場違いな客

ふ~っ!すんだすんだ、毎土曜日の大掃除と洗濯、いつもよりいろいろやってくたびれた。
もう少し暑くなると、こんなもんじゃないのだけれど、、やってる方が着実に劣化していくからしんどいのだ。
でも、やり始めて40分くらいまで、膝のサポーターと腰のベルトをするのを忘れたままだったのは、それだけ日頃のトレーニングが効果があったためにエントロピーにちょっとだけ逆らえたのだ。

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きのうは、昼飯に前夜の残りのアジフライをはさんだサンドイッチをぱくついて、用賀のコジマ電気に行った。
日ざしが強いので、日焼け止めをしっかり顔と手に塗り込んでいく。
先月買ったJBLのブルートゥースがからっきしダメになったので、返品取り換え、別に確かめたりもせずすぐに取り換えてくれた。
家に帰って充電後、つけてみると前はダメだったFM放送もブルートゥースもばっちりだ。

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僕はショッピングセンターを経営したとき、サービスを提供する側としては完璧主義で、なかには不平不満の部下もいたくらいだけれど、受益者としては、FM放送が入らなくてもブルートゥースさえ聞こえればいいというふうに、いつもなにか欠けた状況を、まあ、そんなもんだろう、と諦めてしまうところがある。

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(マティス自画像)

父を早く亡くし、母との貧窮家庭に育ったから、周りの人のように、水道があって風呂があって、家族そろって外食に行って、何の心配もなく受験勉強に励んでいれば褒められるみたいな生活は、はなから僕にはないものと思って育ってきた。
それは決して悪いことではないが、亡妻や子供たちにも世間並みの楽しみを十分に与えてやらなかったようにも思って、すまなかったと思う。

やはり価格のうちにFMも含まれているのだから、いちいちスマホのFMをブルートゥースで聞かなくてもじかに聴けばいいのだ。
きのうはFMのジャズを聴きながらゆっくり風呂につかった。

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コジマ電気の近くにあった、しゃれたカフエ、もう13年もやっているそうだ。
簡単にあたらしいJBLに取り換えてもらって、なんだか得をしたような気分(手間暇かけてここまで来てるのだから、損ばかりなのに)になって、たっぷりのコーヒーを飲みつつ「天皇の世紀」を読んだ。

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婦人雑誌から抜け出てきたような若奥様(近所の有閑マダムだろう)が一人来店、気どって本を読んだりスマホを見たりする。
こういうときに僕は、この年になってもまだ、この店とは別の世界から迷い込んできたような、場違いの客のような気になるのだ。

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1867年のパリ万国博に、幕府は水戸の徳川昭武を将軍の名代として出席させる。
一橋慶喜の家に奉公していた渋沢栄一も、慶喜が徳川家を相続していらい、拝謁もできなくなって、自分の役目もないようだから、ふたたび浪人になろうかと思っていたら、昭武に随行して、パリ留学の供をしろとの慶喜からの話、攘夷で凝り固まっている水戸の藩士たちではそういう任には向かないのだ。
たぶんこれが後の渋沢のさまざまな偉業の礎を作るのだろう。

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幕府の役人がパリ博展示場に行ってみると、丸に十の字の薩摩の印を建てた琉球国も出展している。
フランス人の没落貴族・モンブラン伯爵という日本語ができて日本の事情にも詳しい男が、薩摩藩の五代友厚と昵懇になって、手回しよくそんな手配をしたのだ。
幕府側はフランス駐在公使を命じられていた向山隼人正が自分で前に出ないで、部下の田辺太一に抗議させ折衝させるが、交渉に不慣れということもあって、薩摩の言い分が通ってしまう。
モンブランの売り込みもあって、現地のメデイアも薩摩寄りの報道をする。
フランス人の勲章好きを知っているモンブランに云われて薩摩は多くの勲章を用意してばらまく。
モンブランの講演や寄稿は、イギリスのサトウが書いたのと同じく、幕府は大名の一人にしか過ぎなく、各地の実際の統治は諸大名が行っており、彼らは直接諸外国と条約を結びたがっているというトーンだ。

田辺は帰朝を命じられ、フランスぎらいの向山も栗本鋤雲と交代する。
しかし、いろいろ並べた日本からの出品物は、未開の国というイメージを改め、とくに様々な和紙の美しさに驚く人が多かった。

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いっぽう、国内では幕府の長州征伐。
薩摩を隠れた味方とした長州は、ここに至るまで死力を尽くして準備して、西洋式陸軍の訓練をした。
主力は武士ではなく、庶民が中心勢力となり、階級的に飛躍の熱情をたぎらせていた。
彼らには御公儀の威光などは利かない、むしろ長く古い屈従に対して復讐する欲情がある。
指揮する者も下士から立身した者が多く、古い時代の戦争ではない。
かたや幕府軍は徳川四天王の出陣で、鎧兜の関ヶ原そのままの戦をするつもりだった。
しかも、戦いの大義に納得せず、いやいやながら兵を進める風があった。
それでも彼らには過信があって、まさか幕府側が負けるとは、英明な慶喜たちでも思ってはいなかった。

戦いの顛末が語られる。
高杉の小舟での斬り込み、坂本龍馬の参戦。
長州は、自分の領土よりも、外に出て幕府をやっつける。
浜田、芸州などの隣の藩は戦わず、むしろ長州を通過させる。
小倉は老中小笠原総大将に逃げられ熊本藩などの応援も得られず悲壮な孤立に陥る。
おりしも家茂が死ぬ。

Commented at 2023-05-28 12:08
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2023-05-28 13:35
鍵コメさん、お元気になられたようですね。
うちのカミさんもブログ記事のチェックが厳しいのですよ、表現の自由とプライバシーの相剋です。
Commented by たま at 2023-05-28 18:23 x
 かつてAM放送だった文化放送、日本放送、赤坂放送(TBS)などもすべてFM放送に移行したことを仕事中に聴くFMラジオにて知りました由。
 マチスの裸婦を思い起こしつつ・・・。
Commented by saheizi-inokori at 2023-05-28 21:19
> たまさん、AMでも聞けるのじやなかったかな。私のJBLではAMが聞かれませんが。
Commented by stefanlily at 2023-05-28 23:34
マティスの一番上の絵は「オダリスク」でしょうか?
簡素だけど良い絵ですね。
大佛次郎はスパイゾルゲについても書いてたような。
ヤクルトさんはこんなに早く自力優勝が無くなったとか。
優勝しているチームはシーズン最後まで試合をしているし、バラエティ番組にも多数出演、イベントにも召集。しかも連覇。更に侍ジャパンに4人召集。
披露のピークにあるのも当然です。とはいえ、交流戦で復調されたら怖い…それだけの地力があるヤクさんですから。お手柔らかに願います。
Commented by saheizi-inokori at 2023-05-29 09:47
> stefanlilyさん、オダリスク、会場でスマホを持ち出して言葉の意味を知りました。
自力優勝って、こんなに早い段階でいう意味があるのかな。
交流戦は投手がいいからもっと苦戦すると思います。
塩見と青木、山田、の体調がねえ。若手が打つっていっても、いつもってわけじゃないから、つながりが、、。
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by saheizi-inokori | 2023-05-27 13:57 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(6)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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