夏の思い出

朝、洗面所の鏡を拭いていて、ふと思い出した「夏の思い出」。
夏がくれば思い出すこの歌。
大学時代のゲルピン尾瀬の旅、長蔵小屋でビールを吞みすぎて帰りのバス賃がなくなって、土合まで歩こうと山道を歩いていてトラックの運転士に拾ってもらったこと、小学校の戸隠のキャンプで飯盒炊爨のとちゅうで夕立に降られたこと、国鉄に入社して本社に配属になった初めての夏、Ｙ先輩たちと同期生の有志が大挙して知多の海岸に合宿、浴びるほど飲んで山と海の歌合戦をしたこと、そのＹさんももういないこと、僕の創った広告会社の秋田支店を作って竿灯を眺めて酔った夜のこと、いつしよにそれをみた人ももういないこと、、そういう具体的な思い出もさることながら、これといって形を成さない、漠とした、懐かしさの立ちこめる「思い出」の世界に誘い込まれる。

心が思い出モードになっていたら、fusk-en25さんの布巾を作る記事を読んで、小学校の家庭科の運針で雑巾を刺したことを思いだし、ついで立体地図を作れという夏休みの宿題で、不器用なもんだからやたらとせり出した崖の多い山ばかりになってしまったことも思い出した。
登校日にあれをもっていくのは嫌だったなあ。


せんじつ「よくよく考えて必要のない用件の外出は控えろ」という日に、歯科医にいかねばならず、タクシーが拾えぬばかりに、むしろいつもより遠回りをして9千歩歩いたのに続いて、昨日は眼科医に行くのに、やはり白昼炎天下を歩く羽目になってしまった。

まず歩いて８分ほどの郵便局に行ってレターパックを出す。
家を出ると、カアーっという暑さが上から横から下からも押し寄せる。
日傘をさしても、さして変わらぬ熱さ。
そのすぐ近くの図書館で予約しておいた本を借りる。
汗をかいて涼しいところで休めるのがありがたい。

図書館の前で、頼りない木陰に隠れて8分、やってきたバスを危うく逃しそうになるのを木陰から飛び出して捕まえる。
等々力七丁目でおりて、西友の店内を突っ切って目黒通りを、日陰とてないなかを20分弱歩き続けて眼科医に到着。
午後の診療は3時からなので、その前に着きたかったけれど、すでに3時を大きく回って、四人ほど待っている。
視力、眼底、目玉の検査で異常なく、いつものドライアイの点眼薬を処方してもらって、外に出る。
少し戻って横断歩道を渡ってバス停に走るようにして飛び乗ったバスは、何と渋谷行きで次のバス停で降車のやむなき、目黒行きは暫く来ないので、下り坂を幸いにだらだらと歩き出す。

「上だす」の「ば」を消して「上ます」、なんのこっちゃ？
横に置いてある古びたバッグを「あげます」ってこと、熱いのにめんどうなことしてくれないでほしい。

15分も歩いて、「タクパン」に蹌踉と入店して候。
久しぶりに会うお姉さんが、真顔で「大丈夫ですか」と訊ねてくれる。
いつもなら、がら空きの商品がほとんど残っている、「暑いからねえ」と二人同時に言い合った。

予約しておいた一週間分のパンを、つぶさないように袋に入れてくれたのを、つぶさないように持って、薬屋で目薬を貰う。
さっき入れたばかりというペイペイの読み取り装置に苦労して読み取ってもらう。

そこからのバスは、家から一分足らずの所に止まってくれる。
ありがたいことに席も空いていて、茹蛸寸前の爺さんは恥も外聞もなく座り込む。
というわけで、朝の便箋仕入れの往復二回もいれて、きのうもやっぱり9900歩となった。

シャワーを浴びて、ほっとしていると千葉の昔の仲間からの電話。
朝のブログで書いた「千葉の名刹古刹」を送ってくれた人は誰か、と、それをきっかけに昔の思い出の数々、墨田川の花火、両国「ぼうず」で食った軍鶏鍋のことなどが懐かしい。

こんどの病院は9日の皮膚科、また地獄の特訓となるか。
夏の思い出に病院通いの特訓が加わりそうだ。