雨の日はPerfectDays
2024年 03月 13日
きのうは、循環器内科と呼吸器内科のダブルヘッダー、どちらも一番に診てもらって、薬局も含めてすべて終わったのが10時前だった。
病院の日は、いつもと違うところを彷徨い、千円以下のランチを食い、カフエで本を読んで帰るというのが、僕の楽しみにしている贅沢だ。
でも昨日は冷たい雨、これから風も吹いて雨も強まるという予報だ、さあ、どうしよう。

思いついたのが映画、そうだ!「PerfectDays」を見るには良い日じゃないか。
スマホを当たってみると、二子玉川で11時10分に始まる、しかも空席が多い。
スマホからの予約は、会員ナンバーを忘れたので、えい、そのまま映画館にいっちゃえ、3月末までのタクシー券もあることだし、病院の前にはタクシーが待ってる。
案の定、若いスタッフがすぐに会員登録を見つけてくれて、身障者割引1000円で真中の席を確保できた。

一時間以上の待ち時間があるので、カフエでコーヒーでもと思ったが、待てよ、トイレが近くなると困るじゃないか。
久しぶりに蔦屋書店のなかを廻って、鳥山明の漫画がないかとか、家具売り場を覗いたり、それでも時間が余ったので、別の飲食店などの看板を見比べて値段を調べたりする。

11時近くなったら、映画館の中は大勢の人が行列を作って、ポップコーンや飲み物を買っている。

ドラエモン、アカデミー賞のゴジラなどの客だと思う。
パーフエクトデイズを見ようという客は、あんなへんてこなものを、しかもはた迷惑にも映画を見ながら食おうなんて考える筈がない。
予告編の終わりそうなぎりぎりのタイミングでトイレにいって一滴も残さずに絞り出す。
まさかに備えてトイレの位置を確かめて、右側の通路際の席を予約すればよかったと反省。
主人公平山の一日。
病院の日は、いつもと違うところを彷徨い、千円以下のランチを食い、カフエで本を読んで帰るというのが、僕の楽しみにしている贅沢だ。
でも昨日は冷たい雨、これから風も吹いて雨も強まるという予報だ、さあ、どうしよう。

思いついたのが映画、そうだ!「PerfectDays」を見るには良い日じゃないか。
スマホを当たってみると、二子玉川で11時10分に始まる、しかも空席が多い。
スマホからの予約は、会員ナンバーを忘れたので、えい、そのまま映画館にいっちゃえ、3月末までのタクシー券もあることだし、病院の前にはタクシーが待ってる。
案の定、若いスタッフがすぐに会員登録を見つけてくれて、身障者割引1000円で真中の席を確保できた。

一時間以上の待ち時間があるので、カフエでコーヒーでもと思ったが、待てよ、トイレが近くなると困るじゃないか。
久しぶりに蔦屋書店のなかを廻って、鳥山明の漫画がないかとか、家具売り場を覗いたり、それでも時間が余ったので、別の飲食店などの看板を見比べて値段を調べたりする。

