捨て石

だるくてもしんどくても、身体を動かせることに感謝する。
ぐるぐる肩を回して、つま先立ちして、、、きょうは片足立ちの右が5分18秒、左が4分10秒、新記録達成!
ドンドン汗をかいてドンドン洗濯して、ベランダは満艦飾、洗濯の工程でいちばんココロオドル瞬間だ。
とおもったら、あと15分で降り出します、ほんとに降って来やがったぜ。
それでもそれまでのカンカン照りでだいぶ乾いていた。

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会津坂下駅で構内に農協の肥飼料倉庫を作った時の先輩「相棒」、川島さん・99歳から敗戦の日の新聞の切り抜きが送られてきた。
文科系学生の徴兵猶予が停止されたのが僕の生れた1943年だ。
その10月21日に川島さんは、神宮外苑競技場の出陣学徒壮行会で、専修大学の旗手を務めていた。
「海ゆかば」を女子学生たちが大合唱する。
悲壮感がみなぎり、しめつけられる思いで胸はいっぱいとなり、土砂降りの雨に濡れた校旗が重かった。
その夜、仲の良い友達と浅草の料亭まで歩いて、特配の酒で別れの盃を交わす。
つまみは、でっかい皿に輪切りの大根、それに海苔がまぶしてあるだけ。
川島さんの話の最後。
大学での学びが中断されていなければ、私たちには希望があったはずです。
次代の者たちのため「捨て石」になる。それが学徒兵だったんですね。
その次代の者たちはどうなった?
非戦の誓を忘れて憲法を捻じ曲げ解釈、軍事大国たろうとして、民の暮らしはぜんぜん青息吐息、豊かなワダツミにも毒入りの水を注ごうとしている。

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信号待ちをしている僕に、「すみません、あれに何と書いてありますか?」と老人、バスの行先表示の字が長い停車場名だと読みにくいのだ。
「成城学園駅前」ですと教えてあげると、「いやあ、年をとると目がねえ」というから、つい「私も年寄りです」というと「いや、そんな、お若いじゃないですか」「同じくらいですよ」と僕。
「いや、私の方が上です!いくつですか、私は13年!」と挑むようにいうから「18年です」というとちょっと勝ち誇ったように、「それじゃ、戦争を知りませんね」という。
「ええ、終戦二年前ですからね」というと「小6だった、兄がシベリアから帰ってきたときは嬉しかったなあ」と昨日のことのようにいった。
頑張れ、先輩!

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「天皇の世紀」は、彰義隊の成り立ちと、これを鎮めようとして説得に来た山岡鉄太郎と覚王院義観の問答などを読んで、話は新政府のことに移る。
形ばかりは作っても、じっさいは倒幕のことでてんやわんや、まだ政治と言うべきものは、古い藩に任せているなかで、大阪遷都を大久保利通などが言い出す。
御簾の中に引きこもって、京都の街すら知らない天皇では人心一新はできない。
大久保の天皇論は人間天皇だ。
世襲の特権的地位にしがみつき、無内容、無気力な公卿たちは、大反対だ。
大反対するところに問題があるのだから、なおさら遷都は必要なのだが、公卿たちに厳しい革新を求める岩倉は京都に執着があって、とりあえず大阪に討幕御親征の為に長期の行在をさせることになった。

代々の天皇も御所の外に出ることは滅多になかったことで、即位早々の若い明治天皇は、初めての外出だった。
総数1655人が供奉する行幸、莫大な費用がかかり、京大阪の富商に切願依頼するしかなかった。

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四十数日の大阪駐輦の間に、イギリス公使・パークスが他に先駆けて新政府に接近の意志を見せて、女王の信任状を奉呈に来て、天皇に謁見した。
内乱のさなかにイギリスが新政府を国家として承認したものであるが、日本の外国事務掛はその意味を十分に理解しないまま、不慣れな儀式をたどたどしく演出しただけに見えると大佛。
この時に、イギリスと陸奥宗光との間で、新政府が発布した耶蘇教禁止令についても議論がなされ、日本側は「邪宗門」という言葉を改めるなどといったが、相変わらず浦上から四千名の日本人を追放した。

謁見の翌日、日本の貴人がロドニー号に招待されて提督と軽食を共にしたときのことを書いたアーネスト・サトウの記録から。
来賓の大部分は知識のある人々なので、態度もよかったが、長州侯は大きい赤ん坊のようにふるまって、私を隣席へすわらせようとしてきかず、またシャンパン酒をからだに悪いほど痛飲した。ところで、日本の諸侯はばかだが、わざわざばかになるように教育されてきたのだから、責めるのは無理だという気がした。ミカドの母方の子息は、ヨーロッパの猫を見たいとせがみ、また一人の大官は黒奴(ニグロ)を見たいと言い出したので、私たちはこれらの希望をかなえてやるのに苦労した。
大佛次郎はこう評している。
小さい事実の記述に、日本人のいつの場合にも見せる楽天的表情が現れている。ブレーキなく動き出した向日性であった。小さいことにも強い好奇心が動くのである。全体の事相に把握が働くまでには至っていなかった。
たしかに、僕にもそういうところはあると思う。

Commented by tona at 2023-08-22 16:44 x
だんだんお元気になるsaheiziさんですね。
よかった!!
Commented by saheizi-inokori at 2023-08-22 18:21
> tonaさん、ありがとう。病院通いは続きますが。
Commented by eblo at 2023-08-22 19:29
いつの時代も捨て石になるのは、捨てるには勿体ない石、後の世で惜しまれる。
拾われもしない石はしたたかに生き残って歴史を作っていく。
石のどこが違うのでしょうね。
Commented by saheizi-inokori at 2023-08-22 20:20
> ebloさん、捨て石を作る権力者が愚かなために、次代に人が育たないのかも知れませんね。
Commented by tanatali3 at 2023-08-25 07:18
病院通いをされながらでも、常日頃の健康維持と脳の活性化、脱帽です。
通りすがりの老人との歳の比べっこ、いいですね。
ほんとうに、戦争を知らない人たちが閣議決定とやらで世の中を動かすに至っては、何をかいわんやです。
Commented by saheizi-inokori at 2023-08-25 10:06
> tanatali3さん、彼はもっと話したかったようです。
「戦争の話を若い人にしてやってください」とお願いして別れました。
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by saheizi-inokori | 2023-08-22 12:49 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(6)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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