釜揚げシラス

娘一家のＧＷは、どうなのだろう、はあちゃんがまた変わった料理にチャレンジしているのかな、などと話していたら、さっき電話があって、なんと家族そろってコロナにかかっていたそうだ。
タイキがどこかから感染してきて、あとはバタバタ、熱はそれほどでもなかったけれど、喉の痛みがひどく、三日間なにもたべられなかったそうだ。
パパは、三回目のワクチンの副反応も熱が出て、そしてコロナでも苦しんで、なんのためのワクチンかと怒っていた由。
病気のあいだにカミさんに花を手配してくれたのだ、すまんのう。

テレビでシラスの料理を見ていて思い出した。
静岡の釜揚げシラス。

長男がまだ学校に入らない頃、次男は生まれていなかった。
静岡市内にある亡き妻の親戚の別荘に亡妻の姉二人の家族といっしょに夏休みを過ごすことが二年ほど続いた。
僕は途中から参加した。

大人７人（祖母も参加した）と小さな子供も７人が、二間の別荘に雑魚寝をした。
僕が着いた夜は親戚の人たちも集まって、御馳走を食べたのだが、その御馳走がなんだったかはまったく覚えていない。
ビールを際限なく呑んで、あきれられたことは覚えている。
その頃は晩酌でも「男は黙ってサッポロビール」などを４本くらいは呑んでいた。

静波海岸まで海水浴に行った。
車を持っていないのは我が家だけだったので、家族がバラバラに分乗していくのが、ちょっと侘しい感じがしたことも覚えている。

大きな池のある庭があって、池にはみごとな鯉が泳いでいた。
その鯉を育てるために、水槽がふたつほどあったが、そこの鯉が朝になったら浮いてしまった。
どうやら子供たちが遊んでいて給水バルブか何かをいたずらしたようだった。
ひたすら謝った。

そして、釜揚げシラスだ。
早くから目が覚めてひとしきり遊んで、空きっ腹をかかえていると、静岡のおばさんが「お待ちどうさま」とやってくる。
炊きあがったばかりの釜揚げシラスを買ってくるのだ。
炊き立ての白いご飯に炊きたてのシラスをどっさり乗せて、ちょっと醤油を垂らして、ふはふはとぱくつく。
１４人の大人も子供もむちゅうになって食べた。
お代わりもたくさんした。

あんな楽しい夏休み、忘れられない釜揚げシラスの味。
それなのに、恩知らずの僕は静岡の皆さんとの交流も欠いたままになっている。