渋谷を中心に 五嶋みどりに会いに
2022年 06月 17日
きのうも病院、皮膚科だ。
鼻がぐずぐず、ちょっとだるい、体温は6.5度でビビ熱、起きて半袖で動きまわっていたのがいけなかったか、長袖にジャケットを着てバスに乗ったらおさまった。
きょうはどうしてもくたばってはならない、収めなければならない譯があるのだ。
プレドニン(ステロイド)をやめて4日、このままで行ってみよう、血液検査をしていってください。
都立大学のパン屋に行くので、池尻大橋から田園都市線とエレベーターを降りようとしたら目の前に渋谷行きのバスが来たので乗ってしまった、交通費が少し高くなるのに。
渋谷駅は、学生時代の寮から近く、国鉄生活では、名古屋から本社に戻って貨物局(と国鉄の解体)から埼京線開発会社やジェイアール東日本企画設立という混乱の真っ只中に住んだ社宅の最寄り駅であり、その後、吉祥寺、杉並堀の内と移り住んで今の(おそらく)終の棲家から都心にでるときに通り過ぎていく駅だ。
隠居してぐーたらな日々をおくるようになってからは映画を見たり、本屋を冷やかしたことがあるけれど、今はそれもほとんどなくなった。
学生時代には渋谷の恋文横丁とか大盛堂、西村、パンテオンなどに行ったことを考えると、距離以上に遠い駅になっている。
せっかくバスでよけいな運賃を払ったのだから、久しぶりに渋谷でランチでもと歩いていたら、スクランブルスクエアビルの前に出てきた。
隠居してからこういう物件を視察にくることはなかった、その気にもなれなかった。
中に入って、各駅停車のエレベーターで12階のレストラン街に行く。
ロビーからの、工事中の渋谷駅やスクランブル交差点の眺めは無料だ。
蟻んこより小さい人間たちが、それぞれの悩みを押し隠してあちこちを彷徨っている。
本人たちはあちこちを彷徨っているつもりでも、上から見ていると、たいして動いているわけではない。
俺の「黒塀横丁」をパクったなあ、などと薄暗い通路を歩いて入れそうな店を探すが、唯一食いたい蕎麦屋(写真左)が中を見せない気取ったファサードで、外に出ているメニューをみると、一番安いコース(単品はなさそう)で1980円、半笑コースは6800円、半笑は店名で、ぼくは苦笑、反笑ですごすごと立ち去り13階にまろびでる。
ここのうどん屋ならなんとかなるかと思いきや、同じ思いの若者中者(老者はいない)が大行列だ。
我が心の渋谷の恋文横丁で食った五目タンメンが恋しい。
渋谷ランチはやめて、東横線、ああ、これもあの懐かしい蒲鉾屋根からではなくて地下から出るのだ。
都立大学、五目タンメンの店という線もあったのだが、いつも横目で見て通り過ぎた中華そば屋の「冷やし中華」の幟につられて手動の発券機の前に立っていた。
食パンを買って、いったん帰宅、サンチをなぜてやって別ブログを書いて夕方まで本を読む。
どうやら体調は回復したようなので、納豆を食ってまたバスと地下鉄に乗って(渋谷の地下も通って)銀座へ。
松屋に出るつもりが三越の下に出て、むせるような匂いの化粧品売り場を彷徨って、なんとか外に出て深呼吸、王子ホールをめざす。
ジャジャジャジャーン!五島みどり!
娘が大好きなみどりさんの、ようやく手に入れたチケットを、都合が悪くなったと言ってこっちに回してくれたのだ。
だから、風邪ごときでへたってはならなかったのだ。
「みどり教育財団東京オフィスビル」の「ミュージック・シェアリング」の活動の一環である「ISEP(インターナショナル・コミュニテー・エンゲージメント・プログラム)」の2022年の活動報告コンサート、ややこしいね、ようするにアジアの子供たちや高齢者を病院や学校などに訪問して「本物の音楽、音楽家がもっと身近なものになるようにし、豊かな人間性をめざす環境づくり」、もっとややこしい!
