砧公園からゴビの砂漠へ

呼吸器内科の先生、「六回目ワクチン打ちましたか」「いいえ」「まあ、どうでもいいけれど」「わたしはリスクが高いのでしょう?」「そういうことになるけれど、なんしろかかっても(増えている)、ビックリするくらい軽いから」。

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はやめに循環器内科も終わったので、砧公園にいく。
とちゅうで自転車に乗ってきた初老の女性が、すれ違ったかと思うと、ガチャンと横転。
駆け寄ると「頭を打ってないから大丈夫です」「大丈夫ですか」助け起こして、自転車と転がったバッグもちゃんとさせてあげる。
どうやら足や手も無事だったようだが、危ないなあ、車のくる道だったら大変だ。

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砧公園は、緑、緑、緑。
シャボン玉とばそ、鬼さんこちら、幼児たちの姿が絵本の絵のようだ。

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なんだか今日は介護する人に付き添われて歩く人が多かった。
ぬくもりのある手をしっかり握りしめて歩く人たち。

犬の散歩も。
「いくつですか」とおさだまりの言葉をかけてみる。
そして、家にいるサンチのことを話してみる。

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花卉市場の食堂でランチにしようと思っていたら、カミさんからラインで用賀によさそうなカフエがあるとライン。
予定変更でそっちに行ってみた。
毛むくじゃらの犬がじゃれてくる。

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犬を連れた若いカップルは、犬がかわいくてかわいくてたまらない、そういう態度を狭い店内に撒き散らして、中年の女性二人が、それに相和している。

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ランチはないので、かわりにイチジクのケーキを食べた。

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こういう低いカップ(水)は、安定がよいし洗いやすいので、吞みやすいだけでなく働く人にも有難いのだ。
見た目に気どった食器で壊れやすかったり盆の上で運ぶと転びやすいようなものを使う経営者はスタッフのことを大事にしていないと思う。

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朝出がけもトースト一枚で、ケーキだけではちょっと足りない感じもあったが、カロリー的には十分だし、予算もオーバーしたので(今日の薬代2300円)、それで昼食として(マリーアントワネットだね)帰宅する。

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沢木耕太郎「天路の旅人」、375ページまで読む。
26歳の西川は蒙古人になりすまして、駱駝と蒙古人の僧とで苦難の旅に出る。
アルガリ(動物の糞)を燃料として、着ている毛皮にくるまって野宿をする。
テントが凍って畳むことが出来なくなったのがようやく暖まって柔らかくなり、歩きはじめた背中に陽光が当たり、ぽかぽかしてくる。
――幸せとはこういうことを言うのか、、、。
西川は歩きながら思っていた。旅に出ると、生活が単純化されていく。その結果、旅人は生きる上で何が大切なのか、どんなことが重要なのかを思い知らせれることになる。火がおきてくれれば湯が沸き、太陽の光を浴びれば体が暖かくなる。たったそれだけで幸せになる。
僕は人生だって旅なのだ、もっとシンプルに生きればいいのだ、ましてもうそうは長くないのだからと思ってみる。

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ゴビ砂漠、そのなかのジャルタイ砂漠を歩く。
ジャルタイ砂漠というのは、野鼠の巣穴が目立つような荒地か、塩分が土の表面を白く覆っているようなところばかりで、なかなか一休みできるようなところがなかった。
立ち止まって、はるか遠くを見ると、西方に真っ白なジャルタイ潮湖が太陽の光を浴びて輝いている。
それを見ながら、西川は考えていた。
――砂漠を歩いていると、路傍にさまざまな動物の死骸が横たわっているのにぶつかる。砂漠ではどんな死骸も放置されたままだ。最初こそ無残な姿を晒すことになるが、すぐに獣や鳥たちに肉を食べつくされ、風に吹かれ、砂に洗われているうちに美しい白骨となる。そうした大自然の営みを前にすると、人間の力ではどうしようもない巨大な力を感じる。そして、ここにおけるすべてのことはこの大自然が解決してくれるように思える。あるいは、その大自然の意思を天と呼ぶのかもしれない。自分は、その天が命ずるままに、眼の前に続く道を歩いていけばいいのではないだろうか、、、。
こういう内省をする。
日本人のみならず、はじめて会った蒙古人やチベット人、タングート人、漢人などの人物を見て良き友を得る。
ラマ教の廟堂で自活する術を考え出す。
裸足で托鉢も物乞いもする。

