九十九里から奥会津へ
2023年 10月 24日
きのう「海の駅九十九里」で買って、みんなでバスの中で食おうと思ったら、生だった落花生。
朝、カミさんが茹でてくれたのを食いながら、これを書いている。
一泊でも旅の余韻がいつまでもつづいている。
ホテル発は10時、海のみえる部屋でゆっくりストレッチをしたりブログを書きあげたりして過ごす。
ホテルのマイクロバスが送ってくれた海の駅、「イワシ博物館」があって、小さいながらイワシ漁に関係する道具や船、衣装などを展示してある。
褌もつけずにすっぱだかで漁をしたのはなぜだろう。
干物のアジの原産地がノルウエーとあったのにびっくり、もうこっちじゃ獲れないのか。
青いポストがなにやら物語めいている。
そのままマイクロが茂原のIさんの店「蕎麦古家」に送ってくれる。
おう、元気だったな!久しぶりにあったIさんの顔をみてほっとする。
「男人生――おのれ回顧と人生浪漫――」と題した宣言が、今もトイレに貼ってある。
その内容は、
そのうちにさっさと辞めてしまったと思ったら、奥会津檜原湖の畔の古民家を買って、手打ちそばの店を始めるという。
おいおい、冬は雪に埋もれるような辺鄙なところで、そりゃ無謀じゃないかと、おもいつく忠告もしたけれど、いっこうに気にしないようで、どんどん進めていった。
そのうちに、別の知人から奥会津にとても素敵な蕎麦屋があるから、一緒に行かないかと言われたのがその店だったり、鬼無里会のメンバーのひとりがIさんの尊敬ひとかたならぬ人物であったりして、さらにくすしき縁は、その古民家は鬼無里会で買わないかという話があって、みんなで見に行って、僕が共同所有はなかなか大変だからと難色を示した物件だった。
大きな民家だったので、鬼無里会で泊ったこともなんどもある。
近所から借りた夜具をみんなで敷いて、学生の合宿みたいだった。
蕎麦は名人級になり、天ぷらや自分が釣ってくる岩魚料理などが驚くほどうまくなった。
摘んだばかりの山葵の葉をむしゃむしゃ食うのも楽しみだった。
いろんなところから骨董、古道具を集めて来て、あちこちに飾ったり、内装も自分一人で好きなように凝らしていく。
やがて人の知る所になって、メデイアで彼の生き方も含めて取り上げられたりして、経営も順調になった。
消極的で臆病なアドバイスしかできなかった僕に、ほら、ごらんなさい、と誇らしげだった。
奥会津と茂原(奥様が住む)との二重生活、店を閉じた冬は月に何度か雪下ろしに通うような暮らしを10年ほどつづけて、こんどは茂原のこの店を開いて五年、とうとうこの暮れに閉じるという。
奥会津と茂原、15年のソバ屋が、人生の80%の質的充実をもたらしてくれたと語る。
まず、「山ぶどう酒」の野趣を楽しみ、ついで会津の酒「国権」のぬる燗を「ニシンの山椒漬け」と「桧原の蕗」で、ゆっくり吞む。
ほのかな苦みがやがてやさしい甘さに変り、会津の山や川や懐かしい人たちが脳裏に浮かぶ。
配膳で忙しい合間をぬって、僕のところに来てちょこちょこと話す。
奥会津の民家で泊ったときに、二階の窓からみた星空のこと、じっとみていると孤絶のぞくぞくするような感覚が湧いて来たなどというと、「そう孤独、寂しさ、それはつらいものではなくて、たまらなくいいものなんです、寂しさこそ!」と二人で「寂寥感讃美」だ。
天ぷらを頼んだ人から、茄子の天ぷらを分けてもらう。
とろけるような茄子だ。
お目当ては、これ「岩魚の姿揚げ」
頭からカリッ、香ばしい!カリッカリッ、肉は湯気をたててふっくら、尻尾まであとかたなく平らげる。
どくとくの香気、清流の香気だろうか、いつまでも口中にのこって、酒の味わいを深めてくれる。
徳利の「国権」を飲み終えて、とちゅうで呑まなかった「真澄」を冷やで呑む。
長野の真澄、真澄と言えば、えっと、懐かしのメロデイが口をつく。
「真澄の空に、、」ちゃんと形にならないのを、誰かが思い出して、「丘を越えて行こよ」、ああ、わかったそろって声を張り上げる「若者たち」。
「丘を越えていこうよ、真澄の空は ほがらかに晴れて 楽しい心」
お待ちかねの蕎麦。
やはりうまい、甘みもちゃんとある。
ことしは蕎麦がとれなくて、これは去年のだから、いつものようでなくて、、と申し訳なさそうにいう。
そんなことない、うまいうまい、と言いつつ、奥会津で食べた水蕎麦を思いだす。
ほんとに幻の蕎麦になってしまったな。
物足りなさそうにしていたのをみて、お替りをだしてもらって、ああ、さすがに身も心も満腹、余は満足じゃ、と脇息にもたれてみせる。
二組の夫婦の金婚式パーテイ、夜の語り合い、夜明けの太陽、海の駅、そして奥会津の蕎麦と肴と笑い、まっこと、楽しく満ち足りた二日間だった。
朝、カミさんが茹でてくれたのを食いながら、これを書いている。
一泊でも旅の余韻がいつまでもつづいている。