ようするに素晴らしい音楽を広めているってことだ。
メンバーは、面接によるオーディションで選んだ三人と五嶋みどり。
イェービン・ユー(オーストラリア、ヴァイオリン)、エリカ・グレイ(アメリカ、ヴィオラ)、ノエミ・レイモンド・フリセット(カナダ、チェロ)。
セルゲイ・ラフマニノフ
弦楽四重奏曲第一番 ト短調
冒頭の大きく膨らんだみどりさんのヴァイオリンが、まどろみの世界にいざなった。
柔らかな雲の上で聴いているような明晰なまどろみ。
モーリス・ラヴェル
弦楽四重奏曲 へ長調
こちらも冒頭のつかみで完全に掴まれた。
川の流れのように、尽きることもなく流れる、広い堂々とゆったりとした流れが、瀬をはやみ
滝となり、陽が輝いて眩しく、、、そのうちに月並みな比喩なんか忘れて音の奔流に身をゆだねていた。
司会者が「生っていいですねえ」と出てくるたびに云っていたが、同感だ。
途中に、みどりと三人のトーク、「来賓」三人の挨拶があった。
来賓挨拶とプログラムをみたときは、何ごとぞ花見る人の、と思ったが、オーボエ奏者の荒絵理子が、ふるえながらも笑顔で書いたメモを読んだ短い気持ちのこもったメッセージで、上がり症の僕はすっかり共感して聞くことができた。
コシノジュンコも燕尾服をイメージしたような奇抜なフアッションで、ブスっとした顔と声で、五嶋みどりの15歳のときのボストンとバーンスタインで弾いたときに糸が切れたけれど、そのとき少しも騒がず、第二ヴァイオリンを取り上げて弾き続けたという「有名な」エピソードだけを話して下がった。
鼻がぐずぐず、ちょっとだるい、体温は6.5度でビビ熱、起きて半袖で動きまわっていたのがいけなかったか、長袖にジャケットを着てバスに乗ったらおさまった。
きょうはどうしてもくたばってはならない、収めなければならない譯があるのだ。
都立大学のパン屋に行くので、池尻大橋から田園都市線とエレベーターを降りようとしたら目の前に渋谷行きのバスが来たので乗ってしまった、交通費が少し高くなるのに。
隠居してぐーたらな日々をおくるようになってからは映画を見たり、本屋を冷やかしたことがあるけれど、今はそれもほとんどなくなった。
学生時代には渋谷の恋文横丁とか大盛堂、西村、パンテオンなどに行ったことを考えると、距離以上に遠い駅になっている。
隠居してからこういう物件を視察にくることはなかった、その気にもなれなかった。
中に入って、各駅停車のエレベーターで12階のレストラン街に行く。
蟻んこより小さい人間たちが、それぞれの悩みを押し隠してあちこちを彷徨っている。
ここのうどん屋ならなんとかなるかと思いきや、同じ思いの若者中者(老者はいない)が大行列だ。
我が心の渋谷の恋文横丁で食った五目タンメンが恋しい。
渋谷ランチはやめて、東横線、ああ、これもあの懐かしい蒲鉾屋根からではなくて地下から出るのだ。
食パンを買って、いったん帰宅、サンチをなぜてやって別ブログを書いて夕方まで本を読む。
どうやら体調は回復したようなので、納豆を食ってまたバスと地下鉄に乗って(渋谷の地下も通って)銀座へ。
娘が大好きなみどりさんの、ようやく手に入れたチケットを、都合が悪くなったと言ってこっちに回してくれたのだ。
だから、風邪ごときでへたってはならなかったのだ。
「みどり教育財団東京オフィスビル」の「ミュージック・シェアリング」の活動の一環である「ISEP(インターナショナル・コミュニテー・エンゲージメント・プログラム)」の2022年の活動報告コンサート、ややこしいね、ようするにアジアの子供たちや高齢者を病院や学校などに訪問して「本物の音楽、音楽家がもっと身近なものになるようにし、豊かな人間性をめざす環境づくり」、もっとややこしい!