11時近くなったら、映画館の中は大勢の人が行列を作って、ポップコーンや飲み物を買っている。

ドラエモン、アカデミー賞のゴジラなどの客だと思う。
パーフエクトデイズを見ようという客は、あんなへんてこなものを、しかもはた迷惑にも映画を見ながら食おうなんて考える筈がない。
予告編の終わりそうなぎりぎりのタイミングでトイレにいって一滴も残さずに絞り出す。
まさかに備えてトイレの位置を確かめて、右側の通路際の席を予約すればよかったと反省。
主人公平山の一日。
東京スカイツリーの下あたりの古い木造の下宿屋の二階で、夜明け、外を掃く箒の音で目を覚まし、蒲団を畳み、歯を磨き、ハサミで髯を整え、シェーバーをあて、いくつもの湯呑から作った植木鉢(境内などでもらってきた実生の苗を育てている)に丁寧に水をやり、愛しげに一瞥。
ぶら下っている、背中に「TOKYO TOILET」とあるツナギを着て、下駄箱の上にきちんと置いた鍵束、財布、小銭をポケットにいれて、外に出るとともに空を仰いで、何事かを確かめて納得するかのように僅かに笑みを漏らす。
自販機でコーヒーを買い、軽自動車に乗りこんで、カシャカシャ、いくつかのカセットテープの中から、一つを選び出してセットする。
下宿屋の二階の窓が紫色に照らし出されているのは、植木たちを照らす明かりだろうか。
広い通りにでると、さあ、けさの曲が始まる。
It’s NewDawn It’s NewDay
It’s NewLife for Me
Freedom is mine
代々木公園、松濤公園、、しゃれたトイレをまわって、丁寧に掃除する。
見えないところは手鏡で汚れが落ちていることを確認する。
用足しに人がくると、その場をたち、トイレの外で、直立して、空を仰ぐ。
コンビの若者の饒舌にも無言だが、彼の身の上を気にかけている。
ランチは、境内でサンドイッチと牛乳、終わると古いオリンパスで、フアインダーを覗かずに、樹々の葉の影と光を撮る。
いつも出会う人たちには会釈するけれど話しはしない。
仕事が終わると、自転車にまたがり、銭湯「電気湯」に一番乗り、そのあとは白髭橋を通って、浅草駅に通じる地下の居酒屋へ。
「おつかれさん!」店主が両手をパッと開いて、あれは何かの気を送っているのか。
テレビ中継で、巨人が勝つと「金で買った勝ちなんか!」と怒る客、今は代議士のイスだって金で買うのに、ドジャースもバスケットもみんな金金金だ。
夜は寝転がって、フオ―クナーとか幸田文を読んで眠くなると消灯。
そして、平山は夢を見る、公園であった幼い子供、樹々、過去の苦しい思い出、、。
休日は寝坊して、濡れた新聞紙をちぎって撒いて箒で掃除をし、コインランドリーに行き、写真屋で出来た写真を受け取り、新しくフイルムを装着、それから古本屋で一冊百円の文庫本を選ぶ。
そのままいつもの小料理屋にいくと、平山をひいきにする女将が、客のギターで「朝日が昇る家」を感情たっぷりに歌う(石川さゆり)。
映画の進行とともに、部屋をローアングルで映すカメラが少しづつ引かれて、部屋の全貌が見えてくる。
旧型のデッキと見事な蔵書のほかは何もない。
まるまる一部屋が植木鉢に与えられている。
姪が家出してきたときに、自分は押し入れで寝るのだが、そこにゴルフバッグが置いてあるのが何を意味するのか。
判で押したような、ミニマムな、清々しい、しかもなんの不足もない満ち足りた日々の繰り返し。
そのなかに、いろんな事件が起きる。
平山が泪するような事件も。
しかし、その翌朝はふたたび陽が昇り、新しい一日が始まるのだ。
家出してきた姪に「この世にはいろんな世界があって、それはつながっていないようでつながっている。
でもつながっているようで、つながっていない世界もある」という。
僕は、平山の世界につながっていると思った。
そう思えたことが嬉しくて、じわっと涙がこみあげてきた。
もっと、いろんな夾雑物を削って、平山の世界に近づきたいとも。
平山の笑顔がいい。
おかしいことがあって笑うのではなく、まして優越感のみえる憫笑、嘲笑とか苦笑でもなく、肯定感、共感を示す暖かい微笑、あたかも太陽と水と風を得てさやぐ樹々のような笑いだ。

