カリーは新宿中村屋で友人たちと食うに限る
2023年 02月 04日
いくらでも眠れる。
眠り過ぎてボケたらしくて、トーストにオイルをかけるつもりで、スープの実をかけてしまう。
留守中、きれいにしといたから、今日はゆっくりしましょう、とのカミさんの言葉に甘えて大掃除もやらない。
なんか得した気分になる。

(都立大学駅から)

誰よりも早く食べ終えて「あいかわらず健啖ですね」と言われると、ちょっと恥ずかしい、もっとゆっくり食べないととは思うが、育ちは争われないのよ。

眠り過ぎてボケたらしくて、トーストにオイルをかけるつもりで、スープの実をかけてしまう。
留守中、きれいにしといたから、今日はゆっくりしましょう、とのカミさんの言葉に甘えて大掃除もやらない。
なんか得した気分になる。

出がけに、ズボンがくたくたの普段穿きであるのを見咎められて、穿き替えたりしていたら、バスが目の前で行ってしまう。
そこからけちがついて、目の前で急行電車を逃すなど、50分で行くはずのところを80分もかかって、新宿中村屋についたときは、約束の時間を15分もすぎて、それでも、皆さん笑顔で迎えていただいた。
そこからけちがついて、目の前で急行電車を逃すなど、50分で行くはずのところを80分もかかって、新宿中村屋についたときは、約束の時間を15分もすぎて、それでも、皆さん笑顔で迎えていただいた。
中村屋総料理長の二宮さん、老舗食品会社副会長のOさん、元食品会社社長・今は隠居のNさん、みんな20年以上も前からの、食にかかわるおつきあいの仲間だ。


8年前に改装なったという中村屋、僕は初めて、それだけながのご無沙汰だった。
入口の変わった8階のホールには華やかな着物姿のグループがいて、卒業の謝恩会のようだ。
僕たちはその奥の個室。
生ビールで乾杯の後、前菜のサラダの彩の美しさに歓声を上げる爺さんたち、とはいえ二宮さんは僕より九つも上なのに総料理長を続けていらっしゃるのだ。
改装のとき、頭の固い役所が付置義務の駐輪場を屋上に作らされて、誰もつかっていないなどという話から始まって、おだやかな口調と人を包み込むような笑顔は健在だ。

入口の変わった8階のホールには華やかな着物姿のグループがいて、卒業の謝恩会のようだ。
僕たちはその奥の個室。
生ビールで乾杯の後、前菜のサラダの彩の美しさに歓声を上げる爺さんたち、とはいえ二宮さんは僕より九つも上なのに総料理長を続けていらっしゃるのだ。
改装のとき、頭の固い役所が付置義務の駐輪場を屋上に作らされて、誰もつかっていないなどという話から始まって、おだやかな口調と人を包み込むような笑顔は健在だ。

小山恵子さんという、食のコンサルタントを中心に、食の研究会など、いろんな食の体験をした。
その小山さんが急逝して、もはや三年になる。
僕が遅れている間もひとしきり彼女の話をしていたという、それをまた再開する。
名だたるシェフたちを𠮟りつけては、自分の思うような料理を用意させた、完璧主義の小山さんを、「怖かった」という人もいる。
その小山さんが急逝して、もはや三年になる。
僕が遅れている間もひとしきり彼女の話をしていたという、それをまた再開する。
名だたるシェフたちを𠮟りつけては、自分の思うような料理を用意させた、完璧主義の小山さんを、「怖かった」という人もいる。

僕は、鉄道会館の子会社のRB商事という飲食業の社員たちのレベルアップのために小山さんの力を借りたのが御縁の始まりだった。
損得抜きで、徹底的に社員をしごいて、「佐平次さん!だいぶ良くなったから、食べてみて」と試食させ、「うん、ほんとだ」というと子供のように喜んだことなど、食の勉強会で満腹になったのに、どうしてもと酒ではない甘味の二次会に引っ張りまわされたことなど、語り始めると次々に彼女の思い出がつきない。
しんどくて、敵も作ったけれど、やらなくてはならないことが目の前にあって、それをやれば着実に成果があった、思えばほんとに懐かしい好い時代だった。
そう言えば、皆さんも「私も」というのだった。

損得抜きで、徹底的に社員をしごいて、「佐平次さん!だいぶ良くなったから、食べてみて」と試食させ、「うん、ほんとだ」というと子供のように喜んだことなど、食の勉強会で満腹になったのに、どうしてもと酒ではない甘味の二次会に引っ張りまわされたことなど、語り始めると次々に彼女の思い出がつきない。
しんどくて、敵も作ったけれど、やらなくてはならないことが目の前にあって、それをやれば着実に成果があった、思えばほんとに懐かしい好い時代だった。
そう言えば、皆さんも「私も」というのだった。

温かいスープ、鰆のポアレのあと、チャツネやピクルスやラッキョが出てくるとNさんが「おっ!カリーだ」、そうとも僕もカリーを食いたかったのだ。
大学生のときに伯母の買い物のお供を仰せつかって、御駄賃代わりにここのカリーをご馳走になった。
新宿の物語の主役として、その名だけは知っていた中村屋のカリー、ころんとしたジャガイモの塊もはいったチキンカリー、こんなうまいカレーがあるのかと驚いたものだ。
大学生のときに伯母の買い物のお供を仰せつかって、御駄賃代わりにここのカリーをご馳走になった。
新宿の物語の主役として、その名だけは知っていた中村屋のカリー、ころんとしたジャガイモの塊もはいったチキンカリー、こんなうまいカレーがあるのかと驚いたものだ。
飯は白目米という中村屋だけで食べられる、日本人の好みに合うように特別栽培された品種はいったん途絶えていたのを二宮さんが70周年を期して再度栽培させたものだ。
誰よりも早く食べ終えて「あいかわらず健啖ですね」と言われると、ちょっと恥ずかしい、もっとゆっくり食べないととは思うが、育ちは争われないのよ。