ようするに素晴らしい音楽を広めているってことだ。
イェービン・ユー(オーストラリア、ヴァイオリン)、エリカ・グレイ(アメリカ、ヴィオラ)、ノエミ・レイモンド・フリセット(カナダ、チェロ)。
セルゲイ・ラフマニノフ
弦楽四重奏曲第一番 ト短調
冒頭の大きく膨らんだみどりさんのヴァイオリンが、まどろみの世界にいざなった。
柔らかな雲の上で聴いているような明晰なまどろみ。
モーリス・ラヴェル
弦楽四重奏曲 へ長調
こちらも冒頭のつかみで完全に掴まれた。
川の流れのように、尽きることもなく流れる、広い堂々とゆったりとした流れが、瀬をはやみ
滝となり、陽が輝いて眩しく、、、そのうちに月並みな比喩なんか忘れて音の奔流に身をゆだねていた。
途中に、みどりと三人のトーク、「来賓」三人の挨拶があった。
来賓挨拶とプログラムをみたときは、何ごとぞ花見る人の、と思ったが、オーボエ奏者の荒絵理子が、ふるえながらも笑顔で書いたメモを読んだ短い気持ちのこもったメッセージで、上がり症の僕はすっかり共感して聞くことができた。
コシノジュンコも燕尾服をイメージしたような奇抜なフアッションで、ブスっとした顔と声で、五嶋みどりの15歳のときのボストンとバーンスタインで弾いたときに糸が切れたけれど、そのとき少しも騒がず、第二ヴァイオリンを取り上げて弾き続けたという「有名な」エピソードだけを話して下がった。
(けさ、みどりさんを反芻)
五嶋みどりは、そこらにいる気の良いおばさんのような姿形で現れ、言葉は聞き取りにくかった(前から二列目にいたのに)けれど、笑顔が素敵で、ヴァイオリンを弾くときは後ろ姿に気迫があって、しかし音は今までの貧しい音楽体験ではもっとも柔らかく膨らんで僕を包んでくれた。
満ち足りて帰宅、昼間に買ったクルミパンを四分の一ほどつまんで薬を飲み、シャワーを浴びてゆっくり眠った。
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kogotokoubei at 2022-06-17 16:46
こういう一日でしたか。
球磨川に寄れない理由が分かりました。
五島みどりが、つい、五月みどりに読めてしまう私です(^^)
球磨川に寄れない理由が分かりました。
五島みどりが、つい、五月みどりに読めてしまう私です(^^)
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Solar18 at 2022-06-17 17:38
素晴らしい体験をなさったのですね。ご報告を拝読して、その場にいたような嬉しい気分になりました。
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rinrin1345 at 2022-06-17 20:29
私もTVでみどりさんのバイオリンを聴いてすっかりファンになりました。こちらに来た時何度か聴きました。渋谷は変わりすぎて前に行った時結構迷っちゃいました
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saheizi-inokori at 2022-06-17 21:28
> kogotokoubeiさん、私もついつい五月と書きそうになります。
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saheizi-inokori at 2022-06-17 21:29
> Solar18さん、そうですか、それはとても嬉しい!
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saheizi-inokori at 2022-06-17 21:31
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福
at 2022-06-18 06:41
x
若い頃、じっさい、五月みどりを渋谷で見たことがあります。
小柄で妖艶な方でした。
渋谷の再開発で、「メアリー・ジェーン」がなくなりました。
前衛もかけるジャズの店で、20世紀最後の日に
ソニー・ロリンズのインパルス盤を聴いたことが懐かしい。
小柄で妖艶な方でした。
渋谷の再開発で、「メアリー・ジェーン」がなくなりました。
前衛もかけるジャズの店で、20世紀最後の日に
ソニー・ロリンズのインパルス盤を聴いたことが懐かしい。
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saheizi-inokori at 2022-06-18 10:33
> 福さん、そんないい店があったのですね、知らなかったなあ。
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20070707open at 2022-06-18 21:27
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saheizi-inokori at 2022-06-19 09:24
> 20070707openさん、龍君も素晴らしいですね、テレビでしか知らないけれど。
by saheizi-inokori
| 2022-06-17 12:37
| 能・芝居・音楽
|
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