旅先の気分

散歩して、いろんな集合住宅をみると、いったいこの建物の構造はどうなっているのだろう、何軒がひとつの建物に入っているのだろう、入り口は?と興味が湧いて、時には近づいて郵便受けの数を数えたりする。
ちょっと見には、一軒の家のようなのに、じつは数軒の家が折り込まれていたりもして、建築家の工夫がしのばれる。
どんな人が住んでいるのかは、あまり考えないのはなぜかな。
無意識のうちに出歯亀気分にブレーキをかけているのかもしれない。

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日曜日の朝は、FM埼玉(ナック5)を聴きながら、洗面所の掃除をする。
漫才のコンビが、なぜか急に食べたくなるものとかローカル色豊かなクイズなど、くだらないところが楽しい。

聴くともなしに聞いていたら、ある街の光景が浮かんできた。
学校の横、陸橋をくぐって、まっすぐ行くとお寺があって、ひなびた商店街がある。
あれはどこに行こうとしていたのか、そもそもどこだったのか、どうやら埼玉県のどこかのようだが、特定できないのだ。
目的地があったはずで、そこに行ったことは確かなのに、それを思いだせずに、途中の、なんの変哲もない道と交差点とお寺を思いだして、なつかしくてたまらない。
あれは光景そのものが懐かしいというよりも、その光景の中にいた自分の、そのときの気分が懐かしいのではないだろうか。
では、どんな気分?と自問しても、それも判然しない、ふわっとした気分、あえていえば「旅先の気分」。

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旅の楽しさは、その「旅先の気分」を味わうことにあるのだ。
美しい景色とか珍しい景物よりも、平々凡々たる光景であっても、そこに佇む自分の、なにやら頼りない、しかし密かな期待感をもった気分。
そういう気分は、順調に計画(そういうものがあったとして)どおりに進む旅には、生まれない。
迷ったり、足が痛くなったり、ちっとも面白くない景色ばかリだったり、不調な旅にこそ、旅先の気分が生れるような気がする。

時を経て、なつかしく思い出すのは、そういうときの平々凡々たる、寂しげな光景なのだ。

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S・A・コスビー「頬に哀しみを刻め」が、面白かったので、同じ作者のひとつ前の出世作も予約した。
闇の世界の住人が更生していたのに、家族や会社を守るために、やむを得ずふたたび悪いことに手をそめる。
「頬に、、」くらべると深みやひりひり感に乏しいような気もするが、半分読んで、今日で読了の予定だ。

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(近江 煮小豆ニ餅)

Commented by eblo at 2024-02-18 13:28
以前は観光旅行でした。
それが趣味を持ってからは趣味目的の一人旅に変って行き、
言葉の通じない国への不安感が大きく失敗も多かった旅ほど、楽しい思い出の旅になりました。
「美しい景色とか珍しい景物よりも、平々凡々たる光景であっても、そこに佇む自分の、なにやら頼りない、しかし密かな期待感をもった気分。」が、違うけれど近い気がします。
だいたい「中国人?」「日本人」から会話が始まるのですが、言葉が通じなくても笑いながらお喋りして名残惜しく別れたり、現地の人たちの日本人より優しい外国人への対応に感謝したり・・・そんなことも旅の楽しい思い出になっています。
Commented by saheizi-inokori at 2024-02-18 16:09
> ebloさん、旅の心象風景、寂れた雑貨や、狭い小路、薄暗い銭湯、うまいとは言えない町中華、そんな風景ばかりが懐かしく想起されます。
名所旧蹟絶景などでなく。
私だけ?誰しも?
Commented by at 2024-02-19 06:44 x
和菓子、美味しそうですね。
近江は旧都、和歌では鎮魂の対象。
経済では近江商人(調べると有名企業に発展していて吃驚)の栄えた土地ですね。
Commented by saheizi-inokori at 2024-02-19 10:10
> 福さん、近江をもっと歩きたかったと思います。
路地から路地へ。

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by saheizi-inokori | 2024-02-18 11:45 | よしなしごと | Trackback | Comments(4)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori