キャッチャー・イン・ザ・ゲーム あっぱれ中村悠平君
2021年 11月 28日
5時間余、ほとんど一球も見逃さずにテレビに正対しつづけた。
日本シリーズ第6戦だ。
7℃の神戸、ときには口まで覆うネックウォーマーをつけて打席に立つ選手たちの熱い熱い戦いに身も心も没入した。
12回延長でヤクルトが2-1で優勝したが、そこに至るまで、なんど2アウト3ボール2ストライク、一発勝ち越し、逆転、サヨナラの場面があったことか。
とくに延長に入ってからはそんな場面ばかりが続き、そのすべてを息をつめて見守った。
6戦ともすべて完全観戦、どちらが勝っても不思議ではない接戦ばかりだった。
点差ばかりではない、内容において緊迫したゲームばかり、一度ならず出たエラーすら緊張を高める演出かと思えるほど。
たとえば味方のエラーで出塁した走者を、エラーをした選手のためにもエラーを帳消しにしようとギアアップする山本投手、その心情に思いをはせてグッとくる。
僕は彼以外の選手の名前だけはヤクルトの山田と奥川くらいしか知らなかったが、6戦を見終わるときには、両軍ともに戦友を見るような気分で見ていた。
試合が決して、歓喜の輪の中で、むしろ目を引くのは若い村上の泣きじゃくる姿、肩を抱いて宥める中村も涙そうそうだ。
両軍とも監督の打つ手打つ手が見事に当たって、なかでも極めつけは高津監督のベテラン「代打の神様」川端の満を持しての12回二死での起用、2ストライクと追い込まれてレフト前に渋く決勝打をはじき返す。
プロ野球史に残り長く言い伝えられるべき名場面だ。
その川端も涙そうそう、タオルを投げてやりたかった。
試合後、MVPの発表まで間があったが、僕はすべての試合を通してキャッチャー中村の殊勲が最高であることを一ミリも疑わなかった。
相手打者のシリーズ中、前日、前打席における打撃の内容を頭において、今この瞬間における打席での狙い球を見透かし、味方投手の調子を見極め、一球一球、ストレート、スライダー、フォ—ク、カーブなどの球種、高低内外のコースを決める。
打者の心理を読んだ配球が決まると、面白いようにバットは空を切る。
第一戦における若武者奥川が、4番杉本を三振に打ち取ったときのボールは、立ち上がって待つ中村のミットに吸い込まれて、バッテリーは呆然とする杉本に目もくれずにダグアウトに引き上げた。
逆に中村のサインに首をふったマクガフは、打たれてしまう。
第二戦の高橋の完投完封も中村のリードがなければ成し遂げられなかったと確信する。
僕は美酒「真澄」をタラチリでやりながら見ている無責任な観客だった。
それでも緊張・興奮し、頭の芯に興奮が残って、いくら小三治を聴いても朝まで眠れなかった。
そういう緊張を6戦のすべてに渡って、一瞬もとぎらせることがない。
野村監督のデータ野球の真髄とはこういうものだったのか。
中村が試合後のインタビューで「ピッチャーのみんなに感謝する」と繰り返したのも本音だろう。
野球は9人でやるゲームだということをこんどの日本シリーズは如実に見せてくれた。
僕は、中村に山本に両監督に、そして両軍のすべての選手たちに感謝したい。
日本シリーズ第6戦だ。
7℃の神戸、ときには口まで覆うネックウォーマーをつけて打席に立つ選手たちの熱い熱い戦いに身も心も没入した。
とくに延長に入ってからはそんな場面ばかりが続き、そのすべてを息をつめて見守った。
6戦ともすべて完全観戦、どちらが勝っても不思議ではない接戦ばかりだった。
点差ばかりではない、内容において緊迫したゲームばかり、一度ならず出たエラーすら緊張を高める演出かと思えるほど。
たとえば味方のエラーで出塁した走者を、エラーをした選手のためにもエラーを帳消しにしようとギアアップする山本投手、その心情に思いをはせてグッとくる。
僕は彼以外の選手の名前だけはヤクルトの山田と奥川くらいしか知らなかったが、6戦を見終わるときには、両軍ともに戦友を見るような気分で見ていた。
両軍とも監督の打つ手打つ手が見事に当たって、なかでも極めつけは高津監督のベテラン「代打の神様」川端の満を持しての12回二死での起用、2ストライクと追い込まれてレフト前に渋く決勝打をはじき返す。
プロ野球史に残り長く言い伝えられるべき名場面だ。
その川端も涙そうそう、タオルを投げてやりたかった。
相手打者のシリーズ中、前日、前打席における打撃の内容を頭において、今この瞬間における打席での狙い球を見透かし、味方投手の調子を見極め、一球一球、ストレート、スライダー、フォ—ク、カーブなどの球種、高低内外のコースを決める。
打者の心理を読んだ配球が決まると、面白いようにバットは空を切る。
第一戦における若武者奥川が、4番杉本を三振に打ち取ったときのボールは、立ち上がって待つ中村のミットに吸い込まれて、バッテリーは呆然とする杉本に目もくれずにダグアウトに引き上げた。
逆に中村のサインに首をふったマクガフは、打たれてしまう。
最後は3イニングにまたがる奮戦で監督の信頼にこたえ、自らのプライドを守るのだけれど。
第二戦の高橋の完投完封も中村のリードがなければ成し遂げられなかったと確信する。
それでも緊張・興奮し、頭の芯に興奮が残って、いくら小三治を聴いても朝まで眠れなかった。
そういう緊張を6戦のすべてに渡って、一瞬もとぎらせることがない。
野村監督のデータ野球の真髄とはこういうものだったのか。
中村が試合後のインタビューで「ピッチャーのみんなに感謝する」と繰り返したのも本音だろう。
野球は9人でやるゲームだということをこんどの日本シリーズは如実に見せてくれた。
僕は、中村に山本に両監督に、そして両軍のすべての選手たちに感謝したい。
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jyariko-2 at 2021-11-28 13:22
両選手にアッパレ!! です
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saheizi-inokori at 2021-11-28 17:40
> jyariko-2さん、監督にもね!
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福
at 2021-11-28 20:23
x
川端選手といえば、CSの巨人戦で菅野投手との心理戦が見ものでした。
お互いに眼で牽制しながら、ついに川端選手が4球を選ぶんですが、まさに野球の真髄を観た気がしました。
日テレで江川解説者が投手心理の面から解き明かしていますが、古武士の決闘のような醍醐味でした。
お互いに眼で牽制しながら、ついに川端選手が4球を選ぶんですが、まさに野球の真髄を観た気がしました。
日テレで江川解説者が投手心理の面から解き明かしていますが、古武士の決闘のような醍醐味でした。
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rinrin1345 at 2021-11-28 21:04
あまり野球に話をしない私達ですが今回は何だ話題まんさいですね。
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kogotokoubei at 2021-11-29 07:50
野球評論家なるものに、ぜひ読ませたい一文。
また、あの好ゲームのそれぞれの場面が浮かび上がります。
また、あの好ゲームのそれぞれの場面が浮かび上がります。
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saheizi-inokori at 2021-11-29 12:02
> 福さん、古武士の決闘、たしかにそんな場面がなんども見られました。若武者ががんばりましたね。
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saheizi-inokori at 2021-11-29 12:03
> rinrin1345さん、野球がこんなに面白いとは今まで思いもしませんでした。
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saheizi-inokori at 2021-11-29 12:06
by saheizi-inokori
| 2021-11-28 12:01
| よしなしごと
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Comments(8)