ホテル発は10時、海のみえる部屋でゆっくりストレッチをしたりブログを書きあげたりして過ごす。
ホテルのマイクロバスが送ってくれた海の駅、「イワシ博物館」があって、小さいながらイワシ漁に関係する道具や船、衣装などを展示してある。
褌もつけずにすっぱだかで漁をしたのはなぜだろう。
干物のアジの原産地がノルウエーとあったのにびっくり、もうこっちじゃ獲れないのか。
青いポストがなにやら物語めいている。
そのままマイクロが茂原のIさんの店「蕎麦古家」に送ってくれる。
おう、元気だったな!久しぶりにあったIさんの顔をみてほっとする。
「男人生――おのれ回顧と人生浪漫――」と題した宣言が、今もトイレに貼ってある。
その内容は、
二十歳は男の修練時千葉で国鉄マンだったときに、現場で彼を知って、旅行業に関する、その情熱を感じさせる卓越した意見を、僕なりに後押ししたけれど、鉄道優先の土壌の中でなかなか思うことができなかった。
三十・四十は仕事に燃えて
五十になったら己の生き方、舵を切り
六十からが男の人生
欲を切り捨て、未練を捨て
自然の姿で旅に発つ
山河に囲まれ、四季に染まり
小さな起業と自然と共に二度生きる
そのうちにさっさと辞めてしまったと思ったら、奥会津檜原湖の畔の古民家を買って、手打ちそばの店を始めるという。
おいおい、冬は雪に埋もれるような辺鄙なところで、そりゃ無謀じゃないかと、おもいつく忠告もしたけれど、いっこうに気にしないようで、どんどん進めていった。
そのうちに、別の知人から奥会津にとても素敵な蕎麦屋があるから、一緒に行かないかと言われたのがその店だったり、鬼無里会のメンバーのひとりがIさんの尊敬ひとかたならぬ人物であったりして、さらにくすしき縁は、その古民家は鬼無里会で買わないかという話があって、みんなで見に行って、僕が共同所有はなかなか大変だからと難色を示した物件だった。
大きな民家だったので、鬼無里会で泊ったこともなんどもある。
近所から借りた夜具をみんなで敷いて、学生の合宿みたいだった。
蕎麦は名人級になり、天ぷらや自分が釣ってくる岩魚料理などが驚くほどうまくなった。
摘んだばかりの山葵の葉をむしゃむしゃ食うのも楽しみだった。
いろんなところから骨董、古道具を集めて来て、あちこちに飾ったり、内装も自分一人で好きなように凝らしていく。
やがて人の知る所になって、メデイアで彼の生き方も含めて取り上げられたりして、経営も順調になった。
消極的で臆病なアドバイスしかできなかった僕に、ほら、ごらんなさい、と誇らしげだった。
奥会津と茂原(奥様が住む)との二重生活、店を閉じた冬は月に何度か雪下ろしに通うような暮らしを10年ほどつづけて、こんどは茂原のこの店を開いて五年、とうとうこの暮れに閉じるという。
奥会津と茂原、15年のソバ屋が、人生の80%の質的充実をもたらしてくれたと語る。
まさに宣言どおりの男の人生を貫いた。
まず、「山ぶどう酒」の野趣を楽しみ、ついで会津の酒「国権」のぬる燗を「ニシンの山椒漬け」と「桧原の蕗」で、ゆっくり吞む。
ほのかな苦みがやがてやさしい甘さに変り、会津の山や川や懐かしい人たちが脳裏に浮かぶ。
配膳で忙しい合間をぬって、僕のところに来てちょこちょこと話す。
奥会津の民家で泊ったときに、二階の窓からみた星空のこと、じっとみていると孤絶のぞくぞくするような感覚が湧いて来たなどというと、「そう孤独、寂しさ、それはつらいものではなくて、たまらなくいいものなんです、寂しさこそ!」と二人で「寂寥感讃美」だ。
天ぷらを頼んだ人から、茄子の天ぷらを分けてもらう。
とろけるような茄子だ。
お目当ては、これ「岩魚の姿揚げ」
頭からカリッ、香ばしい!カリッカリッ、肉は湯気をたててふっくら、尻尾まであとかたなく平らげる。
どくとくの香気、清流の香気だろうか、いつまでも口中にのこって、酒の味わいを深めてくれる。
徳利の「国権」を飲み終えて、とちゅうで呑まなかった「真澄」を冷やで呑む。
長野の真澄、真澄と言えば、えっと、懐かしのメロデイが口をつく。
「真澄の空に、、」ちゃんと形にならないのを、誰かが思い出して、「丘を越えて行こよ」、ああ、わかったそろって声を張り上げる「若者たち」。
「丘を越えていこうよ、真澄の空は ほがらかに晴れて 楽しい心」
お待ちかねの蕎麦。
やはりうまい、甘みもちゃんとある。
ことしは蕎麦がとれなくて、これは去年のだから、いつものようでなくて、、と申し訳なさそうにいう。
そんなことない、うまいうまい、と言いつつ、奥会津で食べた水蕎麦を思いだす。
ほんとに幻の蕎麦になってしまったな。
物足りなさそうにしていたのをみて、お替りをだしてもらって、ああ、さすがに身も心も満腹、余は満足じゃ、と脇息にもたれてみせる。
いいでしよ、移っていくんですよ、障子に映る影を愛でてみせるアルジ。
お土産に手づくりの「そば羊羹」。