満ち足りた思いで、外に出るとしのつく雨と強い風。
路地で700円の「高菜チャーハン」を食べて、カフエは寄らずに帰宅した。
ぶら下っている、背中に「TOKYO TOILET」とあるツナギを着て、下駄箱の上にきちんと置いた鍵束、財布、小銭をポケットにいれて、外に出るとともに空を仰いで、何事かを確かめて納得するかのように僅かに笑みを漏らす。
自販機でコーヒーを買い、軽自動車に乗りこんで、カシャカシャ、いくつかのカセットテープの中から、一つを選び出してセットする。
下宿屋の二階の窓が紫色に照らし出されているのは、植木たちを照らす明かりだろうか。
広い通りにでると、さあ、けさの曲が始まる。
It’s NewDawn It’s NewDay
It’s NewLife for Me
Freedom is mine
代々木公園、松濤公園、、しゃれたトイレをまわって、丁寧に掃除する。
見えないところは手鏡で汚れが落ちていることを確認する。
用足しに人がくると、その場をたち、トイレの外で、直立して、空を仰ぐ。
コンビの若者の饒舌にも無言だが、彼の身の上を気にかけている。
ランチは、境内でサンドイッチと牛乳、終わると古いオリンパスで、フアインダーを覗かずに、樹々の葉の影と光を撮る。
いつも出会う人たちには会釈するけれど話しはしない。
仕事が終わると、自転車にまたがり、銭湯「電気湯」に一番乗り、そのあとは白髭橋を通って、浅草駅に通じる地下の居酒屋へ。
「おつかれさん!」店主が両手をパッと開いて、あれは何かの気を送っているのか。
テレビ中継で、巨人が勝つと「金で買った勝ちなんか!」と怒る客、今は代議士のイスだって金で買うのに、ドジャースもバスケットもみんな金金金だ。
夜は寝転がって、フオ―クナーとか幸田文を読んで眠くなると消灯。
そして、平山は夢を見る、公園であった幼い子供、樹々、過去の苦しい思い出、、。
休日は寝坊して、濡れた新聞紙をちぎって撒いて箒で掃除をし、コインランドリーに行き、写真屋で出来た写真を受け取り、新しくフイルムを装着、それから古本屋で一冊百円の文庫本を選ぶ。
そのままいつもの小料理屋にいくと、平山をひいきにする女将が、客のギターで「朝日が昇る家」を感情たっぷりに歌う(石川さゆり)。
映画の進行とともに、部屋をローアングルで映すカメラが少しづつ引かれて、部屋の全貌が見えてくる。
旧型のデッキと見事な蔵書のほかは何もない。
まるまる一部屋が植木鉢に与えられている。
姪が家出してきたときに、自分は押し入れで寝るのだが、そこにゴルフバッグが置いてあるのが何を意味するのか。
判で押したような、ミニマムな、清々しい、しかもなんの不足もない満ち足りた日々の繰り返し。
そのなかに、いろんな事件が起きる。
平山が泪するような事件も。
しかし、その翌朝はふたたび陽が昇り、新しい一日が始まるのだ。
家出してきた姪に「この世にはいろんな世界があって、それはつながっていないようでつながっている。
でもつながっているようで、つながっていない世界もある」という。
僕は、平山の世界につながっていると思った。
そう思えたことが嬉しくて、じわっと涙がこみあげてきた。
もっと、いろんな夾雑物を削って、平山の世界に近づきたいとも。
平山の笑顔がいい。
おかしいことがあって笑うのではなく、まして優越感のみえる憫笑、嘲笑とか苦笑でもなく、肯定感、共感を示す暖かい微笑、あたかも太陽と水と風を得てさやぐ樹々のような笑いだ。

