アイスクリームは高嶺の花

NHKを見ていたら、長野市で77歳の記念写真を撮る試み。
スナップじゃなくて、ちゃんと盛装して写真館で、夫婦でにこやかに撮っている。
どっちが喜寿かわからないけれど、お母さんがお父さんに腕をからめて、ふたりともとてもいい笑顔だ。
いろいろあっただろうが、いい人生を送って来たんだね、と思ってこっちまでいい気持ちになった。
年上の老人の幸せを寿いだつもりだったが、なんと喜寿なら僕は去年、あんひとたちゃ、一年後輩ではないか。
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きのうライフの写真などをのっけたので、スーパーストア関連のコメントをいただいた。
アイスクリームの棚の充実を子供のころには考えられないと福さん。
僕はアイスクリームってのは、夏休みに山梨に行く列車の中で買うアイスクリンとか、甲府の岡島で叔母が食べさせてくれたソフトクリームくらいしか、縁がなかった。
今でも、旅先で一緒に行った人から誘われなければ、買って食おうという気がおきない。
饅頭とかお汁粉なら一人旅で食うこともあり、このごろはF&Fの買い物で、豆大福などを自分のために買ってくることもある。
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アイスキャンディー、色のついたのをべろべろずずっと舐め・食べると検便に使うようなヘラが残って、それを木の味がするまで舐めつくす。
あっちは子供の小遣いでも手が出たけど、アイスクリームとなると、なんせ牛乳を一本だけ取って弟と「今日は俺の番」とケンカしながら飲んだから、本能的に我が身にあまる贅沢品という感覚が染みついているのだ。

引き揚げ者用に建てた県営住宅群と道を挟んで、雑貨屋、八百屋、魚屋が並んでいた。
雑貨屋のバタはマーガリンの量り売り、おばあさんが、あれは模造だろうが竹皮にヘラでのっけて量って、手についたマーガリンをなめながら、勘定をしてくれた。
石鹼みたいで、うまいと思ったことはないが、それを冷たい食パンにつけて、トマトと砂糖湯で晩飯が定番。
頂き物の本物のバタは脳天をとろかすようなうまさだった。
あれと牛乳がアイスクリームにも使われていると聞いて、それもアイスクリームを神聖視もしくは罪悪視するようになった一因かもしれない。
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コロナが流行る前の春、次男夫妻がカミさんの誕生祝いに二人を河口湖に連れて行ってくれた。
満開の桜の下をサンチや柴犬しいちゃんもいっしょに散歩して、湖畔のカフエでアイスクリーム、なんの変哲もないバニラのアイスをご馳走になった。
あれも人生のご馳走だな。
Commented by eblo at 2021-09-29 11:10
子供の頃、母の料理は、買える値段の食材を煮たり焼いたり味を変えたり、毎日の食事だけでなくお弁当まで。
一週間のお弁当の内容を書く授業があって、正直に書いたら先生に怒られました、もっと栄養を考えるようにと。そんなこと親に言えませんよね。
それが、「見るのも嫌」にならないで、懐かしい好きな食べ物になっています、不思議なものです。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-29 11:52
> ebloさん、もっと栄養を考えたかどうか、肥満児は私たちのころはいませんでしたね。
たくさん食べていい子だと褒められることもね。
Commented by fubako123 at 2021-09-29 18:36
こんにちは。

子どもの頃、アイスクリームは夢の食べ物の一つでしたね。
母のお供でデパートに行った帰りにソフトクリームを食べさせてもらったのがただ一つの嬉しい出来事でした。大きくなったら好きなだけアイスクリームを食べてやろうと夢見たものです。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-29 20:14
> fubako123さん、それで好きなだけお食べになりましたか。
私は食べてないのですよ。

Commented by fusk-en25 at 2021-09-29 23:10
冷凍庫のない時代。
アイスクリームより一般的なのはかき氷でしたね。
でも今から思うと。
金属のお皿にポツンとのってたレストランや喫茶店のアイスクリームが
今の豪華なのより美味しかったような気がする。
Commented by at 2021-09-30 06:32 x
お店で食べるアイスクリームは、銀の皿に乗り、ウエハースが差してある。
ウエハースは柔らかくて壊れやすく、俳諧味があります。
松岡正剛の言うフラジャイルかな。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-30 09:25
> fusk-en25さん、そりゃあもう、あの白いテーブルクロス、銀の食器、あのアイスクリームはカップ入りのものとは全く別物、高貴な香りがしました。
いまテレビでみる、「おいしい~!」ごてごてもまた別物でしょう、とても高貴とはいいがたいなにものかです。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-30 09:27
> 福さん、壊れやすいものが溶けやすいものにさしてあって、腐りやすい者がそれを食う。
俳諧ですね、たしかに。
Commented by touseigama696 at 2021-09-30 09:50
喜寿の笑顔写真 私も見ましたよ
これ撮っておけば笑顔の葬儀写真にもなって
家族葬の昨今 少し心和ませる斎場になるかも
カミさんとそんなこと言いながら見ました
決して遠からずの話題じゃなさそうです(笑)
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-30 12:26
> touseigama696さん、じつは私もあの長野の人たちは「これで葬式用の写真ができたね」なんて言いながらカメラに向かったのじゃないかと想像しました。
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by saheizi-inokori | 2021-09-29 10:11 | 人生の御馳走帖 | Comments(10)

ホン、映画・寄席・芝居、食べ物、旅、悲憤慷慨、よしなしごと・・


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