花火

土曜日、しんどいから仏壇だけのつもりが、やりはじめると、はたきかけ、物入れの下、玄関、トイレの床拭き、、ほぼフルバージョンで2時間半、がんばった。
皆さんのお盆の支度のたいへんさを拝見していたら、なにもしないみたいなものだが、僕にとっては汗みずく、腰も痛くなる。
雨がやみそうにもないが、洗濯もする。
花火_e0016828_11201346.jpg
きのうは、その雨の中を長男が自転車をこいで、長崎のアスパラや饂飩を届けてくれた。
雨に濡れた顔を見ると、あがって一緒に飲んでいけ、と言いたい気持でいっぱいになったが、我慢して、門のところで見送る。

午前中は所用で、いそがしく外出し、帰途買い物をする。
買い物を三日に一度にせよ、などとおっしゃいますが、なかなかそうはいかないのだ。
冷蔵庫や冷凍庫が小さいこともあるが、日々欲しいものが新たに生じてくる。
生協などを利用したこともあるが、買いたいものがなかったり、生ものは目で見て買いたいとか、いろいろで、馴染まないのだ。
花火_e0016828_10004339.jpg
夜、なにかの弾みで花火をテレビで見て、大曲の花火に呼んでくれた友人たちのことを思い出した。
その一人が、亡くなる直前に、どうしても僕にもう一度大曲の花火を見せてやりたいと言って、”最高の席”を取ってくれたのに、急に容態が切迫し、花火の前に見舞いに行ったことを。

僕は、それまでの彼のふるまいから、そんなに事態が切迫しているとは思っていなかったのだ。
急迫していると奥さんから聞いて、むりやり切符を取ってもらって(それも彼がやってくれた)、カミさんといっしょに、彼の家に泊まって、御馳走になり、翌朝彼が昼飯のことを心配して、どこそこの店がいい、と手配しているのをみて、彼の最期の短い時間を共にしているのだと、頭では理解しながら、それらしい言葉を交わすこともせずに別れてきたのだった。

僕と別れた後、彼は病院に戻り、ほとんど昏睡状態に陥り、花火の日に亡くなった。
告別式の弔辞で、どんなにいろんなことを言っても、それは遺族のため、または僕自身の気持ちの収まりのためでしかない。

最後の夜、僕が嘆声を上げながらご馳走をいただいているのを、向かい側のソフアに背筋を正して座って、ニコニコ笑って見守り、そろそろあの酒がいいんでねえか、などと世話を焼いてくれた。
なぜ、あのときにもっと親身の言葉を発することができなかったか。
あたかも、まだまだ、彼が生き続けるかのように、彼もそうしていたし、僕もそれに合わせて冗談を言ったりしていたのだった。
花火_e0016828_11221026.jpg
けさも下北沢へ、帯状疱疹の注射、梅ヶ丘経由。

Commented by maya653 at 2021-08-14 11:50
大曲の花火、私にも思い出があります。体調くずして見に行けなかったのですが。
帯状疱疹は辛いと聞きます。どうぞお大事になさってください。
Commented by tsunojirushi at 2021-08-14 12:33
私のような者が言うべきことでないことは承知しています。若輩で馬鹿です。
しかし、母を送った時に、なぜもっと、死への恐怖などに寄り添ってあげようとしなかったか、と、近いことをよく思いましたので、他人事に思えませんでした。
でも、
でも、です。
いまこれを拝読すると、それで宜しかったのでは、と思うのです。死にゆく友を送る、みたいな形にはなさらず、明日も会えるかのように、楽しく(少なくとも外側は)過ごされたことが。
それで宜しかったのではと。
私が死ぬ立場にあっても、そう思うような気がします。
すみません。弁えず申し訳ないが、どうしても言いたくなりました。
Commented by hisako-baaba at 2021-08-14 12:35
親しい友との別れ、普段の様にあえて別れの挨拶なんかしないで、かえってよかったのでしょうね。お友達ももてなしながら楽しかったでしょう。
私は年下の友人が遠くて、一人暮らしで、年賀状出したら、亡くなられましたと親戚から。もっと電話かけていればよかったと思いました。
「会いたい人には会っておこ」って実感しました。

