岸田首相は東条型？

まいにちの散歩、家を基点に３６０度、いろんな方向に出かける。
疲れたときはバスで帰ってきたりもする。
久しぶりに等々力駅方面に行ったら、バス停の向かい側の店が居酒屋に変っている。
やや高そうな牛肉料理の店だったから、なかなか客がつかなかったのかもしれない、それにしても「メバル」とは変わった名前をつけたなあ、こんどは魚料理の居酒屋なのかな、とおもって列に並んだ。
すると「いやだあ、あたし居酒屋メバルって読んじゃった」とご婦人が、隣りの旦那に向かって笑い転げている。
え？違うのか、もういちどよく見たら、「居酒屋×バル」、バル風の居酒屋ってことらしい。
下に「居酒屋　森太郎　ヴぁん」とある（うに点々）。
さあ、長続きするのだろうか。

東京新聞夕刊（２７日）に保阪正康が「危急の時代　指導者の姿勢」と題して岸田内閣の不人気の原因は、戦争の時代の閉塞感が漂う、いわば危急の時なのに、その際の岸田首相の姿勢に、国民が納得していないことをあげている。

危急の時代のモデルとしては、昭和十年代、２・２６事件から日中、太平洋戦争へと突き進んで国土が焦土と化した時代が考えられる。
この間、広田弘毅から鈴木貫太郎に終る、９人の首相が時代を担った。
保阪は、９人が戦争にどう向き合ったかを四つのタイプに分ける。

１、状況に流されて眼前の強硬論しか考えない東条英機型。２、哲学、思想はあるが優柔不断に対応する近衛文麿型。３、迂回しながらも政治的目標の完遂を目指す鈴木貫太郎型。４、信念欠如、思想欠落の無気力型、これには広田弘毅、平沼騏一郎、阿部信行、米内光政、小磯国昭が該当する。

そして、岸田は東条英機型だという。
東条の強引さや直線的な発想はないけれど、最も重要な点が重なり合うのだと。
１、自分と周囲の利害得失でしか物事を判断しない。
２、人事で有能の士を遠ざける。
３、大局より小事にこだわり、その実践を誇りとする。
の三点だ。
ゴミ箱をのぞいて国民は飢えていないと安心した東条と、スーパーを視察してみせた岸田は相通じるなあ、たしかに。
有能な士というのが、いまの自民党にいるのかどうかは疑問だけれど、少なくともろくでもない連中ばかり登用していることは間違いないな。

今この首相に望むのは、果たせずとも対米開戦回避を目指した近衛型と、継戦論を抑えポツダム宣言受諾に導いた鈴木型の長所を取り入れた首相像の確立である。

果たしてそんな人物がいるのだろうか。


いよいよ最終巻を読み始めた。
冒頭を飾るのは長岡藩の河井継之助である。
大勢順応で官軍につくのではなく、むしろ堂々と開国した幕府の正しさを述べて、もういちど幕府に政権を委ねるべきだと建言書を提出する。
藩主の家宝などを売り払って、外国商人のスネルから、最新式の大砲や小銃を買うなどして軍備も整える。
さればとて、東軍に与するのではなく、小藩の身で、小千谷まで攻めてきた西軍にあたり、停戦を申し入れる。
東西両軍の間に立って、和解の道を探ろうとするのだ。
なによりも庶民を戦争の苦しみにあわせることを避けたいのだ。
不幸なことに、河井とあった西軍の軍監・岩村精一郎は、二十三歳と若く未熟であったために、河井の閲歴も知らず、その人物を見抜く力もなく、彼の言葉の重みを分かろうともしなかった。

岸田に河井継之助を学べと言っても無理だろうなあ、やっぱり。