ぜいたくな一杯

きのうは早朝から循環器内科の定例検診、血液検査の結果は、尿酸値がわずかに高いほかは異常なし。
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帰りに歩きながら思いついたのは、尿酸チエックする薬を飲んでいなかったのだ。
このところ薬の種類が多くて、こういうことが起きる。
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病院脇のコンビニで、いつものお握りを止めて海苔巻を買ってみたが、まずいったらありゃしない。
うまくないのは覚悟の上だったが、まずいとまでは予想しなかった。
納豆の味なんかどこにあるのだ。
半分も食えなかった。

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晩飯の買い物で等々力に出たら、バスの窓から新しい店を見つけたので、坂道を恐るおそる戻ってみた。
開店時間の10分前だったが、ドアから覗いていたら開けてくれて、もう作れますよ。
メニュー表を見ながら、「夜はお酒も飲めるんですね」というと「あら、昼間でも結構ですよ」「いやあ、飲むとだるくなっちゃうからなあ」なんて言ってたが、トイレに立ったら、急に飲みたくなって「熱燗、一本」。
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ああ、外は氷雨を思わせるような冷たい雨、それを見ながら昼から熱い酒なんて、贅沢極まりないな。
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「ひじきの炊いたの」「ごぼうの叩き」「ピーマンとシラス」、豚汁定食の小鉢が「もう一杯どうだい」と誘惑するが意思堅固にご飯にとりかかろうとしたら、ママが「私もお酒が好きで、友達からもらったの、これはサービスよ」とグラスについでくれた愛知の「ひやおろし」。
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子供食堂もやっているという。
この辺にないから、入りきらないのよ。
子供たちがここで食べたことをいい思い出にするといいですね。
つい、自分の子供のころの母と弟の貧しくも幸せな食事を思い出す。
お釣りは、子供たちへの寄付に置いて出た。
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(かゆみ先生と読んでしまった)

迷っていたけれど年賀状を出すことにして、郵便局でハガキを買って、スーパーストアで、白菜やらキノコやら豚肉やら豆腐やら、、いろいろ買い込む。
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開高が、遁世?している島尾敏雄を奄美大島に訪ねたときの素描、
いたましくも陰惨な作品を読んだあとの読後感で氏の顔を点検しようという意地悪な心で眺めても、十五、六年も昔に六甲の喫茶店で濃いコーヒーの香りのなかで首から姓名を書いた大きな紙を紐で吊るしてはにかみつつたちあがった、にがみ走った長身の、敏感すぎる眼をした、いい男の原型は、少しも変っていないのである。じめじめとくすぶったような、それでいてどこか執拗、頑健に楽天的で、真摯でありながらひょいひょいと軽快な跳躍を見せて人を笑わせる気配。しっとりとからみつくように柔らかく複屈折をしながらもけっして瓦解してはいないらしい気配。柔軟、繊鋭でありながらうっかりそれだけを感じこんだらうっちゃりをくらわせられそうな骨太と不逞さをかくしている気配。こうしたことは少しも変っていないように思える。
なんともややこしい、開高節炸裂だね。

「死の棘日記」「死の棘」など、救いのない陰隠滅滅な小説を読み、特攻隊指揮官の生き残りだった彼の原点かもしれない「出発は遂に訪れず」を読んだ作家だ。
図書館に行くたびに通路でみかける、梯久美子の「狂うひと—『死の棘』の妻・島尾ミホ—」も、いよいよ手に取れというとるのか。

Commented by doremi730 at 2021-12-15 12:09
>にがみ走った長身の、敏感すぎる眼をした、いい男の原型、、、
saheiziさんの事と読めました(^^;
開高健さん、素敵な方なんですね。
Commented at 2021-12-15 12:36
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kogotokoubei at 2021-12-15 12:47
また、佐平次さんの「いい店発見」アンテナが冴えましたね^^
昼から呑むのなら、このお店でそのうち!
Commented by 20070707open at 2021-12-15 14:00
「ゆかみ」を「かゆみ」、こういう間違い私は得意です。
ラーメン屋で「おやじ付き」って何?と夫に聞いたら「おじや付き」だよ(爆)周りのお客にも笑われました;
道端の看板を見て「おとこ教室」だって!って興奮して言ったら「おこと教室」だったり・・・
(お琴は漢字で書いて欲しい・・・)
Commented by テイク25 at 2021-12-15 14:03 x
私も「かゆみ先生」と読んでしまいました。
「湯上先生の皮膚科」と書いてあるより印象に残りますね。
Commented by りんご at 2021-12-15 16:09 x

外は氷雨を思わせるような冷たい雨、それを見ながら昼から熱い酒...
ああ 全てようございましたね
ゆうゆう食堂は名前もいいですね 心ある方がいてくれる子供食堂
梯久美子 楽しみです




Commented by saheizi-inokori at 2021-12-15 16:50
> doremi730さん、私は中肉中背、苦みばかりです。
開高健はたまに読むといいです。
Commented by saheizi-inokori at 2021-12-15 16:52
> 鍵コメさん、トイレって普通は熱が覚めて愚行は控えようと思うところですが、あれは愚行ではなかったのです。
Commented by saheizi-inokori at 2021-12-15 16:53
> kogotokoubeiさん、地味な店、こういうのもありですね。
ご馳走は会話。
Commented by saheizi-inokori at 2021-12-15 16:54
> 20070707openさん、そうそう、それは私もあります。
解っていて親父付き、男教室になっちゃうのですね。
Commented by saheizi-inokori at 2021-12-15 16:54
> テイク25さん、先生はそのつもりで書いたのでしょうかね。
Commented by saheizi-inokori at 2021-12-15 16:56
> りんごさん、今日も病院でいい結果が出たのですが、昼飯に酒はやめました。
あの冷たい雨がいいのですね。
梯久美子、そうですか、いよいよ、か。
Commented by at 2021-12-16 06:44 x
社会人になったころ、「氷雨」を歌う人が多くいました。
当時の宴会は必ず3次会まであり、カラオケ大会になりました。
「おい、銀恋いこう」「夢芝居、オレ覚えたから」
その声が今でも耳に残っています。
Commented by ikuohasegawa at 2021-12-16 08:49
こういう小さい子ども食堂は嬉しくなります。
ありがたいですね。
Commented by saheizi-inokori at 2021-12-16 09:22
> 福さん、私はカラオケは社会人になって10年近くなって、ソノシートみたいのを座敷に持ち込んだ男がいて面白いものができたと思いました。
カラオケが座敷においてあったり、カラオケ屋に行くようになったのはだいぶ後のことでした。
面倒な話をしないで済むと喜ぶ人が多かったですね。
女性社員の肩を抱いて「銀恋」もやりましたが、あれは今だとセクハラなのかな。
Commented by saheizi-inokori at 2021-12-16 09:25
> ikuohasegawaさん、ほんとに、子供たちも楽しみにしているのでしょう。
満員になってしまうというから、もっとできるといいのですが。
Commented by tona at 2021-12-16 14:42 x
かゆみと読んでいました。紛らわしく命名して印象付けようとしたのでしょうか。
それとも湯上さん。
島尾敏雄までとても辿り着きそうにありません。村上春樹(随筆は好き)と同じ、食わず嫌い(読まず嫌い)のくち。何でも凄い本までスース-入っていくsaheiziさんは凄い!
Commented by saheizi-inokori at 2021-12-16 17:08
> tonaさん、暗くて救いがなくてくどくて読んで楽しくはありません。なのに引き込まれました。
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by saheizi-inokori | 2021-12-15 09:22 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(18)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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