偶然見た映画「偶然と想像」
2021年 12月 28日
寒い朝、大学病院皮膚科へ。 「その後どうですか」「ひどくなって夜も眠れません」と上着を脱ぎながら答え「ところで検査の結果はどうでしたか」とこちらから訊く、何よりも気になっていたのだ。
「陰性でした」と事務的な返事、やれ嬉しや、と思うのに、お愛想にも喜びを共有しようとしないセンセ。
「では多形滲出性紅斑ですか?」「そうです」「これも重症化すると命にもかかわるそうですね」「そんなことはありません」「ほかの病名は考えられませんか」「考えられません」。
塗り薬を変更、ステロイドの内服を再開、正月5日の来院と採血(検体)を指示された。
とりあえず、カミさんや子供たちに「天疱瘡ではなかったことと多形滲出性紅斑だ」ということをラインした。
どうも医師の態度が無愛想すぎるので、帰宅してもういちど多形滲出性紅斑を調べてみると、「中毒性表皮壊死融解症」という恐ろしい病名もでてくる。
百万人に一人みたいな発症だ。
そこまでいかないか、それを警戒しているのかアイツは。
すべてすっきり解決でないのは、現に背中や腹に湿疹が出てカユイことで明らかだが、今日のところはもっとも危惧した「落葉性天疱瘡」ではなかったことを喜ぶことにしよう。
ぜんかいは途中で「牡蠣ラーメン」に気を奪われて到達できなかった蕎麦屋はないか、246を池尻、大坂上と上っていく。
子供たちが小さい頃に住んでいた青葉台を右にみながら、この坂を通勤したり、年末の食糧買い出しでなんども往復したことなどを思い出しながら、ゆっくりゆっくり歩いた。
そういえばこんなところに蕎麦屋はなかったと思ったら、膝が痛み出したので、おりよく来合わせたバスに乗って一区間だけ乗って道玄坂上で降りた。
道玄坂に出て、坂を歩かず百軒店のほう、ラブホテルやライブハウスを横目で見ながら、映画館「ユーロスペース」にたどり着き、そうか映画という手もありか、と看板を見上げると「エッシャー通りの赤いポスト」、新聞の映画評で大きく取り上げていた。
エレベーターで3階に上がり、チケット売り場で尋ねると1時の回が始まったばかりで、次回は4時という。
諦めて、坂を降りきって文化村に入ってみた。
「偶像と想像」という、聞いたこともない映画があと30分で始まるという。
こういう想像もしなかった偶然には乗ることにしてチケットを買った。
そうしたら、腹が減った井の頭五郎。
長いエスカレーターで東急本店8階へ、しめた永坂蕎麦がすいている。
一番早くできるもの!ざるそばをたぐって、しょっぱい蕎麦湯も啜って、映画館に取って返す。
ちゃんとトイレにも入って長ったらしい本編前も見られた。
第一話「魔法(よりもっと不確か)」
親友同士のモデルとヘアメイクのふたりが仕事帰りのタクシーの中であけすけな恋バナ、俺なんかの若い頃、こんな話誰にもしなかったなあ、などと今の風俗を見るようなつもりでいたら、一転劇的な展開。モデルの子の気持ちのあやふやさと激しさ。僕には共感できないけれど、知ったことかだろう。
第二話「扉は開けたままで」
芥川賞を受賞する大学の先生の部屋の扉はいつも開けておくのだ決まり。
セクハラだパワハラだ、いつ何を言われるかわからない。
それほど注意深い先生が思いもよらぬことで、、。
第三話「もう一度」
女子高校の同窓会に出席した夏子は、会いたかった人に会えないままに仙台駅のスカレーターに乗る。
すれ違った女性こそ、20年ぶりに会うその人ではないか。
彼女の家に案内された夏子は、彼女に会ってどうしても話したかったことを話そうとするが、、。
三篇とも思いもよらぬ偶然がそれまでの人生に隠されていた「真実」を露呈し、新しい人生に導く。
それで癒されることもあり、打ちのめされることもある。
僕は第三話がお伽噺のようで面白かった。
コロナ禍で見た映画、ひとつはあの鬼のなんとかという漫画映画、二つ目がこれ。
どちらも偶然、見るなんて想像もしなかった映画だ。
https://guzen-sozo.incline.life/
ベルリン映画祭銀熊賞受賞作品
「陰性でした」と事務的な返事、やれ嬉しや、と思うのに、お愛想にも喜びを共有しようとしないセンセ。
「では多形滲出性紅斑ですか?」「そうです」「これも重症化すると命にもかかわるそうですね」「そんなことはありません」「ほかの病名は考えられませんか」「考えられません」。
塗り薬を変更、ステロイドの内服を再開、正月5日の来院と採血(検体)を指示された。
とりあえず、カミさんや子供たちに「天疱瘡ではなかったことと多形滲出性紅斑だ」ということをラインした。
どうも医師の態度が無愛想すぎるので、帰宅してもういちど多形滲出性紅斑を調べてみると、「中毒性表皮壊死融解症」という恐ろしい病名もでてくる。
百万人に一人みたいな発症だ。
そこまでいかないか、それを警戒しているのかアイツは。
