竜馬が翔ける

堀内敬三の「音楽の泉」、五球スーパーラジオで聴いたなあ。
今もNHKでやっていることに今ごろ気がついた。
けさはモーツアルトのディヴェルティメント、k136,137,138。
真っ青な夏の空をかぎる稜線にそって飛んで行く飛行機に乗ったような気持になる。



明日から、天気が崩れそうなので、がんばって洗濯二回。
洗濯如き、頑張らなくてもできそうなものだが、なんでも頑張らないと出来なくなっているのだ。
朝、起き上がるのでさえ、がんばって起きるのだから。

「三国志 1」を読み終えたので、ふたたび大佛次郎「天皇の世紀 7」に戻る。

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いよいよ竜馬の出番だ。
幕府の役人でありながら大きく幕僚の枠をはみ出す見識の持主・勝安房守海舟のもとで海軍塾の塾頭を勤めていたが、勝の失脚により、海軍塾は閉鎖される。
竜馬が土佐藩に戻れば、処刑される恐れが強いので、勝は竜馬を薩摩藩に預ける。
幕府は、長州での最初の成功に乗じ、大きく反動に乗出そうとしていた。それに背を向けて慶応元年四月二十五日に竜馬は薩州藩の汽船・胡蝶丸に乗って大坂を出帆して鹿児島に向かった。西郷吉之助、小松帯刀が同船していた。西郷は口重く、小松は利用するつもりだけで、心を開いて語ることはないが、問わずして竜馬は全部知っている。現代とは多少違っても三十一歳の若さで、何もかも面白くて、勇気が湧かずには居なかったろう。西郷も大久保も小松も、薩摩の藩論を支配している者たちである。この人々を見ると、今や幕府など眼中に置いていない。年々衰弱して来て、今や薩摩の実力で怖るるに足りぬと見る態度である。(略)
三十一歳なった坂本龍馬は、鹿児島に渡る船で汐風に頭を吹かれながら、この世に生を受けた自分がなすべき大きな仕事が遂に見つかったと思い、血の湧く思いでいたはずである。日本を改革し、新しい国――漠然と夢想する近代国家とする為には、薩長二雄藩を連合させて、古い権威として壁のように立塞がっている幕府を崩壊させることであった。この大望を思い当たった時、彼自身白い大きな海鳥となって、波濤の上の空に翔けのぼるように感じたことだろう。自らを燃焼して焔とする熱情であった。
ドラマならBGMはモーツアルトのケッヘル136番だろうか。
燃え尽きそうな焔を自らかきたてて洗面所を掃除する老人とはえらい違いだね。

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ゆうべは初枝豆。蛤の酒蒸しとカツオの刺身を、きのうだけはお供にする。

Commented by jyariko-2 at 2023-05-21 13:05
音楽の泉のテーマ曲が変わらずいいですね
saheiziさんは頑張らなくても沢山本が読めるから凄いです
私は読むぞーと入れないと読めません
読みたい本は沢山あるのに😭
Commented by saheizi-inokori at 2023-05-21 13:50
> jyariko-2さん、本は頑張って読むくらいがいいのです。
楽に読めるようなのは無駄な時間、でもときどきそんな本も読みたくなるのです。
Commented by ikuohasegawa at 2023-05-21 14:51
思い出しました。
我が家の初代ラジオは親戚のお兄さんの手づくりでした。
Commented by saheizi-inokori at 2023-05-21 18:37
> ikuohasegawaさん、鉱石ラジオじゃなく?凄いな。
Commented by たま at 2023-05-21 20:57 x
「5級スーパー」は、おそらく、トランジスタラジオ出現前の「5球スーパーヘテロダイン方式管球ラジオ」のことかと。
 半世紀以上も前、こよなく半田ごてと配線図を愛してやまなかったラジオ少年時代の自分を思い起こします由。
Commented by saheizi-inokori at 2023-05-21 21:10
> たまさん、そうそう、球でした。
高級なラジオだと思っていました。
少年雑誌の付録に鉱石ラジオがついてきたことがありました。なんか音が聞こえて嬉しかったです。
Commented by stefanlily at 2023-05-21 21:30
「龍馬伝」放送してた頃だったか、林真理子のエッセイで「一度暗殺されかかったのに二度目に際して、無防備?だったのが謎」と。確かに。
松本清張は龍馬は新政府では、生き延びていても存在を持て余されたかもしれないと書いていたような。
ラジオはこのところ、ホークス戦の中継聞くぐらいですね。福岡ローカルですから、長崎県では聞き辛いwのですが。
翻訳家はやはり昔のフランス文学者がスター揃いですね。
堀口大學、生島遼一、伊吹武彦、桑原武夫、山内義雄、豊島与志雄。そして澁澤龍彦。岩波文庫見てたら、小林秀雄、岸田国士、三好達治もいますね。山田爵は森茉莉の息子?、夫?
何かで読んだのですが、フランス、ロシア文学の翻訳家の方が優秀なんですと。
相当の習熟度が無いと出来ないんでしょうね(小並感)
Commented by kogotokoubei at 2023-05-22 07:31
龍馬登場、ですね。
大佛、結構、龍馬ファンのようですね。

