国家のはじまり 「くらしのアナキズム」

さっきまで曇っていたけれど、今は爽やかな秋晴れだ。
サンチが日当たりにいたがる。
もう元気になった、ご飯は減量だけれど。
ラジオのピアノ協奏曲(ベートーベン)のピアノの音が、澄んだ空気にぴったりだ。

こんな日は野原を歩きたい、それとも昔の汽車に乗って窓から入る空気のなかで遠くの山や知らないけれど懐かしい村の人たちの動いている様を眺めていたい。
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「黄金虫変奏曲」を半分まで読んだら、楽しむよりやや苦しみが勝ってきたので、ちょっと浮気した「くらしのアナキズム」(松村圭一郎)。
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国家とは何か?
国家はほんとに必要なものなのか?
ない方がいいけれど、今となってはなあ、アナキズムなんて現実的に無理なのじゃないか。
そんな僕に、そうでもないかもよ、国家なんてなくても大丈夫かもしれない、といろんな角度から話してくれるような本だ。

まず、アメリカの政治人類学者ジェームズ・スコットの「反穀物の人類史」の所説を紹介する。
狩猟採集や遊牧の移動生活は、初期農耕にくらべてすくない労働で健康的に暮らせた。定住化は農耕のためではなく、湿地帯の多様な動植物を手に入れるためだった。そこで家畜化と栽培化が進む。しかし、家畜に餌や水を与えて野獣から保護し、土地を耕し雑草を抜いて穀物の生育リズムに生活をあわせたのは、人類が「家畜化」されたも同然だったとスコットはいう。
この定住化と農業の開始から国家の成立までには四千年もの間隔がある。その間ほぼ人口は増えていない。集住化はあらたな困難との遭遇だった。それがいま新型コロナで話題の動物原性感染症だ。動物と人間の群集地は病原菌の繁殖に最適な「肥育場」だったのだ。

では国家はいかに誕生したのか。スコットは気候変動から説明する。海水面の低下で河川水量が減少すると、乾燥化のために農地が減り、人口密集が進む。そこで灌漑が重要になり、権力集中や階層化が起きた。だが国家は戦争捕虜や奴隷を獲得して余剰穀物を収奪しないと存続できなかった。多くの初期国家は感染症や環境変化にも脆弱で短命に終わる。この国家の崩壊は、人びとにとっては疫病や戦争、そして穀物栽培=課税からの解放だった。
十七世紀ごろまで、文字記録に残る「国史」の外側に国家のない長い時代や広大な空白地帯があった。そこでは敢えて国家や穀物栽培から距離をとり、「野蛮」とされる狩猟採集や遊牧が選ばれてきた。
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2017年出版の「Against The Grain*A Deep History of the Earliest States」、邦訳で「反穀物の人類史」。
小学校から大学までの長い長い学校生活のあとで世に出た「常識」(?)、さっそく図書館に予約した。

きょうは9・11。
あのテロは忘れられたのか。
こっちも「忘れ」ないでね、もう大概にしろなんて言わないで。

Commented by baobab20_z21 at 2022-09-11 12:31
興味深い本。ご紹介楽しみにしてます。

サンチちゃん、大変でしたね!お大事に〜〜
Commented by saheizi-inokori at 2022-09-11 19:01
> baobab20_z21さん、民主主義は国家と相性がよくないなんて、読んでいます。
サンチおかげさまでだいぶ元気になりました。
Commented by りんご at 2022-09-11 23:29 x
沖縄県民の方々の意志の勝利ですね 尊敬いたします 
国家とは邪魔をするだけの怪物と感じることが多くなりました  
だいたい家とついているのが嘘くさい

サンチちゃんの元気になった様子 読んでいてうれしいです!
Commented by kogotokoubei at 2022-09-12 08:11
なるほど、移動し続ける狩猟民族なら、国家の必然性が低下しますよね。
その本、面白そうです。
探します。
Commented by saheizi-inokori at 2022-09-12 08:50
> りんごさん、沖縄なんてまさにその典型かもしれないですね。
サンチは今朝も元気にご飯を催促しています。
Commented by saheizi-inokori at 2022-09-12 08:53
> kogotokoubeiさん、狩猟民族の小集団には「責任を果たすリーダー」がいて、かれらにはそれ以上の特権はないのが、多いそうです。
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by saheizi-inokori | 2022-09-11 11:24 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(6)

ホン、映画・寄席・芝居、食べ物、旅、悲憤慷慨、よしなしごと・・


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