豆腐と落語

洗濯物をパンパンやりながらつくづく嫌になった。
家事は、一つ一つの仕事はなんでもないが、その単純作業を一時間も二時間も、来る日も来る日もやり続けなければならないということが、嫌でしょうがない、嫌だなあと思うと、いっそう嫌で嫌でたまらなくなる。
ときどき手伝うならなんてことがない、むしろ「手伝ってやる」という気持ちがストレス解消につながることも(現役時代には)あった。
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(きのうは駒沢公園に)

ミニ家出をしたいけれど、コロナ禍のことをさておいても、朝昼晩の何種類かの薬(煎じた漢方も含む)、スマホの充電器、服装(もうTシャツだけは無理)、パジャマ、、身軽にひょいと旅立つことはできなくなっている。
もちろん、先立つものが先立たないという懐事情も有之。
山頭火にはなれない。
酔うてこほろぎと寝ていたよ
酔いどれであっても山頭火には志ってものがあったのじゃないか。
楽をしたい、なんて頭の片隅にもなかっただろう。
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きのうのブログで駒沢通りの豆腐やの写真をアップしたら、思いのほかコメントがあって嬉しかった。
下北沢の皮膚科の帰り、バスを乗り換えるところで、見かけて豆腐を買って帰ろうと思ったらバスが来てしまったから、食べてない豆腐屋だ。
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(ほんとに久しぶり!いつもの木)

コメントに返信しながら、豆腐がでてくる落語のことを想った。
豆腐ほど日本人の暮らしに溶け込んでいる食べ物も少ないのではないか。

「甲府い」は、山梨から出てきた青年がスリに盗られて空腹のあまり、店先のおからに手を出してしまい、それが縁でその豆腐屋の養子になるという、とても温かで僕の好きな噺、「千早ふる」は、尾羽打ち枯らした花魁が豆腐屋におからを恵んでくれと頼むと、その豆腐屋がかつて全盛期に肘鉄を食らわした大関の第二の人生の姿だったという噺、同じく豆腐屋の店先でおからを食おうとして、犬と間違えられて殺されてしまうのが奈良の鹿、鹿殺しは石子詰めになるというのを救う「鹿政談」、知ったかぶりの気障な若旦那が腐った豆腐を食わされる「酢豆腐」、雌伏時代に長屋で勉学に勤しむ貧しい荻生徂徠に毎日ツケで豆腐を売ってやった豆腐屋の噺「徂徠豆腐」、ドケチの主の留守中に、番頭公認で鬼のいぬまのどんちゃん騒ぎ、奉公人が好き好きにあつらえたご馳走の味噌田楽の匂いで、いけない、味噌蔵に火が入ったと慌てる早帰りした主の「味噌蔵」、吉原で遊んだ朝、浅草で食う湯豆腐がうまそうな「付き馬」、酔っぱらって帰って飲み足りなくて女房におでんを買いにやるのに、「焼き」たア「焼き豆腐」のことだとエラそうな「替わり目」、
酒飲みは、やっこ豆腐に、さも似たり、初め四角で、あとはぐずぐず
とは、「居酒屋」や「一人酒盛り」などの枕に出てくる常套句だ。

はじめから終わりまでグズグズなのが、僕のブログだ。
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Commented by tsunojirushi at 2021-09-17 13:15
「家見舞い」も連想しました。聞いていると、お豆腐がとてもおいしそうなのです。お話の中では食べられないんですけどねw
Commented by ago1-filo2 at 2021-09-17 14:06
家事は、穴を掘る⇄埋める拷問に似ていると 20年ぐらい思っています。(笑)
楽しい瞬間もあるんですけどね。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-17 14:08
> tsunojirushiさん、そうでした、家見舞いもありましたね、たしかにうまそうに食いますね^^。ほかにも「豆腐落語」あるかもしれませんよ。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-17 14:12
> ago1-filo2さん、シジフオスの神話かも。
楽しい瞬間は岩を山頂まで押し上げた瞬間かな^^。
同じ家事でも、料理などは気の持ちようで楽しくもなります、後片付けがなければなおのこと。
Commented by unburro at 2021-09-17 16:24
衣食住を整える、いわゆる家事は、生きる事の根本で、
自立、自律の基礎、ではありますが、嫌になった時は休めば良いのです。
洗濯物が溜まっても、埃が見えていても、カップ麺を食べていても、
死ぬわけではない…と思って、私は暮らしています。

そして、いつまでも、家事嫌い気分でいられるわけでもなくて、
しっかり休めば、また、洗濯したくなります。
掃除したくなり、美味しいものを作りたくなる、と
私は自分を信じて、時々、しっかり、サボります。

機嫌よく生きる為に家事をするので、逆になってしまっては、
辛いばかりです。なんて、偉そうに言っちゃいましたが、
とにかく、頑張り過ぎないで下さい。

豆腐とご飯だけ、いや、豆腐どんぶり、大好きです。
熱いご飯の上に豆腐をのっけて、葱と鰹節、醤油を掛けて、おしまい。
七味唐辛子を振ったら、尚旨し。
ちょいとひと口を、焼海苔で巻いてみたら、お酒にも合います。
洗い物は、飯茶碗とお箸だけ、良いですよ♪
Commented by テイク25 at 2021-09-17 17:38 x
豆腐にまつわる落語がこんなにたくさんあるのですね。

