金食い虫の大阪万博は底なし沼か

一転けさはポカポカ青空、きのう室内干しで乾ききらなかった洗濯物をベランダに干す。

（23日のいつもの木）

朝飯のあと、参院予算委の中継をみた。
ちょっとだけのつもりだったが、辻本清美の切れ味のよい質疑に見つづけてしまう。
減税を打ち出しても、国民が評価しないのは、その後に軍事費大増税が控えていることが見え透いているからじゃないのか？
そんなことはない、と答える岸田に、「４３兆円という閣議決定がなされた軍備増強計画が、物価高騰や円安で不足するのじゃないか。」、イージスなどの具体例をあげて、いずれも当初予算の倍増になっているのに、当初予算でおさまらないだろう？
まとめ買いや合理的な予算運用で枠内に収めるように努力する、という答弁の説得力のなさ！

大阪万博の予算が、当初予算をはるかにこえる２３５０億円になったことで、大騒ぎになったのだが、なんとそれ以外に、日本館の建設などで、８３９億円の追加費用が必要なこと、さらにアクセスのための工事が必要なこと、ゴミの島だった夢洲を会場としたために、メタンガス発生、冠水などの工事が追加的に必要になっていることなど、「詰め・見透しの甘さ」を追及する。
ここに工事が集中するために、地方の工事が人手不足になった停滞して、万博のうたい文句の地方も含めての利益享受にならないじゃないか。
僕は、むしろ維新の連中が、あえて詰めや見透しを甘くして、関係者たちの利権を潤わせようとしたのではないか、万博工事に便乗して、賭博の楽園をつくろうとしているのじゃないか、と思う。
維新の執拗な言い寄りに押し切られた、アベやスガは何を見返りに得たのかと勘繰りたくもなる。


何冊か、この人の翻訳した小説を楽しんだこともある柴田元幸の「生半可な學者」を読了。
肩の凝らない蘊蓄が楽しめる、短くてかならずオチがあるエッセイ集だ。
英語の表現やあちらの音楽に関する、なるへそ的知識や回想も。

「死の舞踏」という文章の中に、リチャード・パワーズの「舞踏会へ向かう三人の農婦」という小説のことが書いてあって、「現代アメリカ小説の傾向と対策」という文章でも、「三人のジョン」ジョン・バース、ジョン・ホークス、ジョン・アーヴィング、「三人のポール」ポール・ボウルズ、ポール・オースター、ポール・セル―、「三人のジョージ」はパスして、「三人のリンゴ」リンゴなんて人はあまりいないけれど、リンゴ・スターの本名はリチャード・スターキーだ、リチャード（愛称リック）ならなんとかなると、リチャード・フオード、リック・バスとともにリチャード・パワーズが登場している。
ビートルズのメンバーの名前を持つ作家の短評は、たとえばリチャードでは、

「情報が氾濫し関係の網目が無限に錯綜しているように見える現代社会にあって」、リチャード・フオードは「情報からも関係の網目からもこぼれ落ちてしまっているように思える人々、だが考えようによっては見えない網にがんじがらめに囚われているようにも思える人々」を書き、リチャード・パワーズは「その氾濫と錯綜からこぼれ落ちるのでもなく、あるいはそれらによって操作されるのでもなく、まさにそのなかで泳ぎつづけ踊りつづけることによって自分の位置を見出し現代の意味歴史の意味を見出そうとする人々」を書き、リック・バスは、さすがにリチャードがリックと素朴化しているだけあって少なくとも表面的には相当素朴な人で、「『情報が氾濫し関係の網目が無限に錯綜しているように見える現代社会』なんてそんなもん俺は知らんぞとばかりに田舎の田舎に住む超元気な老人や百戦百勝をめざすボクサーやらなんだかとにかくメチャクチャな人々」を書く。

といったあんばいだ。

その「舞踏会へ向かう三人の農婦」を積読のままになっていたので、イケネ、あれも読まなきゃと思った。
ところがあると思ったのに、誰かにあげてしまったらしく見つからない。
図書館から届いた読みたい本が待っているので、ほっとするやら、損したと思うやら。