スイングしなくちゃ

いろんな問題が起きるたびに、コメンテーターとかいう芸人たちがものをいう。
いつも感じることだが、ジャニーズの件はことさら「目くそが歯くその、おならが○○チの悪口をいっている」という感じが強い。
被害に遭ったと云ってる人に無名なタレントが多く、今をときめく連中は口を揃えて、被害に遭ったことはなく、そういうことは噂でしか知らなかった、という。

そんな茶番よりももっと、深刻なのは、外務大臣がやってのけた、日本滅亡への外交だ。
chronoirさんの、至極まっとうな発言が、もしかすると「異分子」の、もしくは非国民の発言のようにうけとめられかねないのが、目くそやおならの横溢する我が愛する日本国のような気がしてならない。


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(赤坂区民センター)

久しぶりに赤坂区民センターに行ったものだから、地下鉄の青山一丁目が表参道の次であることに(スマホでコメントの返事を書いていて)、自信がなくなり、近くの乗客に尋ねても、二人ともわからないというので、慌てて表参道でおりてしまい、えい、赤坂見附から行こうと銀座線に乗り換えたら、やれ嬉しや、青山一丁目も通るのだった。
駒場を歩いて上京したばかりの頃を懐かしんでいたら、タイムスリップして、あの頃のような西も東もわからないポット出のお兄ちゃんになっていた。

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青山の交差点で、どっちにいったらよいのか自信がなく、自転車に乗っていた素敵なマダムに尋ねたら、彼女も一緒になって、思案してくれて、そのうちに僕が解り始めたから、こっちです、ありがとうと歩き始めた。
颯爽と去った彼女が向こうからやってくる。
素敵だな、さっきはどうも、と会釈をしたら、自転車からおりて、ここをいくと港区の行政施設のなかにホールがあるようです、とそれを教えに戻ってきてくれたのだった。

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ぎりぎりの時間にホールに入ると、後ろの真中、音楽を聴くには最高の席が空いていた。

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赤坂の商店街・エスプラナードの主宰する25回目の、「初秋を粋なスイング・ジャズで楽しむ」、赤坂スイング・オールスターズという、赤坂に縁のあるミュージシャンが集まってのコンサートだ。

94歳、今や伝説となりつつある秋満義孝(ピアノ)と根市タカオ(91歳・ベース)、クラリネットの花岡詠二、ドラムスの八城邦義、ギターの佐久間和、ヴォーカルは鈴木史子だ。

「Song Of The Island」ハワイアンの『ナレオ』で始まり、「Rose Room」
ナマはいいなあとは思うが、汗をかきかき来たほどの事はなかったか、とちょっと乗れなかったら、軽妙洒脱な司会をつづけていた花岡が、小さなソプラノサックスを見せて、シドニーベシエが、これで「小さな花」をヒットさせたと語り、これはいわば番場の忠太郎の「涙の母」ですと、ベシエの 「Si Tu Vois Ma Mere」これでいっきょに僕は懐かしい駒場時代に引き戻された。



ついで「Someday Sweetheart」、そして「I Get Ideas」、おお、サッチモだ。
真っ黒な、てきぱきガールだった鈴木史子は、「年をとると色が黒いとシミがめだつようになるから」と色白ガールで登場、たしか、、まあ、年のことは言うまい。

「Over The Rainbow」を情感たっぷりに歌って、「Amapola」で、映画「ワンスアポンナタイム・イン・アメリカ」を思いだしていると、歌い終わった史子さんも、この映画のどの場面のBGMだったかに触れた、こういうときってなんとも不思議な一体感を覚えてしまう。

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休憩、ロビーで返信の続きをしていたら、素敵なマダムが真っすぐ僕の方に歩いてくる。
さっきの方とは違う人だ。
三歩くらい前で、にっこり笑って「運動してるの」「あそこが赤坂御所ですよね」、ええ、たしか前の皇太子、今の天皇が住んでいるところではないかな、そうだったっけ、と自信のないまま、言葉を交わす。
皇族のことには暗いのだ。

「Sunflower」
「Bei Mir Bist Du Schoen」 みごとなベースのソロ、ギターとの掛け合い、ジャズはかけあいが命だ。

「Lester Leaps In」 こんどはドラムスが熱くソロ。拍手が盛り上がる。

花岡が、ザ・ピーナッツは知らなくてもこまどり姉妹は御存じでしょうと与太を飛ばして、ふたたびベシエの「Petite Fleur」

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懐かしい、と僕が云うのは、ラジオなのだ。
テレビでもない、レコードでもない、ましてCDとかではない、出世してやっと五球スーパー、それから三菱ダイヤトーンのステレオ小型ラジオ、何かしながら、多くは本を読みながら聴いた曲ばかりだ。
そうした曲が、いつのまにか僕の体にしみついて、今の僕を作っているから、懐かしいのだ。

