切ない気持ち
2023年 10月 16日
きょうも照れ臭くなるほどの秋晴れ、ベランダを洗濯物で満艦飾にするしかないな。
きのうのNHKのど自慢は秋田の大仙市からの放送だった。
亡き友の住んでいたところだ。
奥様に知らせてあげたら、彼女も見ているということだった。
いつもは見ない番組だけれど、故人が親しくつき合ったりした人たちが、ここにいるに違いないと思って、半分ほどみていた。
悲劇や喜劇、いろいろあるのを包み込んで故郷は存在し続けている。
出場者たち、あまり上手ではなかったけれど、楽しそうなのがいちばんだ。
金ふたつに、いかにも残念そうにリアクションをするのが、おかしかった。
パット・バーカー、ぼくと同い年の作家の「女たちの沈黙」を読了。
3000年も前の、ゼウスが人口を減らし、将来のライバルたちを殲滅するために起こしたトロイヤ戦争を描いた「イリアス」が、ギリシャ軍に滅ぼされてアキレウスの「戦利品」になった王妃・ブリセウスの視点で語り直される。
「女には沈黙こそ似つかわしい」という格言を聞いて育てられた女たち。
彼女たちの知らない、理解できない事情で戦争が起こり、その結果次第で、「戦利品」として、夫を息子を殺した敵の寝床に連れられて、男を満足させなければ、兵たちの共有に下げ渡されて、より悲惨な運命が待つ。
意志のないモノとして扱われる女が、戦争のきっかけになる、それは男の意地であり見栄でもある、戦いたくてしょうがない男なのだ。
ブリセウスは一個の人間として、ぎりぎりの状況で自由を求め続ける。
アキレウスの母は海の神テティウス、人間と結婚させられたことを恨むが、アキレウスのことはいつまでも気になってならない。
泣く子も黙る英雄・アキレウスもマザコンでありファザコンだ。
不安神経症になった、40代の母が、全国の見ず知らずの女性たち20人ほどに、手紙を送って始めた文通、多い時は40人ほどから届く手紙を編集して、自分で謄写版に刷って配り続けて六年。
そのなかから選んだ手紙を「女達の手紙文集 花 総集編」にしたのが手元にある。
まだちゃんと読んでいないのだけれど、日本のお母さんたちの喜びと悲しみが綴られていて、そういうことをきちんと意識せずに、生きてきた身を悔いいらせる。
そのなかに、亡妻の母(つまり義母)の手紙の文章も載っている。
僕がまだ亡妻と結婚する前から、引き揚げ者同士の母と義母は仲良しだったのだ。
そのひとつ、「終戦の日に」と題した昭和59年8月21日付けの手紙。
きのうのNHKのど自慢は秋田の大仙市からの放送だった。
亡き友の住んでいたところだ。
奥様に知らせてあげたら、彼女も見ているということだった。
いつもは見ない番組だけれど、故人が親しくつき合ったりした人たちが、ここにいるに違いないと思って、半分ほどみていた。
悲劇や喜劇、いろいろあるのを包み込んで故郷は存在し続けている。
出場者たち、あまり上手ではなかったけれど、楽しそうなのがいちばんだ。
金ふたつに、いかにも残念そうにリアクションをするのが、おかしかった。
パット・バーカー、ぼくと同い年の作家の「女たちの沈黙」を読了。
3000年も前の、ゼウスが人口を減らし、将来のライバルたちを殲滅するために起こしたトロイヤ戦争を描いた「イリアス」が、ギリシャ軍に滅ぼされてアキレウスの「戦利品」になった王妃・ブリセウスの視点で語り直される。
「女には沈黙こそ似つかわしい」という格言を聞いて育てられた女たち。
彼女たちの知らない、理解できない事情で戦争が起こり、その結果次第で、「戦利品」として、夫を息子を殺した敵の寝床に連れられて、男を満足させなければ、兵たちの共有に下げ渡されて、より悲惨な運命が待つ。
意志のないモノとして扱われる女が、戦争のきっかけになる、それは男の意地であり見栄でもある、戦いたくてしょうがない男なのだ。
ブリセウスは一個の人間として、ぎりぎりの状況で自由を求め続ける。
アキレウスの母は海の神テティウス、人間と結婚させられたことを恨むが、アキレウスのことはいつまでも気になってならない。
泣く子も黙る英雄・アキレウスもマザコンでありファザコンだ。
不安神経症になった、40代の母が、全国の見ず知らずの女性たち20人ほどに、手紙を送って始めた文通、多い時は40人ほどから届く手紙を編集して、自分で謄写版に刷って配り続けて六年。
そのなかから選んだ手紙を「女達の手紙文集 花 総集編」にしたのが手元にある。
まだちゃんと読んでいないのだけれど、日本のお母さんたちの喜びと悲しみが綴られていて、そういうことをきちんと意識せずに、生きてきた身を悔いいらせる。
そのなかに、亡妻の母(つまり義母)の手紙の文章も載っている。
僕がまだ亡妻と結婚する前から、引き揚げ者同士の母と義母は仲良しだったのだ。
そのひとつ、「終戦の日に」と題した昭和59年8月21日付けの手紙。
終戦記念日、いつも書く家計簿の余白に、やっぱり当時のこと、切々たる思いをそのまま書きました。もっと、こちらから聞こうとすればよかった。
オリンピックより何より、沢地女子が大岡昇平氏と話しているテレビに、うんうんとうなづきながら、胸いっぱいで聞きました。
体験のないものにはわからないことがたくさんあります。四人の子供もどの程度知っているか。でもそれを語り伝える元気もでない程、今の若者達の気持ちが変ってきています。
人間同士の殺し合いがなぜ起こるのか、納得いきません。科学が発達すればする程、それが武器――人殺し―に何故つながるのか。
言いたいことだらけが、胸に満ちてあふれんばかりなのに、じっと秘めているのみの自分。本当に切ない気持ちです。
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koro49 at 2023-10-16 11:46
