ごまかしの政治 世界8月号特集「安部政治の決算」

サンチの診察で動物病院に。
暑いことは暑いが、昨日までの異常な暑さではない、とはいえ30度。
体重は二週前より150グラム増えて、増加傾向、この分だともう少しご飯(缶詰)の量を増やしてもよさそうだ。
缶詰と四種類もの薬をリュックに背負って帰る。
「○○円、頂いていいですか」、こう聞かれると、「いやだ」といいたくなるけれど、じっさいには「いやだ、といってもダメなんでしょ」というと、待合室の二人のおばさんが、声を揃えて笑ってくれた。
サンチが15歳というと、元気ですね、と言ってくれるのが優しい。

ごまかしの政治 世界8月号特集「安部政治の決算」_e0016828_13524184.jpg

きのうは、思いついて昼飯後すぐに図書館に行った。
予約した本を受け取り方々、持ち出しできない雑誌「世界」の八月号を読むのだ。
壁に向かって一列に8つほど椅子がある、そのひとつが空いていたので、そこで読んだ。

ごまかしの政治 世界8月号特集「安部政治の決算」_e0016828_13532648.jpg

エアコンがよく効いて、家の扇風機読書より涼しい。
メモ用紙もボールペンも図書館にあるのを借りて、都民税のいくらかを返してもらった気分。

「世界」の八月号がツイートで凍結されているのは、なぜだろう?
「安倍政治の決算」という特集のせいではないか。
そんなツイートをみて、実物を読みたくなったのだ。

石川健治「始原について」。
アベが2013年の第一次政権発足してすぐに憲法96条の改正を言い出した。
これは憲法改正のルールを決めた条文で、ほかの条文より上位にある。
その改廃は、「革命」もしくは「クーデター」とでもいうべき性格を持っている。
アベ・自民党は、憲法改正の発議要件が、総議員の3分の2以上の賛成となっているのを単純過半数(2分の1以上)に緩和しようというのだ。
石川は、これを
議会・政府による憲法破壊を「国民の名によって浄化する試み」であり、熟議の府としての矜持を喪った議会人、反知性主義の跋扈が情けない。
樋口陽一教授の憲法の講義を前列でメモを取りながら聴いていた幾人かの国会議員たちの顔が浮かんで、自分が恥ずかしくないのか、と思った。
という。
さすがにこんな暴挙は引っ込められたが、
すべての事物はアルケー(始原)から生ずる。
大統領の任期延長のために憲法を改正しようとして失敗し、憲法を破壊したナポレオン三世は、普仏戦争に負けるまで18年間皇帝として君臨した。
アベは
金融貴族を味方につける一方で、過去の「亡霊」を呼び起こす意識的演出で大衆を引き付け、自分都合のプレビシット(人民党票)でその都度政権を延命し、党則を変えてまで総裁を続けて「民主的皇帝」としてコロナ敗戦まで8年君臨した。

ごまかしの政治 世界8月号特集「安部政治の決算」_e0016828_13551171.jpg

牧原出は後藤謙次との対談で、アベがニコニコ動画で復権したことやエンタメ好きなところ、不安定で頼りないところ、専門用語を間違えたりするところに、ファンならぬ「推し」がついたのではないかという、政治家に求める資質が変わってきているのだと。

また、小泉はペーパーなしに喋れる閣僚を周りに置いたが、アベは自分がペーパーなしでは喋れなかったから、閣僚も自分の頭で考えて喋れる人がいなくなって、閣議で闊達に論争・議論することもなくなった。
生活感のない政治家が多くなった。
政治主導と言いながら、自分の頭で考えて指示がだせず、ただ俺の考えたかのように作文せよと官僚に命じ、それが少しでも気に入らないと叱る。
そんなところから、優秀な学生の官僚離れも始まったのではないか。

ごまかしの政治 世界8月号特集「安部政治の決算」_e0016828_13564937.jpg

重田園江は、「お友だち」という言葉をキーワードに、アベが自分に逆らわず、その意をむかえて行動する人物を、制度の慣行によらず「閣議決定」などで抜擢した、そのことによって官僚制度そのものを毀損したと指摘(それも学生の官僚離れをうむ)、内閣法制局長官と日銀総裁の事例を挙げる。
衰退する一方の経済の中で、限られたパイを奪い合う状況が生じ、既存の大手企業と政府の新しい形の結託が始まる。
電通、パソナ、富士通、ベネッセ、、、コネによる補助金事業、中抜き、、まいにちのようにSNSなどで暴露されて記憶に新しい。
権力者を中心として、権力と金とが配分される狡猾な仕組み
が出来上がった。
その仕組みを明らかにするとともに、打ち倒すこといまやるべきことだ、という。

ごまかしの政治 世界8月号特集「安部政治の決算」_e0016828_13580754.jpg

そのほか、「官製歴史修正主義」の新たな、開き直り的展開。
手段であるべき経済成長が目的化して、環境問題、人口減少、資源制約などの現実をしっかり見据えた政策がとられないままに、弥縫策の連続で救いがたい悲惨な状況に陥っている経済。
などなど、今なお辺りに立ちこめる我慢ならない腐臭の源を作ったアベ政治を糾弾する論稿が續くが、時間ですよ、ぜんぶは読めず、読む気にもならなかった。
この内容でツイートが凍結されるとは思えなかったが。

ごまかしの政治 世界8月号特集「安部政治の決算」_e0016828_13591827.jpg

僕は、アベ政治とは「ごまかしの政治」だったと思う。
世の中の真実に、真っ向から向き合って、真摯に対応する。
そのプロセス・結果を正直に国民につげて、さらなる対策への理解を求める。

そういう姿勢の一ミリだに見られない、ごまかしに始りごまかしに終わる、最低の政治だったと。
たとえ世界観が違っていても、彼が自分がやろうとすること、やってどうなったかの報告、これからの対応などについて、誠意をもって話し、行動していると感じられたら、こうまで嫌いにはならなかった。

Commented by jyon-non3 at 2023-07-20 16:22
サンチちゃん、15歳!いつまでも元気でね。
Commented by テイク25 at 2023-07-20 16:39 x
こうして読むとひどい政権だったと改めて思います。小泉政権から崩れ始めたとはいえ、アベの無知無恥政権が閣議決定を乱用し規則を変えて権力の座に居続けたが故に、立憲政治の崩壊が加速されたのですね。
「世界」8月号はアマゾンでも買えなくなっているので、佐平次さんがまとめて下さったものを読めて良かったです。私も図書館でメモを取りながら読んで来ようと思いました。
Commented by saheizi-inokori at 2023-07-20 18:11
> jyon-non3さん、ありがとう。骨川筋右衛門だつたのが少し肉がついてきたようでホッとしています。
Commented by saheizi-inokori at 2023-07-20 18:15
> テイク25さん、特集の一部しか紹介てきなかったですが、長谷部恭男の集団的安保法則違憲論などもあり、読み応えはあります。
Commented by doremi730 at 2023-07-20 18:34
サンチが元気そうで嬉しいです♪
Commented by saheizi-inokori at 2023-07-20 19:09
> doremi730さん、ありがとう。
老人コンビで夏を乗り切ります。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2023-07-20 14:06 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(6)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31