笑いごとじゃない

イスラエルの非情冷酷な皆殺しに抗議します。
しかし、ユダヤ人を差別する心はもたないように自戒しよう。
病床にあった亡妻の子供たちへの遺言「差別はだめよ」を思いだそう。

笑いごとじゃない_e0016828_11432026.jpg

いまこれを書きながら聴いているのは、このCD、イベットジローのシャンソン集だ。
秋は本を読むのも音楽を聴くのも、コーヒーを飲むのにもいい季節だ。
人殺しをする季節なんてあるものか。



サンチの歯周病が悪化して、鼻水やくしゃみがひどい。
かかりつけの医師と相談して手術をうけることにしたけれど、かなりよぼよぼ歩きになっているのを見ると、全身麻酔などのリスクが心配で、最後の決断がつかなかった。

Mちゃんのアドバイスもあって、歯科専門の医師にセカンドオピニオンを聞きに出かけた。
新しい立派な病院と事務的な感じのする受付(あとで看護師と判明)をみて、あ、これは間違ったかなと思った。
若い医師はくりくり坊主にして、マスクの上の眼が冷たく光る。
やあ、こりゃダメかも。

ところが、サンチをあつかう手さばきは、おもいのほか優しく、サンチの動きをみて「痛かったか、ごめんごめん」という声にも真情が感じられる。

笑いごとじゃない_e0016828_11454111.jpg

これまでの経緯を話し、手術に対する懸念を率直に述べる。
一つひとつの質問に的確にこたえる。
デイスプレイに質問に関係する映像を次々に写して見せながら説明する。
ほぼ毎日一件の歯の手術をしているそうだ。
老齢の犬も。

さいしょ感じた印象がどんどん修正されていく。
とどのつまりは、この医師に手術をしてもらうことにして、日にちを決めた。
受け付けあらため看護師も、こちらが冗談をいったりすると、ずっと親しみをみせる。
さっきは緊張しきって入っていった僕たちの空気に影響されていたのかもしれない、僕の印象も。

笑いごとじゃない_e0016828_11493167.jpg
(日体大の文化祭)

迷っていたことに結論がでたので、とりあえず気持ちが楽になって、サンチをいれたケージをごろごろ転がしながら、先を急いでいたら、突然、後ろから走ってきた男が、息せき切って「これ、ワンちゃんのですよね」という。
変なことをいうなあ、とカミさんと二人で、ケージを覗き込んだら、があーん、嘘だろ、いない!サンチがいないのだ。

礼をいうのもわすれて、ふたりで駆け戻る。
どこにいる、サンチ!
五メートルもいかないうちに、数人の男女がサンチを囲んでいるのに出会う。
ひとりがリードをもって、、。
なにを言ったのか、ありがとうございました、しか覚えていない。
皆さんが笑顔で良かったといったような気もする。
ケージにいれたあともまだドキドキしていた。

ジッパーが半分くらいあいていて、なにかのはずみでそこから飛び出したらしい。
あとから思うと、ちょっと前にケージの転がりが軽快になつたような気もしたのだ。
病院で出したところと、帰りにいれたところが反対になって、出した側をちゃんと閉めてなかったのだ。
出たところがよかった。
もう少し前の横断歩道とか駐車場の出口で出たり、車道にさまよい出たりしてたら、とんでもないことになっていた。
手術のリスクどころじゃなかった。

笑いごとじゃない_e0016828_11540241.jpg

ほっとして、歩いているうちに、カミさんが「笑いごとじゃないけど」といいながら笑い出した。
眼も見えず耳も聞こえないサンチは、自分がどんなに危ないことになったかが、わからないままに、あの人ごみに立っていたのだ。
猛烈にいじらしい、だけど、、たしかに可笑しいのだ。
笑いごとじゃないのに。

Commented by eblo at 2023-11-05 13:18
分かります。「いない・・!?」を突然知った時の頭の中。
我が家で犬を飼い始めた頃、散歩中に上手に首輪を外してしまいました(柴犬には多いそうです)
車が渋滞する広い道路脇の歩道、車に轢かれることが真っ先に頭に浮かびました。
歩道上を嬉しそうに行ったり来たり、通行人が何人も手伝ってくれましたがそれが却って遊んでくれている状況だったようです。
暫くして通りかかった若い男性が屈んで「おいで」と声をかけたらやっとその男性に抱っこされました。
その男性が「遊びたかったんだよね」と優しく声をかけて、初めて遊んでいたんだと知りました。
そこまでの恐怖の時間は忘れられませんが、逃げ回っているときの嬉しそうな可愛い顔はもう一度見たい。
あれから17年以上経った今は叶わぬ願いになっています。
Commented by saheizi-inokori at 2023-11-05 15:01
> ebloさん、やっぱり、血がひく思いとはこのことですね。
私も元気なトイプーに出会うとなんとも言えない気持ちになります。
Commented by stefanlily at 2023-11-06 01:30
こんばんは、
サンチ君、無事で良かったです。
イスラエル建国にアメリカ、イギリス、フランスがどれだけ関わっていたか…が「アラビアのロレンス」なのかという浅い認識しか無いのですが。
あ、スージースー&ザ・バンシーズに「Israel」という曲があったな。
Commented by saheizi-inokori at 2023-11-06 10:08
> stefanlilyさん、ありがとう。
スージースー、聞いたことありますよ。
Commented by kogotokoubei at 2023-11-06 12:31
探している時の佐平次さんと奥さんの心情をお察ししましす。
サンチが、元気になることを、お祈りします。
Commented by ikuohasegawa at 2023-11-06 14:40
笑い事ではありませんぞ。
Commented by jyariko-2 at 2023-11-06 17:30
ひゃー そんなー ひどいですー
saheiziさんー  もうドキドキしました
サンちゃん 頑張れー お父さんお母さんのために頑張ってね ♡ ♡ ♡
Commented by saheizi-inokori at 2023-11-06 17:46
> kogotokoubeiさん、ありがとう。保険の効かない手術費用にますます節約生活が待ってます。
Commented by saheizi-inokori at 2023-11-06 17:48
> ikuohasegawaさん、まつたく、気をつけなくてはと自戒しました。
Commented by saheizi-inokori at 2023-11-06 17:50
> jyariko-2さん、ウッカリではすまされませんね、今日のサンチはいつもよりくっつき歩いています。信用を失くしたかな。
Commented by doremi730 at 2023-11-07 00:18
あ〜あ、サンチが無事で、
本当に良かった!
Commented by saheizi-inokori at 2023-11-07 09:39
> doremi730さん、ありがとう、あなたもご無事で帰国されますように。
Commented by tona at 2023-11-08 11:21 x
私も歯周病で最近は1ヶ月に1回通っています。
手術ではありませんが、毎年1本ずつ歯がなくなって行く感じですので歯磨き必死です。
サンチちゃんの場合は麻酔してですか。可哀想に。頑張れ!サンチちゃん。
Commented by saheizi-inokori at 2023-11-08 13:48
> tonaさん、私はいろんな歯医者で「完璧な歯磨き」と褒められたのに、歯周病になりました。
今の医者にいわせると、テレビや多くの医師が勧める磨き方はなんの役にも立たないのだそうです。
通い始めて、暫くは歯周病の病理と歯磨きの仕方の講義と実践でした。
歯ブラシも彼の薦めるものを使うのです。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2023-11-05 11:59 | おらあサンチだ | Trackback | Comments(14)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31