メモ帳なんかいらない&「気違い部落周遊紀行」(きだみのる)

けさは、だいぶ冷え込んだ。
といっても、いま9度、素足で庭の落ち葉を掃いているおばさんに、JRのカレンダーを差し上げてきた。
OB会に会費を払っているとくれるのだ。
「これ、大きくていいですね」とおばさん。
僕はもう大きなカレンダーを飾らない。
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昔はカレンダーをもらうと開けてみて、12月までの写真を確かめたりした。
連休がどうなってるか、なんて、ね。
二年ほど机の前に24節気のカレンダーを買って来てぶら下げたけれど、それもやめて、ことしは「花キューピット」でくれた小さなので間に合わせてしまった。

去年までは、前の会社の子が会社のメモ帳を送ってくれたけれど、ことしはもうおしまいかもしれない。
何事にも終わりがあるのだ。
メモ帳もあるから書き込むので、なければキッチンの入り口のカレンダー(小さい)に書き込めばことたりる。
むしろ、あっちにもこっちにも書かなきゃいかんから、落ちが生じるのだ。
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うんと若い頃は、予定はすべて頭の中に入っていた。
メモ帳がないと覚えられなくなったのが、30代半ばかな、それから真っ黒けに書き込む日々が続いて、いまは、キッチンのカレンダーをみたカミさんが、アラームを鳴らしてくれる。
ほとんどGOTOクリニックだ。

なんか暮らしに色気が足りないなあ。

「気違い部落周遊紀行」、読了。
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きだみのるが、戦時中住み暮らした、八王子の山間の村に材をとり、日本の村共同体のありよう、人びとの生き方をユーモアとエスプリを利かせて書いた話。
こういう饒舌は大好きだ。

嫉妬、人の不幸は蜜の味、常に蔑む対象を求める、狭い世間、繰り返される無意味な会話、共同作業とは共同してサボる(「じくをまく」という)こと、優しさと酷薄の同居、規模の小さな村にも党派がある、贈与が権力を作る、穢れの観念、自慢、食べ物に対する偏見、どんなところにも存在する虚栄、未知の人をはなからスパイとして疑う、支配階級は泥棒組合であること、貧困、みんなで渡れば怖くない、秘密の利権、衝動的、村会議員選挙のありよう、、。
箴言をちりばめたエピソードの多くは、決して過去の遺物ではない。
今現在の日本のありようだ。
なんにも変わっちゃいない。
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人間の行動や思考は、個人を超越した集団や社会のしきたり、慣習などによって支配されるという、社会学理論の愉快な実証のようだ。
とはいえ、登場する英雄13人とその家族は、それぞれに個性的であり、愛すべき人びとだ。
映画を見たくなった。

Commented at 2021-12-10 22:09 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by wawa38 at 2021-12-11 00:34
>なんにも変わっちゃいない。

  日本の状況を知るにつけ、よく思います。

カレンダー、毎年いただきものが余っています。
なのに、お気に入りのカレンダーを買ってくるのです(^^ゞ
Commented by saheizi-inokori at 2021-12-11 10:57
> 鍵コメさん、弁慶の死にざま、それともヤマアラシ?
Commented by saheizi-inokori at 2021-12-11 10:58
> wawa38さん、いっそ何の絵もないのがいいかな。
ことしは来ないなあ。
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by saheizi-inokori | 2021-12-10 09:19 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(4)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori