菊花の契り
2022年 06月 11日
週に三度透析に通っている男や、さいきん退院した(電話で話したときは教えてくれたが、みんなの前ではどこが悪いかをいわなかった)男とか、ガンを患った二人とか、クリニック通いばかりの僕がすこぶる健康にみえてしまうような、活火山、休火山、死火山の9座が集まった。
傘寿の同期会で僕が世田谷在住でこの会をやっている(だから僕は今まで同期会に出ていないのは他意はないのだ)と挨拶で喋ったのを聞いて、じゃあ俺も入れろとニューカマーが入って珍しく欠席がないからカウンターをほとんど占領してしまった。
別撰十四代という手に入りがての酒は冷やして、みんなで大事に少しづつ飲む。
6人くらいでも、なんとか一つの話題をみんなでつつきあうことができる。
しかし誰か一人が雄弁に過ぎるとちょっと面白くなくなる。
9人になるとどうしても向こう三軒両隣りで喋ることになる。
左の男の話を聞いて、つぎに右の男、その向こうの男、そのへんの塩梅を心得ながらできるだけみんなが話をするように気をつけて話をふる。
やがて、なんとなく(焚火が燃え上がるように)鍵の手のカウンターがもりあがってきて「いいなあ、こうやって、うまいものを仕事と関係なく喰って、他愛もないことを喋るのは」と思い、口に出しもするとみんなも頷く。
同期といっても、一緒に仕事をしたのは二人きり、それも二年くらい。
僕は同期なるが故の付き合いをそれほどやったわけではないので、こうして今頃になって今までのいい加減な印象を正しているのだ。
花も嵐も、なんて自分だけいかにも苦労したような回想ブログを書いているが、みんなもきっとそれぞれにいろんな苦労をしたのだと思う。
そういえば、きのうは転んで頭を打って亡くなった同期の男の葬儀に代表して出席した男もいて、故人のために十四代で献杯をしたのだった。
そのことが、それぞれの心の底にあって、いつもよりいっそう和やかな会になったのかもしれない。
そうですよ、、、
重陽の契りはお止めくださいませ、
一日でいいからずらしましょう、、、
誰か霊になっては困ります(^^;