駒沢球場

むし暑いね。
ストレッチのあと、Tシャツを着かえたのに、食事の後片付けをしたらまた汗をかく、もう着かえないけれど。

きのうの散歩は駒沢公園。
緑が濃くなって、空が曇っているから、さらに黒みを帯びている。

広場では子供たちがいろんなことをして遊んでいる。
中学生だろう、四人くらいでキャッチボールをしている。
ひとりがいかにもへたくそ、昔の僕だってもうちょっと上手だった。
へたくそにボールを集めて、外させて走って取りにいかせている。

この広場が、かつての東映フライヤーズのフランチャイズ「駒沢球場」のあった跡だとは、せんじつ床屋の親方に教えられた、「今の球場の所だと思っている人が多いけれど」と。

なんで駒沢球場のことになったかというと、行くたびに繰り返す野球の贔屓チームはどこかという話、親方が日本ハム、つまり昔の東映フライヤーズだということからだった。
１９６２年に水原監督のもとで日本シリーズで、阪神タイガースを激闘の末に破って日本一になるが、その時はもう神宮球場に移っていたのだ。

（道すがら）

あの張本が不動の４番だった。
毒島が斬り込み隊長、毒島選手の名前は「ぶすじま」という読み方が変わっていたのですぐに覚えた。
毒のことを「ブス」と言ったと、狂言の「附子（ぶす）」の話を、こんどは僕が教えてあげた。

子供の頃から、近所の球場の東映フライヤーズを応援して、元はセネタースだった東映フライヤーズが東急フライヤーズになり、日拓ホームフライヤーズになり、日本ハムフアイターズ、そこに北海道の文字がかぶせられて遠く北の大地に行ってしまったのに、ずっと応援し続けている親方の人生を、いろんな球団を応援というよりいくらか好んだという程度の根無し草の僕のそれと較べて感慨なきにあらず。

ここで、張本がホームランを打って、若い親方が大声で叫んだのだと思うと、ヘタクソな子供たちがキャッチボールに興ずる姿がぼやけて幻を視たような気がした。
「あのあたりは草ッパラみたいで、なんにもなかった」という親方の言葉が蘇る。

スマホの天気予報を裏切って雨が強くなる。
傘もささずに、という歌を思いだそうとして思い出せないまま、ぬれながらバス停に向かった。