田舎出の僕は、渋谷駅の近くに住んでいても、青学とか赤坂とかは、神聖にして冒すべからざる場所で、ペギー葉山のリサイタルの時を唯一の例外として、足を踏み入れることなく青春を過ごした。
それでも、そこで育ったような人たちがそこで演奏していたような音楽が僕の青春を包んでいたのだ。
けさは忙しくて、ちゃんと貧乏ゆすりが(3か月続けている)できなかったので、ここをせんどと足でリズムをとりながら、そんなことを改めて思った。

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秋満が「アメリカの良き時代の曲、こういう曲が忘れられないように、弾き続ける」と(ぼそぼそ)語った「Time On My Hands」

ふたたび真っ白なジャケットをパンタロンの史子さん。
「Besame Mucho」を上品に歌い、
「HushーA-bye」をうたい、「Caravan」で賑やかにしめた。
アンコールは、プログラムの裏に英語の歌詞が載っている「Tennessee Waltz」を会場の僕たちと合唱して名残りを惜しんだ。

以前より抑えた歌い方が、断然よくなった史子さん、後ろの席で顔がはっきりみえないのがかえっていいようなおじいちゃんたちの、シャレたスイングジャズ。
懐かしいひと時をありがとう。
僕もちったあスイングしたぜ。

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シンガポールにいる息子夫婦が千疋屋の梨を送ってくれた。
初物、亡き人に供えて、僕も食う。
天の雫のような甘さ!

Commented by stefanlily at 2023-09-10 23:24
こんばんは、
ジャニーズ報道よりも大事なことがある…実際そうですが、他のことへ目を逸らして、ジャニーズを庇うファンだと誤解されかねないですよ。気をつけられた方が良いかと。被害者さんを責めるファンもいるのですから。BBCを始めとする海外メディアや国連がジャニーズ=日本という捉え方をしているのは事実なのですから。想像以上に大きな事態になっていますし。
90才前後のジャズミュージシャン! ジャズを映画で効果的に使ってるクリント・イーストウッドやウッディ・アレンもかなりの高齢ですね。
私はやはり英国のロックですね。
ポリスやストラングラーズとか、ジャズやプログレに行きかかってるバンドもいますが。
クラシックの素養があったり、演奏が巧いバンドはその傾向にあります。私は必ずしも演奏は巧くなくて良い派です。
だから、ジャズやクラシックにそれ程思い入れられないんですね。
Commented by Solar18 at 2023-09-11 00:45
素敵な学生時代を過ごされたようで、ちょっとうらやましいような、、。
Commented by saheizi-inokori at 2023-09-11 10:01
> stefanlilyさん、ジャニーズ報道がジャニーズ新会社がどうのこうのと言っているだけでは、目くそ鼻くそです。
きちんとメデイアも加害者の一翼を担ったことについて厳しく検証しなければナンセンスだと思います。
私はそういうジャンルの違いがよく聞き分けられません。
好きな曲とそうでない曲の二種類です。
けさキースジャレットを聞いてますますそういう感じがしました。
Commented by saheizi-inokori at 2023-09-11 10:03
> Solar18さん、そうですか、どこが羨ましいのかちょっとわからないなあ。
健康で大學に在学した、ということかな。
アルバイトと酒だけのダメな学生でしたが。
Commented by tanatali3 at 2023-09-12 18:37
一口にジャズと言っても色々ですが、義理の両親がビッグバンドをこよなく愛して、その影響を受けました。それに、レストラン時代に生演奏を聴かせてくれたジャズメンの方々、いつの間にか体に染みつきました。スタンダードナンバーがほとんどですが、懐かしい思い出です。その他ソウル、ブルース、ロック、演歌、最近カントリーも聴きますが、生が一番ですね。
Commented by saheizi-inokori at 2023-09-13 09:56
> tanatali3さん、ナマはいいですね、全く違う世界です。
落語なんかも生で聴くのがほんとだと思います。
音の良さや即興の面白さもさることながら客との相乗効果で感情が盛り上がりますね。
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by saheizi-inokori | 2023-09-10 13:58 | 能・芝居・音楽 | Trackback | Comments(6)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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