卵白をつかったデザートもきれいに食べて、ブラックコーヒーを喫す。
病院の昼飯、我が家の納豆だけランチとは大違いの贅沢、そのうまさだけでなく、楽しい会話も最高の贅沢だった。
ああだこうだと、うるさいことを言ってうまいものを食べ歩いたあの頃にくらべると味覚は衰えて何を食べてもそれほど感動することがなくなった。
体調のいい日に、楽しい会話を交わしながら食べるものが、何よりもうまく感じられるのだ。
病院の昼飯、我が家の納豆だけランチとは大違いの贅沢、そのうまさだけでなく、楽しい会話も最高の贅沢だった。
ああだこうだと、うるさいことを言ってうまいものを食べ歩いたあの頃にくらべると味覚は衰えて何を食べてもそれほど感動することがなくなった。
体調のいい日に、楽しい会話を交わしながら食べるものが、何よりもうまく感じられるのだ。
まして懐かしい、いろんな思い出をスパイスにして食べたカリーは近頃出色のうまさであった。

帰りは表に出て、紀伊国屋書店などを覗いて帰宅した。

中村屋のカレーは、女主人の相馬黒光が、インドからの亡命者のために作ったのが始まりでしたよね。
きっと、歴史の重みがある味だったことでしょう。
きっと、歴史の重みがある味だったことでしょう。
2
> kogotokoubeiさん、歴史の重みとともに懐かしさを感じさせるカリーでした。
紀伊国屋書店では堰を切ったような購買欲を抑えて、帰路に着かれましたか?

中村屋と紀伊国屋がある新宿は歌舞伎の町・・・古いギャグです。
お元気そうで何より。
お元気そうで何より。
> 福さん、ほんとに歌舞伎座がきていたらどんな町になったのか、私は今の方がじゅくらしくていいと思います。
立春になりましたが、まだまだ寒いです。
お身体を労ってお過ごしください。
中村屋さんのお隣の高野のギャラリーには長年見に行っていました。中村屋さんは階によって値段が違うとの話しを聞いています。
なんと言うのでしょうか?アラジンの魔法のランプ🪔様な器にもられたカレーに憧れてます。
ありがとうございます。
お見事バグースです❗️
お身体を労ってお過ごしください。
中村屋さんのお隣の高野のギャラリーには長年見に行っていました。中村屋さんは階によって値段が違うとの話しを聞いています。
なんと言うのでしょうか?アラジンの魔法のランプ🪔様な器にもられたカレーに憧れてます。
ありがとうございます。
お見事バグースです❗️
> doremi730さん、そうです、それが嬉しかったのです。
小学校は新宿区立早稲田小学校でしたから、都電で新宿には何かというと行っていました。
でも中村屋のカリーを食べるほどの余裕のある家ではなかったので食べていません。その後縁がなく、今は食べたくても食べられない体になってそれがとても残念な中村屋です。そして高野も高すぎて。
でも今町に高野があるので年に数回か賞味しています。
もうお出掛けになられて良かったですね。
でも中村屋のカリーを食べるほどの余裕のある家ではなかったので食べていません。その後縁がなく、今は食べたくても食べられない体になってそれがとても残念な中村屋です。そして高野も高すぎて。
でも今町に高野があるので年に数回か賞味しています。
もうお出掛けになられて良かったですね。
昔、東京でカレーの食べ歩きをしました。それぐらい東京は美味しいカレー店がいっぱいあったからです。現在、どれほどあるのでしょう。インドに限らず、ネパールやパキスタンなどもあるのでは?それに日本の老舗店。羨ましい限りです。インド人宅で香辛料を使ったカレーの作り方を学んだり。ニューヨークでは、一気にレベルが下がり、食べ歩く気にもなりませんでした。カレーの美味しい店の集まった都市としては、贔屓目なしに、東京が最高だとおもいます。
> maya653さん、私の新宿は末広亭です、それから紀伊国屋、中村屋はめったなことでは。
昔しか知らないのですが、イギリス料理は香辛料をあまり使わず、おいしい料理がなかったようにおもいます。インド料理店を探さなかったこともありますが、見かけませんでした。日本に帰ったとき、その反動でカレーーの美味しさに目覚め、かなり食べ歩いたのでした。^^
それにしても、エキサイトさん、かなり調子が悪そうです。はやく復旧してほしいものです。
それにしても、エキサイトさん、かなり調子が悪そうです。はやく復旧してほしいものです。
確かにインド人は昔から多く、知り合いの女性の美しさにびっくりしました、それも気取らないのです。
安い店ばかり通っていた所為でしょうね。それとフレンチ・ビストロの厨房で働き、食事はそこですましましたから。
安い店ばかり通っていた所為でしょうね。それとフレンチ・ビストロの厨房で働き、食事はそこですましましたから。
> tanatali3さん、きょう三軒茶屋を歩いて改めてカレー屋が多いのに驚きました。
by saheizi-inokori
| 2023-02-04 12:59
| 気になる店・ひと皿
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Comments(24)