そんなバカな!
2023年 03月 01日
かつての部下たちがこもごも電話してきて、なにやら窮状を訴えるのだ。
僕は、なんと「天皇がちゃんと謝らない限り解決しないよ」と答えるではないか。
そんな夢を見たのは、昨日読んだ金石範作品集の「トーロク泥棒」と「詐欺師」のせいだ。
坂の上の雲を目指して造り上げたはずの大日本帝国が、朝鮮半島の人たちを亡国の民とした。
金石範は「思想としての朝鮮籍」を名のり続ける。
「トーロク」とは外国人登録証のことだ。
「トーロク泥棒」は、主人公の「トーロク」を盗んで、主人公になりすます。
そのニセの主人公を知っていた男から本物の歴史家の主人公に、懐かし気な手紙が届くところから小説は始まるのだ。
心当たりのない主人公が「そんなバカな」を口癖にするほど、その手紙は彼を悩ませ、ついに二人は「再会」するのだ。
主人公から「トーロク」を盗んだ男は、手紙の主と大村収容所で共同生活を送った。
主人公が、ときどき口にした漢詩を朗唱することまで、男は成りすました。
外国人登録証なしに、当時の大阪で暮らすのは、そうとう危険があったが、彼は某大学生(主人公と同じ)に成りすまし、いつもきちんと制服を着て、必要以上にバッジなどをつけていた。
その頃、男と主人公は知り合ったのだ。
大学一年の頃、クリーニング屋の愚かで勉強嫌いの悪ガキ二人を教えるのに鬱屈して、帰り道に寄ったオーシャンバーに、いつもかっこよく着物をきこなした青年が来ていた。
早稲田大学生だと言っていたが、ある日涙ながらに、自分がじつは天ぷら学生であることをみんなに告白した。
その男のことなども思い出して読んでいたが、小説のなかの男は、釜山から下関に通う貨物船の、空の予備飲料水タンクに忍び込んで(知人の機関長の計らい)いたところ、航路変更のため、(機関長のいない間に)予備タンクにも給水されて、そこで死んでしまった。
水道から異臭を放つ水に混じって脱毛などが流れ出て男の遭難が明らかになる。
その陰惨な悲劇は、天ぷら早大生とは雲泥の差だ。
「詐欺師」は、済州島の「夜警」(派出所警察の下で働く雇用員)の、喜劇仕立ての悲劇だ。
泥棒を捕まえても、賄賂をうけとり許さないと暮らしていけない。
検挙件数が上がらないとクビになる。
三多(風多く、石多く、女多く)にして、三無(乞食無く、泥棒がいない、従って門がない)の島、済州島が解放後の今は、泥棒天国になっているのだ。
彼は名案を思い付く、あの豊かな国・日本に行こう。
その旅費を親切な伯母から騙し取ろうとする。
彼女の愛する息子は、パルチザンで北にいるのだが、それが密かに島に戻って来て、金を必要としている、俺が届けてやる、と。
それで、いろいろあって、点数稼ぎをしたい警察は彼を逮捕、パルチザンの幹部に祭り上げてしまう。
なにやら、自分がほんとの大物になったような気がして牢獄で大威張りの男、囚人護送車の金網から見える「防共、防諜」の看板、それはいままでなんの関心もなかったけれど、今それは「自分」のことなのだ、俺が共匪(パルチザン)の首領なのだ、と、雨降る街の中を走っていきたいと思うのだ。
ヘイト、分断、歴史の歪曲、差別、、徴用工や在日二世の問題だけでなく、多くの日本の問題が、そこから解決していくのではなかろうか。
無いものとされていた「そんなバカな」ことが、バカなこととして明らかになってくる。
いまさら、だが、いまなおでもある。
以前、相次いでアベと天皇がフィリピンへ行きました。
知り合いのフィリピン人の祖母はずっと日本を怖がっていたそうです。
アベが行った時はその気持ちに変わりはなかったのに天皇が行った時の発言を聞いてから日本に対する考えが変わったと。(大した発言ではないと思いましたが翻訳が上手だったのかも)
昔の日本を知る隣国や東南アジアの人たちにとって「日本の天皇」は特別なんでしょう、「天皇陛下のご命令」で身内を殺されたり苦役を味わい、現代でも彼らから見れば国家元首なのですから。
問題は日本国民。人気ブロガーさんのこんな記事を読んで舌打ちしている人がいるかもしれません。
カラアゲとは違うのですね。
当時、皆んな天皇の子として、天皇さんに親しみを持ってきた国民であったというならば、またそれだけ親しまれてきた天皇であったというならば、あんな目に遭わされた国民の為に責任もって腹を斬るべきだったと思う。
ちょっとだけ判明。もぐりって、他の大学の学生ってこと?
学生でもなく勉強したくて、潜りで授業受けに来た一般人?
「カラアゲ」はもっと解らない、、、