出してやりたいにも我が家にも子供がいて。姉は全教科優の生徒で辛抱もあったのですが36歳で夫に先立たれて、上の子は工学部に進みそれも教師が奨学金の手配をしてくれて良くできるからと医学部を勧められるも早くお給金を受けて母親に楽をさせたいとメーカーに勤めました。その甥は学研からの奨学金も頂けました。これは返済不要なものでした。教師の推薦により。無事受けた大学全部に合格して 学研の担当者に連絡して以来夏になると岡山の美味しい桃を送ったそうで、これまで礼状はたまにいただくもこんな芳しい御礼は初めてですと言われたとか。サヘイジさまに共感するのもこう言った経緯から?
ギャンブルは病気、アルコール依存と同じですね。そして必ず嘘をつきまくる。国民の税金でギャンブルを続けて来たツケはどう落とし前をつけるのか?
はっきりせい!
2階から引き摺り落としたい!
Commented by purigorota77 at 2024-03-26 14:53
こんにちは。
まぁ、ほとんどの議員さんは国民に向き合っていないし、
おのれの権勢欲がすべてですから。
今度の事なんて、二階のおじいちゃんは
なんとも思っていないでしょうねー。
今は自分の地盤の事で、頭が一杯でしょう。
Commented by yoko68 at 2024-03-26 16:41
若かりし頃の二階さんにあわれていたのですね。
すごいなぁ。
って何がすごいかわからないですけど笑

私は、お爺さんの二階さんしか知りません。

Commented by saheizi-inokori at 2024-03-26 18:23
> めぐさん、奨学金制度は貧富の差を縮める大事な制度ですね。
いくらいい思いをしてもあんな最後の会見をするような人生はミジメだと思います。
Commented by saheizi-inokori at 2024-03-26 18:25
> purigorota77さん、それも哀れというべきですね。
なんのための人生だつたか?!
Commented by saheizi-inokori at 2024-03-26 18:27
> yoko68さん、老醜を曝しましたね。
Commented by unjaku at 2024-03-26 20:13
私は、建物の二階が、本当に落ちてきたのかとびっくりしましたよ。

二階の会見は見ました。
バカ野郎!も聞きました。
なんとも思いません。立派な人間が必ずしも手腕に優れた政治家とも思わないし
清濁併せ持ち、人心を掌握し、しっかり仕事をさせる政治家のほうがいいです。
老齢になった二階さんに、年齢のことをわざわざ質問する記者もアホですね。

若い政治家のほうがよほど品性がない日本です。
訓練されていないというのでしょうか?
彼らにもっと苦労をさせて、本気で仕事をさせないとダメです。
下着女性とパーティをやってるようじゃね、話になりません。
ま・・二階さん、馬鹿らしくて思わず本音が出たんでしょうね。
いいとは思いませんが。
Commented by saheizi-inokori at 2024-03-26 21:56
> unjakuさん、ですから、もつとちゃんとした最後の会見をさせたかったと思うのです。
長老にこういう最期をとげさせる岸田以下の甲斐性のなさがまざまざと見せつけられました。
それも二階の身の因果でしょうが。
Commented by ikuohasegawa at 2024-03-29 05:32
同じ和歌山選挙区で衆議院鞍替えを企む世耕がこけた今が、息子に世襲させるチャンス。と踏んだ二階の作戦だそうですよ。
したたかな爺さんです。
Commented by saheizi-inokori at 2024-03-29 09:45
> ikuohasegawaさん、そうらしいですね、転んでもただでは起きないってことでしょうか。
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by saheizi-inokori | 2024-03-26 11:07 | 人生の御馳走帖 | Trackback | Comments(10)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori