あまり同情を感じなかった「東京都同情塔」

違法な裏金で国民の期待とはかけはなれた何事かをしている野郎ども。
彼らのフカシギな金の使いかたが連日報道される。
松野アルマジロが、官房長官をやめる間際に5千万円近い金を使ったことを、田崎なる幇間解説者が、「官房長官は年に13億、月に1億の機密費を使うから、半月に5千万は驚くような額ではない」と言ってのける。
年に13億もの、中身のしれない金を使うこと自体が、俺っちには驚きのあまり腰が抜けて座りションベンをしてしまうようなことだという感覚が完全に欠如・マヒしている太鼓持ちめ!
いやいや、田崎如きに腹を立ててもしゃああんめ、悪いのは裏金使いのコソ泥連中だ。
政治活動の自由って、○○の一つ覚えにぬかしやがって、お前たちが今までに政治らしい政治をやって見せたことがあるかっての。
やってるのは、陰謀の仲間づくりと選挙活動、そして利権漁り、補助金やら公共工事やら、ありとあらゆる悪知恵を総動員して、既得権、裏金提供者の擁護ばかり、そんなものは政治ではないだろう。
ほらみろ、法人税減税だのインボイスだのって、お前たちが甘やかすから、日本の大企業は既得権に胡坐をかいて、ちっとも革新しようとしないどころか、不祥事続きだ。
インバウンド頼みの後進国に一直線、外国人価格の一杯2000円のラーメンを指をくわえてみている飢えた日本の子供たち、かつてどこかで見た光景だ。
裏金が必要ということこそ、彼らの「政治」の胡散臭さ、欺瞞性を如実に顕す事実じゃないか。

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きのうは、図書館に行って、文藝春秋を読んだ。
いままでは芥川賞受賞作が掲載されたときは、コンビニで買って読むのが習わしだったが、もう新刊雑誌を買う楽しみを諦めることにした。
図書館の受付の女性は、僕の着ていった、上着のスヌーピーを可愛い、といったあと、3月8日から貸し出しもすると教えてくれたが、早く読みたいので、館内で読む。

九段理江「東京都同情塔」。
あまりにも巨額の投資額と、巨大な規模などが批判されて、アンビルト、建てられないままになってしまった、ザハ・ハデイドの国立競技場が、紆余曲折の末、原案通りに完成して威容を誇っている。
その競技場と対をなすべき建築として、「シンパシータワートーキョー」なるタワー構想が提案されて、建築家の主人公は、コンペに応募する。
ホモ・三ゼラビリス=あわれな、同情されるべき人々、すなわち犯罪者たちをいれる楽園、「刑務所」なのだ。
主人公は、シンパシータワートーキョーという言葉に拒絶反応がある。
「私はカタカナをデザインした人間と酒を飲めない」、カタカナが嫌いだというけれど、けっこうカタカナも出てくる小説なのだ。
たとえば、AIについて、「スマートでポライトな体裁を取り繕うのが得意なのは、実際には致命的な文盲であるという欠点を隠すため」などと。
各々の勝手な感性で言葉を濫用し、捏造し、拡大し、排除した、その当然の帰結として、互いの言っていることがわからなくなる。喋った先から言葉がすべて他人には理解不能な独り言となる。独り言が世界を席巻する。大独り言時代の到来。

日本人が日本語を捨てたがっている。
ひときわ言葉に神経質な小説なのだ。
女主人公が、ブランドジョップで見かけて、その美しさに惹きこまれた年少の青年スタッフは、彼女が「東京同情塔」というのを「東京都同情塔」と言い換えて見せて、彼女はその固い韻を踏んだ言葉に夢中になる。
それまでの中途半端な気持ちから、なんとしてもコンペに勝って建築物を残したいと思う。

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地上の楽園のような東京都同情塔の出現は、国立競技場と響き合って、ホモ・ミゼラビスとホモ・フエリシタトス(祝福された人々=普通の市民)とが、共通の喜びと苦しみを分かち合い、多様性を認めながら共生する、はずであるが、それを「圧倒的な破壊」と受け取る人間もいる。

家に、寝ているサンチをおいて出て来たので、早く読み終えようと焦ってしまった。
そのせいか、僕の読解力の足りないせいか、いまいちインパクトを感じなかった。
気の利いたセリフはそこかしこにあるのだけれど。
二時間近く過ぎて帰宅すると、玄関に出て迎えてくれた。

Commented by stefanlily at 2024-02-15 18:25
こんばんは、
私もあの政治評論家?嫌いです。

この受賞作品は未読ですが、山田詠美が「都知事に読んで貰いたい」と。石原慎太郎への弔辞でもあるのかな…?
彼女が芥川賞受賞の際に彼が審査員だったかどうかは存じませんが。作家として、カッコ良い遊び人として仲間であったのでしょうから。
晩年に石原慎太郎が書いてた連載をちらっと読みました。
別荘族の男女の会話がさすがに古いかなあ…と。
Commented by saheizi-inokori at 2024-02-15 21:44
> stefanlilyさん、神宮外苑の哀しい再開発のことを指しているのでしょう。
石原というよりも小池、それと小池都知事の低劣なカタカナ好み!
虫唾が走ります。
九段は小池都知事のことも脳裡にあつたのかも知れませんよ。
Commented by unjaku at 2024-02-16 10:31
読破 お疲れさまでした。
私は多分読めないと思います。
最近はカタカナに超弱いのです。

10代・20代~50代くらいまではすらすらだったのに、
今や何回も確かめてやっと読めるほどです。
なので、双子の姉ちゃんたちから「バカチ~ン」と罵られるのです。
Commented by saheizi-inokori at 2024-02-16 10:50
> unjakuさん、子供の頃はカタカナばかリの本も読みましたね。
読みにくいです、たしかに。ばかちんと言われようが、ね。
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by saheizi-inokori | 2024-02-15 12:12 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(4)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori