ペシャワール会は健在! 中村哲に聴く

コロナ対策となると、愚鈍を極めて後手後手、無為無策無能だった、スガが自らの生き残りのためには、迅速かつ無茶苦茶な手立てを講じ始めた。
コロナ対策に全力を傾注する、とか、国民のために働く内閣とか、どうせ中身のない絵空事だと思っていたが、これほどひどいとは!
ペシャワール会は健在! 中村哲に聴く_e0016828_11322582.jpg
アフガニスタンの現状を見たら、中村哲はどういうだろう。
彼は、今のようになることを予見していたと思う。
産軍国家アメリカが本気でアフガニスタンの民主化などを考えていなかったこと、中村のように「一粒の種」となって、アフガニスタンの地上に落ちて、時を待つようなやり方とは無縁であったから、20年が30年であっても、何も変わらないことを。

「アフガニスタンの診療所から」から、故人の言葉を引く。
はなやかな会議やもよおしもの、外国人の援助の論理を満足させる保健教育用の雑誌やパンフレットは、貧弱な我われの現場からはあまりにも遠く、むなしさを覚えさせるものである。それに現地では、巨額の「難民帰還・復興援助予算」が混乱と依存を助長していた。欧米・アラブ各国による「難民ビジネス」に引き続く「復興援助ラッシュ」の、しばしば破壊的な作用を、心あるアフガン人たちはするどくかぎとっていた。
しかし、小さな我われにできることは、自ら一粒の種となって地上に落ち、時を待つことであった。まるで桁の異なるアラブや欧米のNGOの大規模なプロジェクトと競合する必要も能力もない。このような中で求められるのは、生まれつつある良心の希望の芽を確実に守り育てることである。ささやかだが貴重な挑戦であった。
ささやかというペシャワール会の努力は今も続いている。
中村は、政府の統制の及ばない渓谷にある診療所内での武器携行をいっさい禁止する。
これは時には発砲する以上の勇気を必要とする。だが実際は、人びとの信頼を背景にすれば案外可能なのである。無用な過剰防衛はさらに敵の過剰防衛を生み、はてしなく敵意・対立がエスカレートしてゆくさまは、この渓谷でもあらわに観察される。
不幸・不運にも凶弾に斃れた中村だが、生きかえってもなお、同じことをいうのではないか。
ペシャワール会は健在! 中村哲に聴く_e0016828_11333375.jpg
(2時頃の成城石井@等々力)

ペシャワール会の場合、一般的な「国際協力論」など大言壮語はせず、まるでわが子のめんどうをみるように、もくもくとペシャワールの事業に深くかかわりつづけたところに特色がある。会の名の示すとおり、ペシャワールという一地域に集中し、必要上あらゆる角度から現地社会に根をおろしていった。そのつきあいの範囲は文字どおり乞食から要人にいたるまで広範囲にわたる。合法活動の保証も、一見貧相な日本の一任意団体が、北西辺境州政府やアフガニスタン暫定政権を直接交渉相手にしているなぞ、会員でさえ冗談と思っているのである。
もっともよく現地を理解できる者は、もっともよく日本の心を知る者である。自分を尊重するように相手を尊重しようとするところに国際性の真髄がある。西欧社会だけが国際社会ではない。(中略)
ヨーロッパ近代文明の傲慢さ、自分の「普遍性」への信仰が、少なくともアフガニスタンでは遺憾なくその猛威をふるったのである。自己の文明や価値観の内省はされなかった。それが自明の理であるかのごとく、解放や啓蒙という代物をふりかざして、中央アジア世界の最後の砦を無残にうちくだこうとした。そのさまは、非情な戦車のキャタピラが可憐な野草を蹂躙していくのにも似ていた。
ペシャワール会は健在! 中村哲に聴く_e0016828_11342086.jpg
そして、今現在、中村さんのペシャワール会は健在だ。
そのHP(http://www.peshawar-pms.com/topics/20210825.html)には、ダラエヌール診療所が8月21日に再開されたこと、農業事業については、「旱魃の進行や食糧の大幅な不足=飢饉の懸念から、州政府の段階で動き出す兆候がありますが、今は安全保障を優先して見守っています。この事態で地元の住民の意向や声が最も大切で、この声が政権に届くことが重要です」と報告され、以下のような力強い言葉を読むことができる。

