生き甲斐

晴。正午浅草。
最晩年の荷風は、規則正しく、まいにち午前十時に家を出て、京成電車とバスか都電を乗り継いで、浅草へ赴き、アリゾナかナポリかで朝・昼・夜を兼ねた食事をたらふく食い、ときには梅園でお汁粉も食って、帰宅、日記を書いて就寝という生活を送った。
一日一食、食べる楽しみもそれほどでなくなり、「そういうことになると、生きるたのしみとは何ですか」と問われ
もう何もありゃしませんよ。毎日一回浅草まで飯を食いに出て、早く帰ってきて日記をつけてしまえば一日の終わりです。
その日記も冒頭のように、一行で片付けて味気ない。
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79歳、ブログがどんどん味気なくなるところもふくめてほとんど僕と変わらない。
僕も家事の後は朝飯を食って、ブログを読んだり書いたりして、昼は納豆だけ食って(ときどき漬物も)、午後は寝転がって本を読み、夕方は近所を散歩して、夜はカミさんの作ってくれるご馳走を肴に酒を飲んで寝るの毎日。
どんどん荷風化していたが、このところ、テレビで御嶽海を見て日本シリーズをじっくり見るようになって、わあい!荷風さんよ、羨ましいか。
羨ましくないってさ、軽蔑の目で見られてしまった。
なあに、相撲と日本シリーズが終わればまた荷風化するさ。
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半藤一利、歴史探偵の物語る荷風の戦後。
僕の小学生から高校生までの時代の出来事を一筆書きで描いてくれるのも、面白かった。

昭和31年、32年の二年間に荷風が見た映画、日乗に載っているのが61本、よく見たなあ。
そのなかで僕(中学から高校のころ)が見た覚えのある映画は、
「黄金の腕」「黒い牡牛」「上流社会」「知り過ぎていたゐた男」「戦争と平和」「泥棒成金」「街の仁義」「わんわん物語」、なかにはテレビで見たものもあるかもしれない。
荷風は日記に映画の感想は書かず、単に「見た」「見た」のみだそうで、それは今の僕も同じ「見た」だけだ。
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Commented by tsunojirushi at 2021-11-25 10:44
荷風のことを書いてくださるの、面白いです。興味のある人です。
生き甲斐、よくかんがえます。
何らかの行動を「生きた記念にはなるが、生きる目的にはならないな」などと思います。どっちでも良いのかもしれませんが。
Commented by saheizi-inokori at 2021-11-25 11:56
> tsunojirushiさん、荷風なんてまったく縁のない人だと思っていましたが、年のせいかとても身近に感じられます。
毎朝、起きるのが嫌になるようになりましたが、洗濯しなきゃと思って起き上がります。
その時点では洗濯が「生きる目的」になっています。
都度都度、目標を設定して「えっこらさ」です。
Commented at 2021-11-25 22:59 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2021-11-26 08:44
>鍵コメさん、なんか「銀の匙」みたいですね。
夢の世界です。
Commented by tona at 2021-11-26 11:00 x
saheiziさんの一日、荷風と似てきたそうですが、家族やサンチ君がいるので、ちょっと違うでしょうか。
荷風や内田百閒は面白くない人生を、私達に面白く紹介しているような感じです。
Commented by saheizi-inokori at 2021-11-26 11:58
> tonaさん、面白くない人生を面白くないと紹介しているのを面白がって読んでいます。
Commented by olive07k at 2021-11-26 16:10
荷風さんは 過去の人(_ _)
saheiziさん 今の人(^^)
Commented by saheizi-inokori at 2021-11-26 21:46
> olive07kさん、今のところはね。
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by saheizi-inokori | 2021-11-25 10:30 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(8)

ホン、映画・寄席・芝居、食べ物、旅、悲憤慷慨、よしなしごと・・


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