茂原駅まで送ってくれた車を運転しながら、この羊羹の商品化に意欲をみせる男、76歳だ。
三度目の航海に出ようというのか。
三度目の航海に出ようというのか。
二組の夫婦の金婚式パーテイ、夜の語り合い、夜明けの太陽、海の駅、そして奥会津の蕎麦と肴と笑い、まっこと、楽しく満ち足りた二日間だった。
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vitaminminc at 2023-10-24 15:31
なんたる生き様!
前記事から引き続き、
鼓動が高鳴ってモー頻脈です。
前記事から引き続き、
鼓動が高鳴ってモー頻脈です。
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saheizi-inokori at 2023-10-24 16:15
> vitaminmincさん、どうぞゆっくり深呼吸を。
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rinrin1345 at 2023-10-24 18:49
saheiziさんの周りはドラマに出てきそうな方達ばかりですね。素晴らしいです。
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saheizi-inokori at 2023-10-24 18:54
> rinrin1345さん、人みなドラマの主人公だと思いますが、彼は並外れのドラマに見えます。
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asahinahikari2 at 2023-10-24 20:59
落花生のお写真が私の畑で収穫したばかりのものに見えました。
茹でピーナッツ美味しいです。
小豆島では黄緑のポストでしたが、千葉では青
偶然に似た景色を見ていました
友人の確たる素晴らしい人生に拍手をします
茹でピーナッツ美味しいです。
小豆島では黄緑のポストでしたが、千葉では青
偶然に似た景色を見ていました
友人の確たる素晴らしい人生に拍手をします
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gakis-room at 2023-10-24 21:24
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mumonngamaTNK at 2023-10-24 22:45
うわー!
羨ましー!
羨ましー!
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mumonngamaTNK at 2023-10-24 22:46
羨ましい!でした。
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saheizi-inokori at 2023-10-25 08:41
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saheizi-inokori at 2023-10-25 08:42
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saheizi-inokori at 2023-10-25 08:44
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noboru-xp at 2023-10-25 09:34
佳い2日間でしたね。お酒が美味しく飲めるのは健康で平和の証。
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saheizi-inokori at 2023-10-25 11:29
> noboru-xpさん、仰る通りです。感謝です。
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at 2023-10-25 18:59
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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saheizi-inokori at 2023-10-26 10:59
by saheizi-inokori
| 2023-10-24 13:43
| こんなところがあったよ
|
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Comments(15)