ちんぷん漢文も面白い

いくらか涼しい土曜日、大掃除と洗濯二回、乾け乾け。
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きのうは歯医者、何十年も前にかかった歯科医の義歯の処置のマチガイについていくら言われても、僕にはどうにもならないのだ。
今の不具合もそのせいだというので「医源病ってやつですなあ」と言ったら、さすがにちょっとたじろいだ。
親切そうで、痛くなくて、美人の看護師が歯を白くして(これがイケナイ)くれると「いい医者」ということになる。
それ以上、僕が何を自己責任で調べろというのか、だよね、ったく。

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森鷗外「澀江抽斎」、面白い。

抽斎の四番目の妻・五百(いお)は、好き合った恋女房(というのは僕の言葉で鷗外はそんなことを言っていないが)のようで、人物・教養ともに傑出している。
鷗外は、この人のことだけでも一巻の評伝や小説が書けたのではないだろうか。

五百は神田の鉄物問屋山内忠兵衛の娘で、土佐の山内家の血筋であったが、町人の出ということで、いったん津軽藩留守居役百石の比良野文蔵の養子となってから抽斎に嫁した。
比良野は、抽斎の亡き二番目の妻の親である。
その比良野の息子・貞固(さだかた)が、父の亡きあと留守居役に任じられたときのことだ。
貞固は、任命されて帰宅するとすぐに抽斎を請じ、型を改めて「留守居役に必要な心掛けとして、『四方に使いして君命を辱めず』のところをお講釈をしてください」と頼んだ。

抽斎は有り合わせの論語を取りよせ「子貢問曰、何如斯可謂之士矣」というところから講じ始めた。
貞固は慎んで聴いてゐた。そして抽斎が「子曰、噫斗筲之人、何足算也」に説き到ったとき、貞固の目はかがやいた。講じ畢つた後、貞固は暫く瞑目沈思してゐたが。徐(しづか)に起つて仏壇の前に往つて、祖先の位牌の前にぬかづいた。そしてはつきりした声で云つた。「わたくしは今日から一命を賭して職務のために尽くします。」貞固の目には涙が湛へられてゐた。
抽斎は此日に比良野の家から帰って、五百に「比良野は実に立派な侍だ」と云つたさうである。其声は震(ふるひ)を帯びてゐたと、後に五百が話した。
こういう話を読むと、ぐっと来て、涙がこみあげそうになるのは、僕が古い人間だからだろうか。
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引用した文章でもぐっとくるが、惜しむらくは肝心の論語の内容が、教養のない僕にはわからない。
処分を免れて書棚の奥にじっとしていた、宮崎市定の「論語の新研究」を引っ張り出してみたら、ちゃんと載っていた。
抽斎が講じたと思われる個所の現代語訳もあるある!そこを紹介する。
子貢が尋ねた。私共はどのようにすれば求道の学徒たるの名に恥じないことになりましょうか。子曰く、自己の行為に全責任をもつ。外国に使いに出されて立派に使命を果たすだけの力量をそなえる。それなら学徒と言ってよい。曰く、もう少し程度の低いところを教えて下さい。曰く、親族が口をそろえて孝行だといい、町内が一様に骨惜しみせぬと賞める人になることだ。曰く、もう一つ下の所を伺いたいと思います。曰く、言ったことは必ず守る。行うべきことに愚図愚図しない。大局的に見れば見識の狭い人間にすぎないが、それでもまだましな方と言えよう。曰く、現在の政治当局者はどの程度でしょうか。子曰く、聞くだけ野暮だ。揃いも揃って小粒な帳面付役人で、問題にならぬ。
「斗筲之人」、「とそうの人」、斗は二リットル、筲はバケツ→器量の小さい人。

小粒な帳面付役人でも、器量の小さい人でも、帳面付をサボったり改ざんとか黒塗りなどの悪いことをしなければまだまし、という栄えある我が日本ではないか。

総裁選挙、なるほど党員票を動かせるな。

Commented by めぐ at 2022-08-06 17:16 x
今日は広島に原爆が落とされた日。隣の県に住んでいても知らなかったことが多いです。爆心地の近くに8000人もの中学生12〜13歳が集められて働いていた。その日 とその後 6000人が亡くなりました。卒倒しそうです。当時の広島市長を務めていた浜井氏の本を借りて読んだ時も卒倒しそうでした。
今度戦争が起きたらこんなことでは済まないです。
Commented by ikuohasegawa at 2022-08-07 06:11
短冊の「おじいちゃんとおばあちゃんが・・・・」を見てぐっと来て涙がこみ上げてきた。
と思ったら、統一協会票が総裁選に関与 怒りがこみ上げてきました。
Commented by saheizi-inokori at 2022-08-07 09:36
> めぐさん、建物疎開に駆り出されたのですね。
そんなことしても原爆で一瞬にして消え去りました。
あの子供たちの顔をみるとほんとに泣きたくなります。
Commented by saheizi-inokori at 2022-08-07 09:37
> ikuohasegawaさん、こみ上げることの多い夏です。
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by saheizi-inokori | 2022-08-06 13:21 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(4)

ホン、映画・寄席・芝居、食べ物、旅、悲憤慷慨、よしなしごと・・


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