いつもと違うレシピで作った昨夜の麻婆豆腐丼が美味しくてクセになりそうです。白いままではないけれどたまにはいいものですよ。家事の手抜きもね。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-17 18:27
> unburroさん、家事の大先輩のアドバイス、ありがたく頂戴しました。とはいえ又明日は大掃除、さぼってもどうせやらなきゃならない、先送りすると汚れがひどくなって大変だと、貧乏性なんですね。
豆腐飯、おでんやすき焼きの豆腐でやるのは好物ですが、ただの豆腐もよさそうです。
豆腐の味噌汁もうまいな。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-17 18:30
> テイク25さん、先日血液検査の前夜に麻婆豆腐をむしゃむしゃ食べたのが中性脂肪を増やしたような気がします。
前夜は自粛しなきゃね。
Commented by 20070707open at 2021-09-17 19:25
落語の「酢豆腐」が好きです^^
豆腐は物心がついたときからほぼ毎日食べている気がします。
ここ盛岡は豆腐の消費量がとても多いのです。
私は働いていた時、自己紹介で自分をよく豆腐に例えました。
脇役にも主役にもなれる豆腐、真っ白な潔さを私自身の長所と重ねたものです。
今も豆腐好きは変わらず、冷蔵庫にはいつも常備しています^^
Commented by りんご at 2021-09-17 20:55 x
お豆腐やさん お店の写真だけでもご馳走です  新鮮なお豆腐たびたぃー。 

きょうキューピー・マヨを注文しました「ひるおび」のスポンサーを降りたというので
食べるの30年ぶりです。出演弁護士がそれっぽい語句(閣議決定)を使い、視聴者に
酷いデマを広める番組は厳しく追及が必要ですね 怖ろしいことが蔓延っていますね
Commented by haru_rara at 2021-09-17 21:18
家事って、疲れてくると「毎日マイナスをゼロに戻す作業しかしてない」とつくづく嫌気がさします。
誰かが汚したトイレを洗面所を茶碗を洗っては元に戻す。その繰り返しの日々が延々と続くわけで。
やって当たり前で褒められるでもなし、ですね。
私は若い頃どっちかというと神経質で、雑巾がけしないと気持ち悪くてダメだったのですが
腰を傷めてから、なんとかクイックルにかえました。
もし体が不自由になったらやりたくてもできないだろうと思って、多少のことは気にしない訓練をしています。
(実家の母が、ヘルパーさんの掃除が行き届かないことを嘆くのをよく聞きますので)
とはいえ、気になるものは気になるのですよね。

昨日の豆腐屋さんの写真、とてもよかったです。
鍋を抱えて豆腐一丁をおつかいに行った子ども時代を思い出しました。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-17 22:26
> 20070707openさん、ちょっとジャガイモにも似てませんか、気品においてはるかに勝りますが。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-17 22:28
> りんごさん、新聞よりもsnsが力を発揮しましたね。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-17 22:31
> haru_raraさん、明日の大掃除はクイックルですよ。
夕方にやってくる、物悲しい豆腐やのラッパが懐かしいです。
Commented by reikogogogo at 2021-09-17 23:29
Saheiziさん、本当に何から何迄深い、深い人。
自立心旺盛、きちっと自身の日常生活にゆとりの時間も
趣味の読書も、サンチとの散歩も、通院も配分されている、
習慣が物語る生活の基礎ができてます。

主婦業は今や電化製品、お掃除ロボットの手を借り、何から何まで
万年主婦の私も楽しみの時間を作って一日中動いてますよ。
私欲張り主婦だから、自身の為に良かれと思う事に精進してるの。
saheiziさんと同じ。
Commented by tona at 2021-09-18 09:04 x
>山頭火には志ってものがあった
志がなくなってしまったこの頃、朝起きたときの気分が最低です。
横になるのは好きなのに眠るのが好きでなくろくな夢を見ないから。
起きたとき特に素晴らしい目標があるわけでなし。
これ危険信号ですよね。
家事はここ16年も前の癖がついてさぼりにさぼって、特に双耳峰面をさぼって、家が早く老朽化しました。・・と暗い話ばかりですみません。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-18 10:07
> reikogogogoさん、私もルンバなしにはいられません、ルンバ様様です。
今朝はルンバの掃除をしてやりましたよ。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-18 10:10
> tonaさん、ほんとに山頭火に志があったか、疑問もあります。
雑巾がけをすると、良くもたった一週間で汚れるもんだとおもいます。
上からみてるとそうも見えないのにね。
心の雑巾がけも必要かな。
Commented by kogotokoubei at 2021-09-18 10:11
今の永田町には、「豆腐の角にぶつけて 死んでしまえ」と言いたい丸太ん棒が、はいて捨てるほどいやす^_^
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-18 12:01
> kogotokoubeiさん、それは豆腐に失礼というものです。あんな汚れたものを!
Commented by ikuohasegawa at 2021-09-18 17:05
酒飲みは、やっこ豆腐に、さも似たり、初め四角で、あとはぐずぐず

なんて、まくらから噺を聞く。
今思うと、贅沢なひと時でした。いつになったら行けるのでしょうね。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-18 18:34
> ikuohasegawaさん、居残り会の人は行ってるようです。
私は怖くてダメですが。
Commented at 2021-09-18 19:28 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-18 21:18
> 鍵コメさん、なにか鬼滅的な表現かと思いました(^.^)
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by saheizi-inokori | 2021-09-17 12:20 | 落語・寄席 | Comments(24)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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