背広の話
2021年 08月 31日
きのうも歯科医、痛みはかなり収まったが、ぜんぜん普通じゃない。 (僕の行ったのは、この歯科ではありません)
先生は、僕が駆け込み訴えをした金曜日から、昨日までの経過を事細かにA4紙三枚に書きとりながら(僕はメモしていった)聴取、「全治ということはあり得ないけれど、なんとか収めることをやりましょう」、20年以上も前に入れたコーノスという義歯は、微調整ができないのだ。
つい「歯はいうことをきかないし、湿疹も治らないし、足腰は痛むし、エントロピーに敗北して壊れつつある身が情けない」とぼやくと「ストレスのせいで自律神経のバランスが崩れるといろんな症状がでる。ストレス解消は、自分流でやるしかない。暴飲暴食、とかね。老化と考えてしまうと、どうにもならない、老化は治らない」とおっしゃる。
ストレス解消のためにも四日ぶりに焼酎を飲みつつ晩飯、痛みはなくなったが、肉や野菜を食っているのが自分じゃないような気がする。
カチカチと噛み合わせの音がして、ああ、亡母も時々こんな音をさせていたなあ、と思いだした。
今日は娘の50歳の誕生日だ。
亡妻は、8月15日に50歳で亡くなった。
母親の死から半月後に迎えた誕生日を、僕は祝ってやっただろうか。
娘はどんな気持ちでいたのだろう。
ちゃんと話を聞いてやらずに夢中になって、日々をやりくりしていた。
今年も、何もしてやれない、ひたすら健康を祈るのみだ。
歯科医から桜新町に出て、とろろ蕎麦を食った。
窓を開けて大きな扇風機をおいている、その扇風機のわきに座ったら、首振りがときどき外気をもろに吹き付けてくる、その外気の熱さといったら!
しかし、たっぷりのトロロも蕎麦もうまかった。
食べるものに対する要求水準が大海人皇子になっている、いいことなんだろうな。
そのあと、例によって焙られるような日差しのなかを買い物をして帰宅、午後は佐々木邦の短編「運」「善人」「噓」「大女の話」「重役候補」を楽しむ。
サラリーマンの話がほとんどだが、競争第一とか自己責任なんてことを言う前の、おそらく一流企業の、春風駘蕩とした話。
会社に、洋服やとか唐物や(小物や?)などが出入りして、主人公が偽の外国製香水を売りつけられる話で、僕の若い頃も、会社に洋服やなどが、来たことを思いだした。
執務中に御用聞きにきて、昼休みに会議室で寸法を測るのだ。
小さな生地見本をみて背広を注文するのだが、出来上がってみると、イメージとはずいぶんかけ離れたものになった。
僕は、背広は社会人になるときに初めてあつらえた。
母親と長野の丸光デパートに行って作ったのだ。
紺地に細かい三色くらいの糸を織り込んだもの、それから、辞めるまで、いわゆる紺一色とか黒一色の背広は着たことがない。
茶、生成り、グリーン、明るい絹の入ったグレー(白い縦じま)、曰く言い難い色や柄、、今思えば変わった背広を毎日とっかえひっかえ着ていった。
二三年に一着、バーゲンセール会場で作って、帰宅するとブラシをかけて寝押ししていたので、あまり傷まないうえに、そう肥りもしなかったから、数だけは増えていった。
上に書いた、若い時に会社で作った背広は、薄い浅葱色というのか、グリーン地に細かい二色くらいのチエックが入ったようなものだった。
洋服屋が「しゃれている、お似合いだ」というのを真に受けて、(負けさせて)作って、嬉し気に着て行ったら、僕より二回りくらい年上のオジサンもまったく同じ柄の背広を着ていた。
たまたま、会議で、エライ人の前に二人が同じ色・柄のおニューの背広を着て並んで座っていた。
先生は、僕が駆け込み訴えをした金曜日から、昨日までの経過を事細かにA4紙三枚に書きとりながら(僕はメモしていった)聴取、「全治ということはあり得ないけれど、なんとか収めることをやりましょう」、20年以上も前に入れたコーノスという義歯は、微調整ができないのだ。
つい「歯はいうことをきかないし、湿疹も治らないし、足腰は痛むし、エントロピーに敗北して壊れつつある身が情けない」とぼやくと「ストレスのせいで自律神経のバランスが崩れるといろんな症状がでる。ストレス解消は、自分流でやるしかない。暴飲暴食、とかね。老化と考えてしまうと、どうにもならない、老化は治らない」とおっしゃる。
ストレス解消のためにも四日ぶりに焼酎を飲みつつ晩飯、痛みはなくなったが、肉や野菜を食っているのが自分じゃないような気がする。
カチカチと噛み合わせの音がして、ああ、亡母も時々こんな音をさせていたなあ、と思いだした。
亡妻は、8月15日に50歳で亡くなった。
母親の死から半月後に迎えた誕生日を、僕は祝ってやっただろうか。
娘はどんな気持ちでいたのだろう。
ちゃんと話を聞いてやらずに夢中になって、日々をやりくりしていた。
今年も、何もしてやれない、ひたすら健康を祈るのみだ。
窓を開けて大きな扇風機をおいている、その扇風機のわきに座ったら、首振りがときどき外気をもろに吹き付けてくる、その外気の熱さといったら!
