年をとって

今朝は木枯らし一番だった。
ベランダに出てびゅ~びゅ~ふき募る風の中で窓ガラスを拭いていると、ああ、年の瀬ももうそこまで来ていると、ひしひしと感じた。

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各地の美しい紅葉をブログで拝見している。
子供の頃は長野にいたし、学生時代はともかく社会人になってからは、美しい紅葉のあるところに転勤したり出張したりした。
とくに会津線には一年まるまる過ごしたのだ。
それなのに、今ブログの小さな画面で見て感動するように、しみじみと紅葉を鑑賞した思い出が少ない。

jyarikoさんのブログでイチイの実(スグリ)の写真を見て、道端のあの実をつまんで口に入れたこと、たまに砂埃がついていてジャリッとしたこと、かくれんぼでかがんだ頭の上にある実に気を取られて見つかってしまったことなどを、すぐに思い出してコメントしたのに、周りの紅葉の美しさは思い出せないのだ。

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若い頃は、美しい景色に対する感性が育ってなかったのか。
美しい山々に囲まれた北信州にあって、美しい景色は当たり前の日常風景だったから、雪の日の新聞配達の辛さなど、厳しい自然という見方が強かったのかもしれない。

それにたいして、年中腹ペコだったから、スグリやグミ、クルミ、ツツジの蜜、スカンポなど口に入るものをみつけた喜びとその味は今に至るも強い印象を残しているのだ。

夕食後に親子で輪唱した「秋の夕日に照る山紅葉」のことなどは、ありありと思い出される。
残業で帰りが遅くなる母を待つ思いが強かったからだ。



萬葉集のことを続けて書いていたら、福さんが、「萬葉集は鎮魂歌集で、狭義には政治的敗者の無念を慰める歌(が多い?)」というようなコメントをくださった。

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僕はきのうようやく巻第一(「釋注萬葉集」では一巻の半分)を読み終えたばかりで、とうてい全体について、ものをいえる段階ではない。
伊藤博によれば、巻頭に雄略天皇の御製を載せ、二番から五十二番まで舒明皇統の歌群をつづける構図は
『古事記』そのものが天武・持統朝から元明朝に至る舒明皇統の人びとの意志と思想によって編まれた史書であることを思えば、この構図は、「万葉集」形成の根源が「歌」によって『古事記』を継承しようとするところにあったことを語り告げるであろう。
『古事記』下巻の時代を代表する天皇である雄略は、歌の力によって統治していく天子としての名が高かった。
その雄略御製は、
”一つ上がりたる世”を象徴する天子の歌、古き世と新しき世とのつなぎをなす歌として押し立てられたとみられる。そこには、推古朝までの古事(ふること)の時代に代わる新時代は舒明朝からはじまるという意識、その新しい時代は連綿と生き栄えて存することを歌の力によって示そうとする意識がつよく貫かれているといえよう。
とある。
その大元は、持統天皇の意志にもとづいている。
”持統萬葉”を母胎として、以後長い年月のもとに二十巻にふくれあがったのが、今僕が読もうとしている萬葉集なのだ。

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かつては、何の感動ももたらさなかった、言葉のつらなりが、いまようやく意味をもち、僕の心の奥底にあった望郷の思いに訴えかけてくる。
持統、志貴、人麻呂、、上代の名前だけであった人びとが、生きた人間として立ちあがってくる。

Commented by daikatoti at 2023-11-12 10:54
今、ほとんどの人が周りの美しいものに目がいかない生き方をされていると思うと惜しくてならないですね。
Commented by saheizi-inokori at 2023-11-12 18:24
> daikatotiさん、美しいもの、小さなものに、ね。
Commented by reikogogogo at 2023-11-13 10:01
Saheizi さん本当に、路傍の2〜3ミリの花にも目が止まり、見入ることが多くなりました。
Commented by saheizi-inokori at 2023-11-13 18:40
> reikogogogoさん、たしかに!私もです!
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by saheizi-inokori | 2023-11-11 13:05 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(4)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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