維新という言葉が、とんでもない政党によって汚されてしまいました。

核禁止条約に何ら触れないG7という馬鹿騒ぎが終わりました。
核のない世界を望むなら、あの条約こそ議論されなければならないのに。
Commented by saheizi-inokori at 2023-05-22 09:45
> stefanlilyさん、そういう大きな性格だからこじれた薩長の仲を結べたのかもしれないですね。
作家として有名で、作家の方が翻訳家より上という思い込みがありますが(私に)、すぐれた翻訳ができないとすぐれた作品も書けなかったのですね。
フランスやロシアの文学に影響された人たちは。
Commented by saheizi-inokori at 2023-05-22 09:49
> kogotokoubeiさん、大佛はよほど竜馬が好きなようですよ。
維新では、彼らみたいな連中も大いに活躍?したのではないでしょうか。
ヤクザ一歩手前みたいな若者たち。
g7は犯罪的ですね。
アンチロシアマフィアのヤクザ連合?

Commented by tona at 2023-05-22 19:11 x
モーツァルトの3曲、聴いたところです。
こんなとき聴くのもいいものです。
明後日ワクチンを打つのでまたモーツァルトを抱えて寝るのであります。
「天皇の世紀」長いですね。根気がありますね。
Commented by saheizi-inokori at 2023-05-22 21:21
> tonaさん、モツアルトやベートーヴェン、バッハにシヨバンたちに囲まれながら維新のドラマを楽しんでいます。もう半分過ぎたと思うとちょっと寂しい、それで三国志も読み始めました。
Commented by stefanlily at 2023-05-22 21:52
翻訳家が作家より上、ではなく言語上の意味で書かれていたのです。私の解釈が間違っていなければ。
他の言語、特に英米文学の翻訳家よりもフランス語ロシア語の翻訳家の方が技量が上だと。
他国の文学に多大な影響を与えていますしね。
翻訳家でいうと、遠藤周作を忘れてました。
ムック本の作品総数を見て、作家として稼動した年数を比べて、三島由紀夫、松本清張がいかに作品総数が多いのか…まてよ、遠藤周作はフランス文学(モーリヤックの「テレーズ・ディスケルウ」など)の翻訳もあったなあ、と。
Commented by maru33340 at 2023-05-23 08:00
「そろそろ大佛次郎の本を読み始めたい」と思っていたところでした。『天皇の世紀』とても気になっているのです。
Commented by saheizi-inokori at 2023-05-23 09:50
> stefanlilyさん、私もそう理解しましたよ。
いま読んでいる大佛「天皇の世紀」では、英米にくらべて日本への経済的進出が遅れたフランスが文化面で、それを取り戻そうと、フランス語学校をつくって旗本の子弟に教えたことが描かれています。
フランス帝国主義の特徴でもあったようですね。
Commented by saheizi-inokori at 2023-05-23 09:51
> maru33340さん、これとか「パリ燃ゆ」なども読み返したい本です。
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by saheizi-inokori | 2023-05-21 11:44 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(16)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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