最近過去旅が多くなって、それも老いの道のりなんだと思うのですが、お手紙拝読して、今も昔も変わらず人間は同じことをしているのだと、虚しくなります。
そして化学が発達すればするほど、愚かな戦争による被害は拡大するばかり。
本当に切なくなるばかりですね。
そして化学が発達すればするほど、愚かな戦争による被害は拡大するばかり。
本当に切なくなるばかりですね。
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saheizi-inokori at 2023-10-16 12:13
> koro49さん、過去に学んで賢くなる、人間にできるはずだと思うのですが。無理なのか。
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tsunojirushi at 2023-10-16 12:22
心に沁みるお話とお手紙です。これを本に纏められたことも凄い。
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saheizi-inokori at 2023-10-16 17:08
> tsunojirushiさん、活版印刷も覚えて作りました。
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yoko68
at 2023-10-16 17:24
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saheizi-inokori at 2023-10-16 19:16
> yoko68さん、内職にタイプをして中古の電動謄写印刷機を買っていました。
出版された主婦たちの随筆集のメンバーに会ったり、友人やその縁者や友人などに手紙を出したようです。
多忙ななか、かなりの労働量ですが、喜びをもつて体力の限界まで続けたようです。
出版された主婦たちの随筆集のメンバーに会ったり、友人やその縁者や友人などに手紙を出したようです。
多忙ななか、かなりの労働量ですが、喜びをもつて体力の限界まで続けたようです。
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saheizi-inokori at 2023-10-16 19:20
> yoko68さん、追って、新聞などで知った人にも声をかけたそうです。
今とはまるで違う世界の心に響くお手紙ですね。
全部理解は出来ない私達です。
大変な世界に身を置き子供を育て上げその苦労がちょっと滲み出ていたりもするお手紙です。
「女たちの沈黙」を読了されたのですね。以前ギリシャ神話に関する本をトロイの木馬を見に行った時に読み色々な名前が出てきました。アキレウスの王妃は記憶にないです。
全部理解は出来ない私達です。
大変な世界に身を置き子供を育て上げその苦労がちょっと滲み出ていたりもするお手紙です。
「女たちの沈黙」を読了されたのですね。以前ギリシャ神話に関する本をトロイの木馬を見に行った時に読み色々な名前が出てきました。アキレウスの王妃は記憶にないです。
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りんご
at 2023-10-16 21:13
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ユリが美しいですね おかあさまがおふたり~
イスラエルとパレスチナ・ガザ地区の悲惨な状況は、ドイツでも2007年の
ガザ封鎖以降、ずっと刻々報道されており報道の役割の重要性を痛感です
他方、ジャニの件で露わになったジャニとNHKや民放報道各社との関係や
屋号が消える本日「ありがとうJ事務所」と報道する各社の記事、ファン
の気持ちを優しく代弁するNHK報道に開いた口がです。 正気ですか
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saheizi-inokori at 2023-10-16 21:20
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saheizi-inokori at 2023-10-16 21:24
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at 2023-10-16 23:19
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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saheizi-inokori at 2023-10-17 09:19
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kogotokoubei at 2023-10-18 06:57
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saheizi-inokori at 2023-10-18 08:48
> kogotokoubeiさん、いいですね、聞いてあげることが親孝行にもなりますね。
by saheizi-inokori
| 2023-10-16 11:08
| 今週の1冊、又は2・3冊
|
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Comments(15)