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西川以前に、ラサに入った日本人は河口慧海をはじめとして七人、そのうち五人がインド側から二人が中国側からチベットに入った。
西川は中国側からの青海ルートをとる。
ラサで過ごすころには、日本が負けたらしいというニュースが入ってきたが、なかなか信じられない。
日本人であることがバレるおそれがあって、インドをめざす、カルカッタに行けば情報を得られるかもしれない。
托鉢をして、一日に得られる二椀分のツアンパ(はったいこみたいなもの?)とお茶だけで命をつなぎ、野宿しながらインドに向かうというこの新しい旅の在り方が、自分を鍛えてくれるように思えた。
26歳の若者とは思えない、凄い男がいたもんだ。
日本の敗北を知り、西川一三は死んだけれど蒙古人ラム僧・ロブサン・サンボ―は生きている、と考える。
インドからチベットを往復して煙草の行商で暮らす。
ヒマラヤ山脈を9回越える。
将来を嘱望されているラサの蒙古人ラマ僧に認められて弟子になる。
チベット語を習ってお経を暗誦して、その速度にみんなを驚かす。

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イギリスの諜報部に雇われたかつての友人木村に誘われて、中国共産党が侵略しつつある東チベット(西康)の情勢を探る旅に出る。

血沸く肉躍る冒険はまだ続く。

Commented by stefanlily at 2023-06-15 00:59
こんばんは、
「パンが食べられなかったら、お菓子を食べればいい」正確にはブリオッシュだと何かに書いてあったような…?
「ブリティッシュベイクオフ」を見ておりますと(永遠の英語学習者wなので、副音声で聞きます)、菓子パンやタルト生地などは「pastry」と言ってますね。定義ではどうなるのかな?
沢木耕太郎も凄いけど、そのスパイ氏も凄いなあ(小並感=小学生並の感想)
アラビアのロレンス(映画もPオトゥールも私の愛する作品俳優のほぼ最上位に属します)、安部公房「けものたちは荒野を目指す」をちょっと思い出しました。
ヘミングウェイやモーム、Gグリーンも諜報活動やってませんでしたっけ?
米軍の通訳だったサイデンステッカー、Dキーンもそうかな…?
任務遂行するうちにその国に対して好意が生まれがちだと思います。でないと、異国の文化や言語を習得出来る訳がない。
Commented by tona at 2023-06-15 10:06 x
『天路の旅人』は昨年11月に買って読みました。主人公の西川一三氏が書いた本3冊を読んで、その本が絶版なので買えなかった所、沢木耕太郎氏によってまとめられたので満足できました。
全く凄い人です。
いろいろ驚きっぱなしでしたが、雨が顔に当たっても目も覚まさずずっと寝られるなんていう特技が実に羨ましいです。西川氏の奥さんの講演を聴きに行った人が日本一の人物だとコメントをくださいました。
あと約100頁!
Commented by saheizi-inokori at 2023-06-15 10:13
> stefanlilyさん、永遠の英語学習者!尊敬します。
せんじつひとのブログでみたミステリを図書館で探したら英語のしかなかったので借りたのですが、ミステリのページターナー感皆無で放棄しました。
西川の諜報は本書で読む限り、旅したところの様子や旅人たちの会話から得た「情報」を記録して、信用できそうな蒙古人などの旅人に寄託するのです。
現地の様子、それが価値のある情報なんですね。
ところで栗原、やりましたね!
Commented by saheizi-inokori at 2023-06-15 10:17
> tonaさん、どこでも熟睡できるから、あれだけのことができたのですね。
西川の奥さん、生きておられたのですか。
本書ではもう余命いくばくもないように書いてあります。
西川の原稿を清書することから夫婦になったようですね。
Commented by tona at 2023-06-15 15:54 x
2017年に奥様は亡くなられたとこの本の最後に出てきます。
コメントいただいた方は娘さんに支えられて虫の息で講演されたようでした。
ご夫婦の出会いも人によって経緯がいろいろなのですね。
Commented by saheizi-inokori at 2023-06-15 16:49
> tonaさん、一年ちょっと頑張った、その時に講演した、凄いですね。
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by saheizi-inokori | 2023-06-14 13:55 | こんなところがあったよ | Comments(6)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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