タワケの荷風
2021年 11月 22日
きのうの日本シリーズも緊迫したゲームを楽しめた。
完全試合を期待される出来の宮城が、立ち上がり不十分ながら、なんとか無失点を続ける高橋に負ける、ままある試合展開、人生展開だ。
8回、球数も多くなっている高橋がふんばり、9回も続投で高橋自身初めての完投完封勝利。
日本シリーズという大舞台での”偉業”は、若者にどれほどの自信を与えたか。
高津監督は、こうやって選手を育てている。
ジャイアンツでは見られない試合だった。
朝、NHK衛星で大阪の子供食堂のルポ映画をみた。
「子供は勝手に育たない」、NPOの人が地域の人々と一緒になって、事情を抱えた子供の、その事情に優しい手を差し伸べ、笑顔を取り戻させる。
なんといい笑顔だろう。
僕の子供のころの周囲の大人を思い出させてくれた。
歴史探偵が「断腸亭日乗」を中心に、周囲の人の証言も得て、かっこつけマンの荷風の日記に隠された戦後の荷風の真実に迫る。
とはいえ、半藤さんは荷風の熱烈なファンだ、その暴露は優しさに満ちて、思わず微笑みたくなるものが多い。
恐らくは180センチに達せんばかりの大男、終戦直後の物資払底の折には、さぞや履く靴に困ったことだろう。
晩年に下駄を履いているのを、新聞雑誌が庶民的などと伝えたが、それはとんだ誤解で、履く靴がなかったからだろう。
荷風といういう人は庶民的であったことなど一度もない。終生「精神貴族」であったとわたしは考えている。
それが戦後の荷風の浅草通いだった。
ああ、僕も浅草をさまよいたい。
もうタワケの気分などどこにも見当たらない、良風美俗の風に汚染された浅草であっても、歩くこちらに、少しでもタワケの精神を貴ぶ気持ちがあればいいじゃないか。
完全試合を期待される出来の宮城が、立ち上がり不十分ながら、なんとか無失点を続ける高橋に負ける、ままある試合展開、人生展開だ。
8回、球数も多くなっている高橋がふんばり、9回も続投で高橋自身初めての完投完封勝利。
日本シリーズという大舞台での”偉業”は、若者にどれほどの自信を与えたか。
高津監督は、こうやって選手を育てている。
ジャイアンツでは見られない試合だった。
「子供は勝手に育たない」、NPOの人が地域の人々と一緒になって、事情を抱えた子供の、その事情に優しい手を差し伸べ、笑顔を取り戻させる。
なんといい笑顔だろう。
僕の子供のころの周囲の大人を思い出させてくれた。
とはいえ、半藤さんは荷風の熱烈なファンだ、その暴露は優しさに満ちて、思わず微笑みたくなるものが多い。
恐らくは180センチに達せんばかりの大男、終戦直後の物資払底の折には、さぞや履く靴に困ったことだろう。
晩年に下駄を履いているのを、新聞雑誌が庶民的などと伝えたが、それはとんだ誤解で、履く靴がなかったからだろう。
荷風といういう人は庶民的であったことなど一度もない。終生「精神貴族」であったとわたしは考えている。
西行、宗祇、芭蕉、良寛、、、。いや、荷風の生涯の友といえる宝井其角、大田南畝、為永春水、山東京伝、亀田鵬斎などを挙げたほうがいいか。風狂の、タワケの先人たちは山ほどもいる。その仲間入りである。タワケとは何か。野口武彦氏の書くところがいい。「タワケとは、いってみれば自己をfouとみなし、そのことで進んで風狂の世界に出向き、戯作する特権を入手した自己に対する呼称である。」(『江戸文学の詩と真実』)。かくタワケとなって風狂の世界へ身を投じる。隠者と違って風狂の徒は世俗から超越しているわけではない。世俗にかかずらいつつ、世俗との妥協を許さない生き方、逃避ではないから向き合っている、つまり風狂そのものが現世の批評になっている、そんな生き方といえようか。良風美俗に反逆する隠微猥雑な空気、そこでハダカの女たちの間に身を沈め、歓楽第一の趣味を発揮して遊びほうけ、大いに楽しさを満喫する。
それが戦後の荷風の浅草通いだった。
もうタワケの気分などどこにも見当たらない、良風美俗の風に汚染された浅草であっても、歩くこちらに、少しでもタワケの精神を貴ぶ気持ちがあればいいじゃないか。
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りんご
at 2021-11-22 21:54
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荷風のファッションがオシャレですね! コート丈とポケット、横長のバッグにこの靴
高級なノンシャラン。。記事を拝読しタワケ・ホールデン風をふと思ったりしました
=大人になりたくなければなる必要はない。死ぬ必要さえないのだから
下の記事を読みましたが2年後だそうです∼ 強力なメディア心理作戦を駆使。。?
総選挙で躍進・日本維新の会 改憲論議に火をつけて自民党分断を狙う(NEWSポストセブン) - Yahoo!ニュース
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りんご
at 2021-11-23 00:23
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ポケットじゃなかっった
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saheizi-inokori at 2021-11-23 09:59
> りんごさん、ポケットだと思いますよ。
偏奇館の焼け跡に佇んでいるのかな。
私もきのうは珍しく古いレインコートを着て歩きました、どこかでこの写真におびき出されたのかな。
文通費騒動もこの一環でしょうかね。
偏奇館の焼け跡に佇んでいるのかな。
私もきのうは珍しく古いレインコートを着て歩きました、どこかでこの写真におびき出されたのかな。
文通費騒動もこの一環でしょうかね。
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at 2021-11-24 10:40
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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saheizi-inokori at 2021-11-24 12:12
> 鍵コメさん、フランス語で、「気のふれた;まともではない」とか英語で「酔った」のような意味らしいです。
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at 2021-11-24 14:50
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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saheizi-inokori at 2021-11-24 21:41
> 鍵コメさん、小説面白いですよ。
by saheizi-inokori
| 2021-11-22 14:57
| 今週の1冊、又は2・3冊
|
Comments(7)