子供たちが小さい頃に住んでいた青葉台を右にみながら、この坂を通勤したり、年末の食糧買い出しでなんども往復したことなどを思い出しながら、ゆっくりゆっくり歩いた。
エレベーターで3階に上がり、チケット売り場で尋ねると1時の回が始まったばかりで、次回は4時という。
諦めて、坂を降りきって文化村に入ってみた。
こういう想像もしなかった偶然には乗ることにしてチケットを買った。
そうしたら、腹が減った井の頭五郎。
長いエスカレーターで東急本店8階へ、しめた永坂蕎麦がすいている。
ちゃんとトイレにも入って長ったらしい本編前も見られた。
第一話「魔法(よりもっと不確か)」
親友同士のモデルとヘアメイクのふたりが仕事帰りのタクシーの中であけすけな恋バナ、俺なんかの若い頃、こんな話誰にもしなかったなあ、などと今の風俗を見るようなつもりでいたら、一転劇的な展開。モデルの子の気持ちのあやふやさと激しさ。僕には共感できないけれど、知ったことかだろう。
第二話「扉は開けたままで」
芥川賞を受賞する大学の先生の部屋の扉はいつも開けておくのだ決まり。
セクハラだパワハラだ、いつ何を言われるかわからない。
それほど注意深い先生が思いもよらぬことで、、。
第三話「もう一度」
女子高校の同窓会に出席した夏子は、会いたかった人に会えないままに仙台駅のスカレーターに乗る。
すれ違った女性こそ、20年ぶりに会うその人ではないか。
彼女の家に案内された夏子は、彼女に会ってどうしても話したかったことを話そうとするが、、。
三篇とも思いもよらぬ偶然がそれまでの人生に隠されていた「真実」を露呈し、新しい人生に導く。
それで癒されることもあり、打ちのめされることもある。
僕は第三話がお伽噺のようで面白かった。
コロナ禍で見た映画、ひとつはあの鬼のなんとかという漫画映画、二つ目がこれ。
どちらも偶然、見るなんて想像もしなかった映画だ。
https://guzen-sozo.incline.life/
ベルリン映画祭銀熊賞受賞作品
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hitomi8-i at 2021-12-28 11:45
判明した病名、何はともあれ、天疱瘡でなくて本当に良かったです。
年末年始、酷くならず穏やかに迎えられますように……。
年末年始、酷くならず穏やかに迎えられますように……。
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notebook_59 at 2021-12-28 13:35
偶然に出会ったものが思わぬ心の揺さぶりをもたらしたり、幸せな気分を運んできたり、ということがありますね。
そういう偶然のためには、新しいものとの出会いを怖がらず、佐平治さんのようにゆるやかに心を開いていることだなあと思いました。
お体お大事になさってくださいね。
そういう偶然のためには、新しいものとの出会いを怖がらず、佐平治さんのようにゆるやかに心を開いていることだなあと思いました。
お体お大事になさってくださいね。
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saheizi-inokori at 2021-12-28 17:32
> hitomi8-iさん、ありがとう。
切にそう思います。
切にそう思います。
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saheizi-inokori at 2021-12-28 17:37
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ハル婆
at 2021-12-29 00:15
x
ときどき楽しく読ませていただいている者です。
オセッカイのカンチガイかもしれませんが、皮膚科でお辛そうなので、一言だけ。
自己免疫性の皮膚炎かもしれないと思いました。乾癬とかエリテマトーデスとかの類い。
皮膚科ではなく、膠原病内科に行かれるのをお薦めします。
免疫研究の進歩はすごいです。専門の内科、できたら治療事例の多い大きな病院へ。
オセッカイのカンチガイかもしれませんが、皮膚科でお辛そうなので、一言だけ。
自己免疫性の皮膚炎かもしれないと思いました。乾癬とかエリテマトーデスとかの類い。
皮膚科ではなく、膠原病内科に行かれるのをお薦めします。
免疫研究の進歩はすごいです。専門の内科、できたら治療事例の多い大きな病院へ。
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saheizi-inokori at 2021-12-29 10:57
by saheizi-inokori
| 2021-12-28 11:36
| 映画
|
Comments(6)