しかし、たっぷりのトロロも蕎麦もうまかった。
食べるものに対する要求水準が大海人皇子になっている、いいことなんだろうな。
そのあと、例によって焙られるような日差しのなかを買い物をして帰宅、午後は佐々木邦の短編「運」「善人」「噓」「大女の話」「重役候補」を楽しむ。
サラリーマンの話がほとんどだが、競争第一とか自己責任なんてことを言う前の、おそらく一流企業の、春風駘蕩とした話。
執務中に御用聞きにきて、昼休みに会議室で寸法を測るのだ。
小さな生地見本をみて背広を注文するのだが、出来上がってみると、イメージとはずいぶんかけ離れたものになった。
僕は、背広は社会人になるときに初めてあつらえた。
母親と長野の丸光デパートに行って作ったのだ。
紺地に細かい三色くらいの糸を織り込んだもの、それから、辞めるまで、いわゆる紺一色とか黒一色の背広は着たことがない。
茶、生成り、グリーン、明るい絹の入ったグレー(白い縦じま)、曰く言い難い色や柄、、今思えば変わった背広を毎日とっかえひっかえ着ていった。
二三年に一着、バーゲンセール会場で作って、帰宅するとブラシをかけて寝押ししていたので、あまり傷まないうえに、そう肥りもしなかったから、数だけは増えていった。
上に書いた、若い時に会社で作った背広は、薄い浅葱色というのか、グリーン地に細かい二色くらいのチエックが入ったようなものだった。
洋服屋が「しゃれている、お似合いだ」というのを真に受けて、(負けさせて)作って、嬉し気に着て行ったら、僕より二回りくらい年上のオジサンもまったく同じ柄の背広を着ていた。
たまたま、会議で、エライ人の前に二人が同じ色・柄のおニューの背広を着て並んで座っていた。
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jyariko-2 at 2021-08-31 11:39
老化は治らないんですね・・・・進むばかりなのでしょうか
50歳とは本当に大変なだったことと想像します
我が娘も来年はその年になります
50歳とは本当に大変なだったことと想像します
我が娘も来年はその年になります
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saheizi-inokori at 2021-08-31 11:58
この間からまた歯の痛みが凄いようで大変な目に遭っていますね。
良い歯医者さんに早く治していただけるとよいです。お大事に。
ストレスのせいで自律神経のバランスが崩れる・・・という歯医者さんのお言葉、その通りですね。ストレスを解消しなくてはなりませんね。難しいけれども。
もう何事も気にしないしか方法がないけれども、やはり気にしてしまうこと多しです。
老化・・今年も結構進みましたが肋骨が石灰化してると所見に書かれ、何かと問うたら老化だそうです。
良い歯医者さんに早く治していただけるとよいです。お大事に。
ストレスのせいで自律神経のバランスが崩れる・・・という歯医者さんのお言葉、その通りですね。ストレスを解消しなくてはなりませんね。難しいけれども。
もう何事も気にしないしか方法がないけれども、やはり気にしてしまうこと多しです。
老化・・今年も結構進みましたが肋骨が石灰化してると所見に書かれ、何かと問うたら老化だそうです。
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fusk-en25 at 2021-08-31 20:28
老化は治らないし、進むものでしょうが。
年をとることに文句を言っても仕方がない。
同じなら。意識を他のものに変えてごまかすずるさも必要かと。
言霊のような現象はなんとなくあるような気はします。
ことに文句を言うのを一番先に聞いているのは自分自身。
文句を言って文句に納得して悲観する。
なんてちょっとシャレにもならない。気がして。
できるだけ明るいことを考える。(やけくその心境に近い私)
年をとることに文句を言っても仕方がない。
同じなら。意識を他のものに変えてごまかすずるさも必要かと。
言霊のような現象はなんとなくあるような気はします。
ことに文句を言うのを一番先に聞いているのは自分自身。
文句を言って文句に納得して悲観する。
なんてちょっとシャレにもならない。気がして。
できるだけ明るいことを考える。(やけくその心境に近い私)
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at 2021-09-01 00:21
