寿司を食って小三治を聴く

クリニックか買い物か近所の散歩、それ以外の用事で外出するのは久しぶりだ。
年に3度ほどの寿司屋・八志希の集い、ひとり欠席の６人。
とりとめもないことを言いながら、うまい酒と寿司をつまむ。
ガンの治療歴があるのが５人、そのうち一人は腎臓の透析を受けている。
欠席した一人もガン治療中。
「君だけだな何にもないのは」といわれて「言わないだけでいろいろあるんだよ」と答えたが、まあ、この程度ならアリガタイというもんだろう。
ひとりがどういう虫の居所だったのか、妙に僕にからむ。
みんなから見たら、ヘンジンと言われてもしょうがないところもあるのは自認している。
それでも面と向かってなんども言われると（僕は何も言ってないのに）、妙な気持ちになる。
堰が切れるとヤバイことになるので、ひたすら盃を干し、ほかの連中と馬鹿話に興じようとしたが、イマイチ盛り上がらないのだった。
痒くて眠れないということはなくなったので、エチゾラムを飲むのをやめたが、こんどは夜中に目が覚めてしまう。
小三治の動画を聞き続ける。
若い頃の小三治、イキがいい。
でも僕が楽しんだ、あの春風駘蕩としたアトモスフィアはない。
「文七元結」「寝床」「富久」「明烏」「二番煎じ」、、どれも晩年の高座では聴かれなかった噺を聴き放題、便利な世の中になったものだ。