最後に訪ねられたのはお幸せでしたね。
Commented at 2021-08-14 12:59
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2021-08-14 13:00
> maya653さん、ありがとう。早期発見でさして痛みを感じないですんでいます。
Commented by saheizi-inokori at 2021-08-14 13:01
> tsunojirushiさん、そう思いたい気持ちもあります。ありがとう!
Commented by saheizi-inokori at 2021-08-14 13:03
> hisako-baabaさん、帰省ラッシュでなかなか切符が取れずにヤキモキしたことを思い出します。
Commented by tona at 2021-08-14 13:04 x
花火で思い出す切ない友の思い出ですね。
後悔の連続の人生ですが、こんなこともありで、なるべくまめに動こうという気持ちにお陰様でなりました。ありがとうございます。
Commented by saheizi-inokori at 2021-08-14 13:07
> 鍵コメさん、今日は11時半につきました。
混んでいましたが、注射だけなので、五分も待たずに済んで、ナチュラルハウスや梅ヶ丘で買い物と昼飯をとって、今帰りのバスです。
Commented by saheizi-inokori at 2021-08-14 13:08
> tonaさん、間に合っただけが救いでした。
Commented by 20070707open at 2021-08-14 14:02
saheiziさんにとって夏の花火の大切な思い出ですね。
大曲の花火大会、私は子供の時と大人になってからと2回見に行ったことがあります。

あまり人に言ったことがありませんが、なぜか私は子供の頃から打ち上げ花火も小さな花火もそれほど好きではありません。
なぜかな?あんなにきれいなのに・・・いい思い出もたくさんあるのに・・・
よくよく考えてみると、命のはかなさを感じて淋しくなるみたいです。
花火を見ながらひとりそんなことを考えているひねくれものです(笑)
Commented at 2021-08-14 14:12 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by koro49 at 2021-08-14 15:53
息子さんの雨に濡れた顔を見ながら、一緒に飲めない気持ち、痛い程わかります。
お友だちと過ごした最期の時間。
普通にしようとお互いの中で思いながら過ごしたのでしょうね。
その気持ちも良く分かる・・・。
人生色んなことがありますね。
Commented by vitaminminc at 2021-08-14 17:37
いつもと変わらないやり取りが一番だったと思います。
もしも私がそのご友人の立場だったらと想像してみたのです。
特別な言葉は要りません。ふだん通りの会話を生きていた証として胸に刻み、鼓動が止まるに任せたいものだと心底思いました。
Commented by saheizi-inokori at 2021-08-14 22:36
> 20070707openさん、私は子供の頃から花火は好きでした。
庭で遊ぶ花火セットをもらうと嬉しくてたまらなかったです。
Commented by saheizi-inokori at 2021-08-14 22:39
> 鍵コメさん、ありがとう。
たしかに不思議な安らぎもありました。
Commented by saheizi-inokori at 2021-08-14 22:41
> koro49さん、いろいろやってくれた奥さんや息子さんの姿も思い出されます。
Commented by saheizi-inokori at 2021-08-14 22:44
> vitaminmincさん、そう言われれば、あの場の主人公は彼だったのです。
彼がそうしたかったのだとすれば、もってめいすべしです。
Commented by pamumama at 2021-08-15 09:04
帯状疱疹の予後の注射があるんですね。
5年経っても酷かったおでこのところが痒い様な痛い様なピリピリと不愉快です。
ずっとビタミンBの錠剤を飲んでいましたが効かないのか・・・
注射は今からでも効果あるのでしょうか・・・
Commented by saheizi-inokori at 2021-08-15 09:26
> pamumamaさん、私は二度目ですが、前回の皮膚科の先生も今回の祝日に診てもらった医師も、こんな注射のことはいいませんでした。
こんど(来週)先生に訊いてみましょう。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2021-08-14 11:27 | よしなしごと | Comments(20)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31