満ち足りた思いで、外に出るとしのつく雨と強い風。
路地で700円の「高菜チャーハン」を食べて、カフエは寄らずに帰宅した。
この映画観たいと思っていますが・・・観れるかな?
2
やっとご覧いただけましたね。
アカデミー賞の結果で、宮崎アニメとゴジラの話題ばかりですが、この映画もノミネートされていたことを忘れてはならないと強く思います。
アカデミー賞の結果で、宮崎アニメとゴジラの話題ばかりですが、この映画もノミネートされていたことを忘れてはならないと強く思います。
こんにちは、
役所広司は長崎県諫早市の出身ですね。
監督はヴェンダース?、ジャームッシュどっちでしたっけ…
2人共小津安二郎に影響受けてそうですが。
ヴェンダースは「パリ・テキサス」が最高。ジャームッシュはやはり「Stranger than paradise」「Down By Law」の2本ですね。
フォークナーのどの作品を主人公は読んでいたのでしょうか?
もしかしたら、「没落した華族の末裔」という暗示?
没落した南部貴族を書いた作品が多いので。幸田文?…彼女の作品の英訳は出てるのでしょうか? 監督が知っていたとは。
あ、原作で映画化された作品があったような。小津に限らず、昔の日本の映画は相当見ていそうですからね。
役所広司は長崎県諫早市の出身ですね。
監督はヴェンダース?、ジャームッシュどっちでしたっけ…
2人共小津安二郎に影響受けてそうですが。
ヴェンダースは「パリ・テキサス」が最高。ジャームッシュはやはり「Stranger than paradise」「Down By Law」の2本ですね。
フォークナーのどの作品を主人公は読んでいたのでしょうか?
もしかしたら、「没落した華族の末裔」という暗示?
没落した南部貴族を書いた作品が多いので。幸田文?…彼女の作品の英訳は出てるのでしょうか? 監督が知っていたとは。
あ、原作で映画化された作品があったような。小津に限らず、昔の日本の映画は相当見ていそうですからね。
> stefanlilyさん、さすが詳しいですね。
ヴェンダースです。「ヴェナビスタソシアルクラブ」も彼の作品だと人のブログで知りました。
フォークナーの本の表紙が映されて題名を読み取れませんでした。あなたが見ていればすぐ分かるだろうにと思いましたよ。
幸田「木」は、名文のきこえあり、前から読みたいと思っていました。
監督が知っていたとしたら、スゴイな!
ヴェンダースです。「ヴェナビスタソシアルクラブ」も彼の作品だと人のブログで知りました。
フォークナーの本の表紙が映されて題名を読み取れませんでした。あなたが見ていればすぐ分かるだろうにと思いましたよ。
幸田「木」は、名文のきこえあり、前から読みたいと思っていました。
監督が知っていたとしたら、スゴイな!
やっとこちらでもストリーミング配信で観れそうです。
「この世には・・・」、読みながらじーんと伝わるものがあります。
人の抱える想い、さらに作家・制作陣の想い。
空振り、空回り、いずれも一方通行、共感は対面通行、これが難しい世の中ですから。
「この世には・・・」、読みながらじーんと伝わるものがあります。
人の抱える想い、さらに作家・制作陣の想い。
空振り、空回り、いずれも一方通行、共感は対面通行、これが難しい世の中ですから。
ストリーミングでやっと観れそうです。
空回りの一方通行から対面通行への想いは、小説家も映像作家も永遠のテーマ。
世界に向け、どこまで共感を得られるものか?
「この世にはいろんな世界が・・・」、ジーンと胸に来るものが、”私”にはあります。
ただアメリカ人のカミさんにどこまで伝わるかものか・・・。
観てからのお楽しみです。
空回りの一方通行から対面通行への想いは、小説家も映像作家も永遠のテーマ。
世界に向け、どこまで共感を得られるものか?
「この世にはいろんな世界が・・・」、ジーンと胸に来るものが、”私”にはあります。
ただアメリカ人のカミさんにどこまで伝わるかものか・・・。
観てからのお楽しみです。
この日はSaheiziさんにとっての「PERFECT DAY」でしたね。高菜チャーハンも旨そうです。
役所広司の映画で好きなのは「シャルウィーダンス?」と 「峠ラストサムライ」河井継之助の生涯です。何度見てもいいです。テレビ、でしか観ていません。映画館に出かけると疲れますので。
長崎出身なのですね。同じく長崎出身の知人がいますがヨーロッパの血が入っているようなハンサムな人が多いような気がします。
長崎出身なのですね。同じく長崎出身の知人がいますがヨーロッパの血が入っているようなハンサムな人が多いような気がします。
by saheizi-inokori
| 2024-03-13 13:48
| 映画
|
Trackback
|
Comments(13)