滅びの予感はないか

母の日はなにもないけどとくべつだ
毎日新聞「季語刻々」(坪内稔典)に載っている、本田智也さん(当時11歳)の句。
コロナ禍で仕事がなくなって食べるのにも困っているシングルマザーのことなどを知るにつけ「なにもないけど」平穏な日々の尊さを思う。
近所のうちに米を借りに行ったこともあるけれど、なにもないけどとくべつな母の日を過ごせたことに改めて感謝する。
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そんなことを書きながら、申し訳ないけれど、きのうも我が家のために魚屋に買い出し。
あれば買うカツオとマグロの赤身のほかに何品かを冷蔵バッグに入れて、菓子屋で柏餅を二つ(こしあんと粒あん)と赤飯を買って、赤飯はあったかいので、バッグに入れずにぶら下げる。
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いつもと反対の方向に歩いて、小さなコーヒーとケーキを売る店で、さっぱり味のコーヒーを飲む。
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居心地はいいし、コーヒーもうまいのだが、ノッポのマスターがマスクを顎にかけたまま、まことに愛想よく喋るのが気になって、ヘンリー・ライクロフト君との対話はそこそこに店を出た。
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長袖一枚で汗ばむ陽気、そこここで子供たちの歓声が聞こえるのが楽しい。
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分厚い「広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由」も、ときおり読む。
生命や文明の誕生や、それが存在できる環境のことなどをひっくり返して考えるのだから、間口の広い議論が多くて、この年にして知る「そうなってたんだ」的な驚きに満ちている。

直径20キロの小惑星が地球に衝突したら、人類が全滅するのはほぼ確実だ。
人間の寿命にわたって平均すると、隕石の衝突で人が死ぬ確率は、飛行機事故で死ぬ確率と同じくらいになる。
飛行機の安全にかけている膨大な費用に比して、ヤバイ天体の探査には費用をかけていない。

生命の存続を脅かす惑星系の「危険」について考えてみる。
地球の全球凍結で、25億年前に一回、この8億年に4回、厚さ千メートルの氷が海を覆い、赤道付近の海まで凍ってしまい、平均気温は-50度まで下がった。
七億四千年前のスマトラ、トバ火山のような「超巨大火山」も、爆発とその後の干ばつや飢饉で人類を絶滅寸前に至らせ、そのときに驚くほど似通った遺伝子だけが生き残った(遺伝子ボトルネック)。

地球の生物多様性が半分以下に減少した大量絶滅は、オルドビス紀、デボン紀、ペルム紀、三畳紀、白亜紀に起きた。
ペルム紀の二億五千万年前の絶滅は、海洋の種の90%以上が絶滅し、昆虫類の27目が失われたが、その原因は定かではない。
六千五百万年前の白亜紀末大絶滅は、恐竜時代の終わりから哺乳類の台頭につながる状況をもたらしたが、これは大隕石の衝突によってもたらされた。

大量絶滅をどのように生き延びるか。
ひとつは原核生物のように単純さで生きる、もうひとつは門に多くの種を持つ多様性。
多くの種が滅びてもいくつかの種が残るかもしれないのだ。
エイリアンのような生物を宿す惑星があったとして、そこでは何億年もかけて進化した門の数が多くても、その門に属する種がわずかであったら、大絶滅を乗り切ることが出来ない可能性がある。
地球はたんに運が良かっただけかもしれないが。
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大量絶滅についての「明るい」見方は、何千万年という長期で考えると、自然は変化した環境を使って、いろいろな新しい種や体制を生み出して実験ができる。
一部の学者によれば、過去に全球凍結の時期がなかったら、動物も高等になった植物も、今日存在していなかっただろうというのだ。
全球凍結が生命の存続・進化に有為に機能する条件、たとえば氷を除くための温室効果ガスを撒き散らす活火山などが、他の惑星にはないので、大量絶滅が全滅につながったのかもしれない。
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ところで、現代に至る一万年の「完新世」は、大量絶滅の時期に当たっている。
今回は、明らかに人間の活動が原因の「完新世絶滅」。
生物種を獲り尽くし、外来種を持ち込んで混乱させ、棲息地を破壊している。
一万年は地質学の尺度でいえばほんの一瞬だ。
進化の一般的法則が、他ならぬ知的生命体を消してしまうかもしれない。
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Commented by doremi730 at 2021-05-09 13:12
今にも傾きそうな閉店しているお店を覆う
ピンクのバラが活き活きしていて
自然の力強さに励まされますね
Commented by saheizi-inokori at 2021-05-09 14:30
> doremi730さん、まいとしこのバラに圧倒される思いです。
Commented by pallet-sorairo at 2021-05-09 15:15
文具うめやさんの佇まい、
心にしみます。
Commented by saheizi-inokori at 2021-05-09 18:24
> pallet-sorairoさん、二十年前くらいに、ここに引っ越してきたときから変わらない姿のように思います。あの頃は少し戸があいてたかな。
子供たちがにぎやかに入っていった頃を見たかったです。
Commented by okanouegurasi at 2021-05-09 21:36
一万年はホンマにほんの一瞬ですねえ。

無口なくらいのマスターが好みです。(^^)
この手の本は大いに興味あり、ですが、専門用語なんかが多そうで
多分英文では辛いだろうな。
Commented by baobab20_z21 at 2021-05-10 00:01
あります、滅びの予感…いつかね。
国滅びて山河ありならまだいいけど、すでに自然破壊してますし。過ぎ去りし日のお店と、この世の春よ的な薔薇とのコントラストが切ない。
Commented by reikogogogo at 2021-05-10 06:09
saheizi さん都会はいいな〜
地方は過疎化なつかしい個々の専門店、老舗が軒並みシャッター通り化、
Saheizi さんが、家族のためにと母の日のために美味しいものをとたどる姿や
お店で選択する気持ちが伝わって来るの。
Commented by saheizi-inokori at 2021-05-10 08:34
> okanouegurasiさん、日本語でもなかなか手ごわいので、飛ばし読みしてます。
こういうのがスラスラ読めるといいなあ。

Commented by saheizi-inokori at 2021-05-10 08:37
> baobab20_z21さん、この店に大きな声で「くださあい!」と飛び込んでいった子供たちはどうしているのか、とも思います。
Commented by saheizi-inokori at 2021-05-10 08:38
> reikogogogoさん、私もあなたがちょっとしたベランダの植物や、珍しい小動物にワクワクしている気持を感じていますよ。
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by saheizi-inokori | 2021-05-09 12:26 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(10)

ホン、映画・寄席・芝居、食べ物、旅、悲憤慷慨、よしなしごと・・


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