20年ぶりのタリバン政権ですが、中村哲先生がこれまでそうされていたように、「水が善人・悪人を区別しないように、誰とでも協力し、世界がどうなろうと、他所に逃れようのない人々が人間らしく生きられるよう、ここで力を尽くします。内外で暗い争いが頻発する今でこそ、この灯りを絶やしてはならぬと思います。」の言葉を胸に現地の事業を続けてまいります。
ペシャワール会は健在! 中村哲に聴く_e0016828_06353161.jpg


Commented by tsunojirushi at 2021-09-01 11:55
文末に引かれた宣言に涙目になりました。
世界を変えるには「根気」なのですね。

>生まれつつある良心の希望の芽を確実に守り育てることである。

この言葉も、心に刺さりました。何事もべらぼうに基本的な源泉から。
Commented by eblo at 2021-09-01 12:44
共感の涙と共に読ませてもらいました。

地球上全てを強引に西欧化しようとしてきた行動や結果が、地球温暖化、核兵器の脅威、格差社会、紛争による資源の取り合い、難民増加・・・絶望的な地球を作りました。
中村さんたちが撒いた種が風に乗って世界中で実を結んだら・・人も動物も生きやすい地球になると思います。
Commented by hitomi8-i at 2021-09-01 13:22
「他所に逃れようのない人々が人間らしく生きられるよう」まさしくその言葉が現実なのだと
心のざわつきが全くおさまらず、、、アフガン関連の記事を読ませていただいています。
中村先生のお考え、根本にあるもの、もっと知りたかった……。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-01 18:30
> tsunojirushiさん、根気であり愛だと思います。
ほんとの愛情があるのですね。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-01 18:32
> ebloさん、すでにアフガニスタンではその種が育っている、私も胸がつまりました。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-01 18:37
> hitomi8-iさん、人間らしく生きていけないところに、高飛車に西欧の人権思想を押し付けても育たないということでしょうね。
私ももっと中村さんの本を読むつもりです。
Commented by fusk-en25 at 2021-09-01 20:48
そして私たちは。(私は)
大声をあげてあれが悪いこれが悪いと言う前に
「毎日の暮らしの中で」自分自身で何ができるのだろうと。
せめてゴミぐらい少なくするか。。みたいなことを。
それも続けてやれるようなことを模索したいような気がします。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-01 21:30
> fusk-en25さん、それにペシャワール会の会員になってくださいませんか。
Commented at 2021-09-02 09:53 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-02 10:52
> 鍵コメさん、なんのことでしょうか?
Commented at 2021-09-02 20:14 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-02 21:44
> 鍵コメさん、え?まだわからないなあ。探してみよう。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-03 08:52
> 鍵コメさん、わかりました。
でも身内のことはどうもねえ。
Commented by jyon-non at 2021-09-04 14:44
いつもさへいじさんのブログに知らなかったことや世界観など気づかせていただいて今うs。

感謝です。中村先生の生き様はまるで、暗い夜を照らす遥か彼方の星の様です。

朱に交われば赤くなる・・やはり尊い行いをなさった先生に感銘を受けることも

私達の力になるような気がします。
Commented by saheizi-inokori at 2021-09-04 15:14
> jyon-nonさん、出来たらペシャワール会の会員になってくださいませんか。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2021-09-01 11:38 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(15)

ホン、映画・寄席・芝居、食べ物、旅、悲憤慷慨、よしなしごと・・


by saheizi-inokori
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31