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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hisako-baaba at 2021-09-01 06:59
老化は治らない ですよね。受け入れるしかない。
でも、あなたは歩ける。
お嬢さんは、お母様を早く亡くされたのですね。大変でしたね。
佐々木邦、面白そうですね。
図書館に行ってみようかな.800m走って。そっち方面に店がないからちょっと億劫です。
でも、あなたは歩ける。
お嬢さんは、お母様を早く亡くされたのですね。大変でしたね。
佐々木邦、面白そうですね。
図書館に行ってみようかな.800m走って。そっち方面に店がないからちょっと億劫です。
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baobab20_z21 at 2021-09-01 07:34
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saheizi-inokori at 2021-09-01 08:53
> tonaさん、完治しないのなら、受け入れて慣れていくしかないですね。
トホホではありますが、無駄な抵抗がストレスを高めるということもあるのかもしれません。
石灰化!なんか怖いですが、これも受け入れるしかなさそうですね、お大事に。
トホホではありますが、無駄な抵抗がストレスを高めるということもあるのかもしれません。
石灰化!なんか怖いですが、これも受け入れるしかなさそうですね、お大事に。
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saheizi-inokori at 2021-09-01 08:59
> fusk-en25さん、そうですね、そうだと思いますよ。
分かっちゃいるけど、愚痴ってみるのが本品の特徴です。
分かっちゃいるけど、愚痴ってみるのが本品の特徴です。
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saheizi-inokori at 2021-09-01 09:03
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saheizi-inokori at 2021-09-01 09:14
> hisako-baabaさん、そうです、いくら昔のようでなくなったといっても歩けるということは有難いです、そう思いながら今朝もスクワットをしました。
父親を小学生の時に亡くした父と母親を早くに亡くした娘と、生きている家族だけは健やかに過ごしてほしいものです。
佐々木邦は、極楽とんぼの戯言とも読めますが、たまにはそういうのも楽しいです。
父親を小学生の時に亡くした父と母親を早くに亡くした娘と、生きている家族だけは健やかに過ごしてほしいものです。
佐々木邦は、極楽とんぼの戯言とも読めますが、たまにはそういうのも楽しいです。
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saheizi-inokori at 2021-09-01 09:15
> baobab20_z21さん、ヘンジンなのでした^^。
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ikuohasegawa at 2021-09-02 10:21
私も就職祝いに背広を作ってもらいました。50年前です。
知り合いの仕立屋さんが気合を入れたものだから、濃紺の地に臙脂の細かいストライプという生地で、斜めにきったポケットにフラップ無しという出来上がりでした。
新入社員らしくない・・・上役より洒落ている。ことに気が付いて、安いブレーザーを買いました。
知り合いの仕立屋さんが気合を入れたものだから、濃紺の地に臙脂の細かいストライプという生地で、斜めにきったポケットにフラップ無しという出来上がりでした。
新入社員らしくない・・・上役より洒落ている。ことに気が付いて、安いブレーザーを買いました。
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saheizi-inokori at 2021-09-02 10:54
by saheizi-inokori
| 2021-08-31 11:30
| よしなしごと
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