糸遊

またテレビのこと、新日本風土記で伊豆の島酒をめぐる島人の生き方をみた。
青島、新島、、観光で行くならともかく、住んで子供を育てていくのは、いかにも大変な島の暮し。
噴火で疎開を余儀なくされても、何年もかけて故郷の島に帰ろうとする人たちがいる。
帰らなくても成人式には、島に戻って旧友たちと会いたい。

糸の切れた凧のように、あちこちして、思えば成人式なんて他人事、無縁に過ごし、今は案内のくる高校の同窓会にも出なくなって久しい。
どこかに欠落のある人間なのだと、思いながら見ていた。

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祖母の歌。

青白き若者乗せて白髪の親らしき人リヤカー引く
リヤカー、今の子供は知っているだろうか。
学校にはあるかもしれないな、運動会なんかで使っているかもしれない。
ああ、そうだ、農家も使っているかな。
病人らしき人、子供を乗せていく老いた親、もの哀しい光景だ。

今はリヤカーでなくて車椅子だ。
散歩していると、車椅子に子供、親、妻、いろんな人を乗せた人に会う。
たいてい無言だなあ。

糸遊_e0016828_17385872.jpg

母の句。
糸遊や硝子戸分厚き神輿庫
糸遊、いとゆう、地面から立ち上る蒸気で空気が乱れ、風景やものが揺らめいて見える現象。
陽炎、春の季語。

母とともに暮らした杉並の家の近くには大宮八幡神社があった。
いっしょに散歩に行ったことは何度かある。
でも早咲き桜のことは覚えているけれど、硝子戸のはまった神輿庫があったかどうか。
もしかしたら、どこか別の場所でみたのかもしれない。
なんだか、大宮八幡神社に確かめに行きたくなった。
イトユウかあ。

Commented by olive07k at 2024-03-12 08:35
ひと頃 宅配便
リヤカー 使ってて びっくり@@

若い方々の
移住暮らし(YouTubeで 見てます)
Commented by otebox at 2024-03-12 08:47
リヤカーなんてものはとうにお払い箱。我が家でも一輪車と軽トラが運搬手段になって50年でござる。
Commented by saheizi-inokori at 2024-03-12 08:51
> olive07kさん、そういえば宅急便をリヤカーに積んで自転車で引っ張る女性、若い、を思い出しました。
Commented by saheizi-inokori at 2024-03-12 08:53
> oteboxさん、リヤカーをスマホに聞いたら農家で使うと回答がありましたよ。
おたくは先進農家ですね。
Commented by pallet-sorairo at 2024-03-12 09:01
「糸遊」という言葉、初めて知りました。
素敵な表現ですね。
Commented by ikuohasegawa at 2024-03-12 09:04
地域防災拠点(避難所)で、備品を運ぶのにリヤカーを使います。
コロナ禍で一挙に訓練参加者が減ったようです。私もその一人です。
Commented by otebox at 2024-03-12 10:45
ウチではこいつがファーストカーで『ベンツ』と呼んでおります。
いつぞやこれで日本語教室に行ったら「あんたはfarmerか。」とオーストラリア人が訊くので「そうだpart-timerのね。」と応えときました。彼は日本の山間へき地を訪ね歩いている人でした。田舎の普通の景色なんでしょうきっと。
Commented by saheizi-inokori at 2024-03-12 15:00
> pallet-sorairoさん、私も知りませんでした、糸遊びかとおもいましたよ。
季語には美しい言葉が多いですね。
Commented by saheizi-inokori at 2024-03-12 15:03
> ikuohasegawaさん、能登地震でまた増えませんか?
Commented by saheizi-inokori at 2024-03-12 15:04
> oteboxさん、やっぱりね。
ノスタルジックな道具ですね。
Commented by 野羅 at 2024-03-12 16:12 x
大学生になって上京した時、バイト先のおばさんの紹介で近所の古道具屋で木製の机を買い、お店で借りた
リヤカーで運びました。私、saheiziさんと同年代です。港区の麻布十番のあたりで、まだ都電も走っていてのどかでした。でもみんなにはよくリヤカーで、と言われました。
Commented by saheizi-inokori at 2024-03-12 17:42
> 野羅さん、布団袋はチツキでしたか。
麻布十番の銭湯にも何回か入りました。今はもうないのですね。
ないといえば六本木の賑わいもまだでしたか、俳優座はいつ頃でしたかね。
Commented by doremi730 at 2024-03-12 22:03
糸遊ですか!素敵な季語を教えて頂き、ありがとうございます。
来月の句会までには無理でしょうが、頭の引き出しに仕舞いました。
陽炎のたつ情景を求めて散歩なり旅行なりが先かな、、、
Commented by sonoma0511 at 2024-03-12 22:51
糸遊・・・夏の陽炎より長閑な感じがいいですね。
リヤカーになぜか親しみを覚えますが、あれを引っ張って
行くのは難しそうですね。廃品回収や運動会の準備を思い出します。
順番待ちで乗せてもらった時の楽しさも浮かびます。
仰るように車いすはそれに代わる一つでしょうが、、なぜか
乗る人押す人無表情なのはお身体を思ってのことでしょうか?
何か一つ微笑みが一緒についてきても好いですね。
とてもヒントになるように文面から感じました。
Commented by saheizi-inokori at 2024-03-13 10:00
> doremi730さん、たまにはのんびり散歩をしてください。
陽炎がみつかるかもしれませんよ。
Commented by saheizi-inokori at 2024-03-13 10:06
> sonoma0511さん、糸遊び。ひな祭りのイメージと重なりますね。
そうそう!子供たちは競ってリヤカーに乗せてもらいたがりましたね。


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by saheizi-inokori | 2024-03-12 08:17 | わが母と祖母の遺したまいしうた | Trackback | Comments(16)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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