19年目のクリスマス

きのうは、恒例のニューヨーク研修の仲間との、かなり早めの忘年会。
いつも幹事をやってくれる0ちゃんが、その気になると声をかけて会場もセットしてくれる。
最少催行人員・3人というゆる~い会だから、もう19年続いている、今回は4人だ。

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東京ミッドタウン日比谷でインド料理、何年ぶりのインド料理だろう。

それぞれ勤める会社が違うけれど、ショッピングセンター関連ということだけが共通だ。
お互いの近況から、なんでどこもかしこも同じようなショッピングセンターを作り続けるのか、もう作り過ぎじゃないか、などと話が展開する。
評判のいいテナントを引っ張り合い、あちこちのビルを経営するデベロッパーは、テナントが出たいビルと尻込みするビルのセットで出店を要請するケースもあるそうだ。
飲食店は一軒だけでも毎日料理、接客のレベルを維持し続けるのは容易なことではない。
優れたスタッフは、そんなに多くもないし、育てるのも一朝一夕でできるものではない。
見かけだけ立派な店を、能力以上に増やしたら、けっきょく店の質の低下につながり、客足も伸びず、長い目でみたら経営的にも大きなマイナスとなる。
それなのに、規模の大きさを追及する大手デベロッパーの組織は官僚的になり、幹部はその任期中に売り上げ額を前年比で増加させることを至上課題として、幹部が臨場して取り組むべき現場の質の向上は期せられない。

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僕が現役時代から言い続けていたことが、是正どころか、悪化しているようだ。
少子化、老人ばかりになって、その上コロナ禍で引きこもりが多くなっている。
そういう傾向は今後も続くだろうに、そんなに次から次へと商業ビルを作ってどうするのか。
喜ぶのは土建屋ばかり?

とまあ、そんな話もちょっと出たけれど、やはり会うたびに、お互いに若かったころのニューヨーク研修の思い出話に花が咲く。
クリスマスシーズンをめがけて行って、帰るのが嫌で最後の夜は朝まで飲んで騒ぎ、おりからの豪雪に、飛行機が飛ばないことを祈ったと、話す男はもう五十代半ばを越え、笑って聞く僕はなんとまもなく八十路の坂を越えるのだ。

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来年は二十周年、多くの参加を呼びかけようね、じゃあ、皆さん、早いけれど「いいお年を」。
店の前で店長に四人揃って写真を撮ってもらったが、うまく笑顔がつくれず、我ながらヒデエ爺の顔になってしまった。
昔は笑顔をつくろうなんて思いもしなくてもそれなりの笑顔になっていたのになあ。

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博多の「鈴懸」、「卵、乳、小麦、大豆を使用した商品と同工場で製造しております」とある。
上品な甘さ。

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鷗外「伊沢蘭軒」から。
蘭軒の詩中の「公宴不陪朝不坐」という句について、
阿部公が宴を設けて群臣を召しても、独り蘭軒は趨(おもむ)くことを要せなかった。わたくしはこれを読んでビスマルクの事を思ひ起す。渠(かれ)は一切の燕席に列せざることを得た。わたくしは彼国に居つたが、いかなる公会に蒞(のぞ)んでも、鉄血宰相の面(おもて)を見ることを得なかった。これを見むと欲すれば、議院に往くより外無かったのである。渠は此の如くにして燮理(せふり)の任を全うした。蘭軒は同一の自由を允(ゆる)されてゐて、此れに由つて校讐の業に専らにした。人は或は此言を聞いて、比擬の当たらざるを嗤(わら)ふであらう。しかし新邦の興隆を謀るのも人間の一事業である。古典の保存を謀るのも亦人間の一事業である。ホオヘンツオルレルン家の名相に同情するも、阿部家の躄儒(へきじゅ・いざりの儒学者?)に同情するも、固よりわたくしの自由である。
「朝不坐」も亦阿部公の蘭軒に与へた特典である。初め蘭軒は病後に館に上がった時、玄関から匍匐して進んだ。既にして輦(てぐるま)に乗ることを許された。後には蘭軒の轎(かご)が玄関に到ると、侍数人が轎の前に集まり、円い座布団の上に胡座してゐる蘭軒を、布団籠(ふとんごめ)に手舁(てがき)にして君前に進み、そこに安置した。此の如くにして蘭軒は侯の病を診し、或は侯のために書を講じた。蘭軒は平生より褌(こん)を著くることを嫌った。そして久しく侯の前にあって、時に衣の鬆開(そうかい・ほどける)したのを暁(さと)らずにゐた。侯は特に一種の蔽膝(へいしつ・膝掛け)を裁せしめて与へたさうである。
落語の「金玉医者」「蛙茶番」を彷彿させる。
鷗外が蘭軒を好いたわけが解る。

Commented by rinrin1345 at 2022-11-25 18:07
見たことのないお料理。仲間といい会でしたね。羨ましいです
Commented by pamumama at 2022-11-25 18:17
私の働く施設は「サービス付き高齢者向け住宅」チェーン展開していて間もなく50箇所になるらしいのです。
でも、増やす事に夢中で中身には興味が無いのでしょうか?
働く人は使い捨てみたいです。
26日が給料日で土曜日だと28日の月曜日支払いです。
若くてお金の必要な人ばかりなのに先延ばし?
後なんだっけ?小さなことなのに愛が感じられません。
これでは「心あるスタッフ」は育ちません。
派遣で日替わりで来るスタッフの優秀な事!
「何処で働こうか考えるために派遣で仕事しながら考えている。」って。こんな人は何処ででも勧誘されて、選んだそうです。私の施設は選ばれませんでした。
人材育成を考える企業や〜い!
Commented by saheizi-inokori at 2022-11-25 21:42
> rinrin1345さん、やはり、最後のカレー、それぞれ一種類づつ選んだのを、皆でわけあって食べたのが一番うまかったです。ナンとタイ米両方で。
Commented by saheizi-inokori at 2022-11-25 21:48
> pamumamaさん、スケールメリットとやら人間のサービスには当てはまりませんよね。個性ある人としてではなく、員数合わせとしての人間では心のあるサービスは期待できないでしょうね。
Commented by tanatali3 at 2022-11-27 01:28
19年前はマンハッタンを引き払ってしまいましたが、お会いしたかっですね。
Commented by saheizi-inokori at 2022-11-27 09:35
> tanatali3さん、私は二回ほど行ったかなあ。
飲食、フアッション、雑貨などテーマ別に班を編成して歩くのです。
私は団長でした。
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by saheizi-inokori | 2022-11-25 12:32 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(6)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori