デンキンバシラ、って言わなかったかい 「電柱鳥類学 スズメはどこに止まってる?」(三上修)

啓蟄を過ぎて、今朝はヌクトイ。
長袖シャツ一枚でゴミ捨てに出ても寒くない。
毎週の大掃除に三時間は長すぎる、そんなに何をすることがあるのか。
けさはそれを意識しながらやってみた。
起きてすぐにサンチのおしっこを片づけたり、ルンバをセットしたり、ゴミ出しをしたり、血圧を測ったり、途中で洗濯物を干したり、トイレに行ったり、、掃除の正味時間は二時間ちょっとくらいかな。
落語で、亭主が「風呂敷取ってくれ」というとお上さんが「自分で取ったらいいじゃないか、なんでも人にやらせて、雑巾だったらとっくに擦り切れてるよ」と悪態をつきながら、それでも、立ち上がって風呂敷を取ってやる場面がある。
家事というものが、ひとつひとつは取るに足らない仕事だけれど、それが次から次へと際限なく生じる、いわばエントロピーの法則を言い当てて妙なやり取りだと思う。
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きのうは、上を向いて歩いた。
涙がこぼれそうだからじゃない。
電柱を見て歩いたのだ。
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森林鳥類学とか河川鳥類学はあるらしいが、電柱鳥類学というのは、まだない。
「電柱(電線を含む)を利用する鳥を研究することが学問として成り立つのではないか」と考えた鳥類学者の書いたまじめだけれどユーモラスな本。
電信柱と電力柱の構造などの基本的知識を教えて、それらを、どんな鳥がどんなふうに利用して、人間たちがどのように対処しているか。
上の写真で腕金の上にカネの束子のように見えるのは、カラスが巣をつくらないようにしている。
すぐ隣の電柱にはそういう仕掛けがないのはどういうことか、どっちも東電の柱のようなのに、なんて考えながら歩くのだ。
知っているようで知らなかったことが多い。
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電信柱は、通信線用の柱をいうこともあるが、電力線用の柱や共用の柱を総称していうこともある。

「広辞苑」の電信柱の項には、「①電信線用の支柱。一般に電柱のこと」とあり、「②背丈の高い人をからかって言う言葉」ともあるそうだ。
新明解で引いてみたが、そういう意味は載っていない。
僕は、ノッポを「半鐘泥棒」と呼んだが、今はノッポが珍しくないのと半鐘が珍しくなって、どちらも死語になったのではないか。

子供の頃「デンキンバシラ」という子がいたなあ。
なぜか青っ洟とセットで思いだす。
電柱は木枯らし、冬に似合うような気がする。
それで青っ洟なのかもしれない。
もしやと思って俳句歳時記(角川)を当たってみたが、電柱は季語ではなさそうだ。

天高しやがて電柱目に入り来 波多野爽波

これは「天高し」が季語で、秋だな。
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電柱を無粋として地中化を主張する人もいる。
工事が増えるからやりたいという無粋な人もいそうだ。
筆者は、災害対応や道路が広く使えるなどで地中化も必要かといいながら、景観が悪くなるからという観点については反対派だ。
電柱・電線を近景に、富士山を遠景にした構図も捨てがたいと。
電柱・電線を描いた絵として会田誠の「電柱、カラス、その他」を挙げ、川瀬巴水の「東京十二景」の「木場の夕暮れ」の写真も載せている。
僕もときどきそんな写真を載せている。
「荷風と東京」(川本三郎)にも荷風の写真や滝田ゆうの絵とか、電柱や電線は活躍していたような気がする。
電柱と電線には人びとの暮らしを連想させることも、なかなか風情があるように思う。
同時になぜか淋しさも感じさせる。
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小一時間の散歩で電線に留まっている鳥を見たのは一羽だけだった。
ヒヨドリだろうか。
スマホを構えたらすぐに飛び立って、ほかの一羽と花遊びを始めた。
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Commented by jyariko-2 at 2021-03-06 14:20
電信柱も鉄塔も冬の空に映えますね 
ホント冬の季語になりますよね
saheiziさんのように家事が出来たら生活も整うでしょうね
今我が家の庭ではヒヨドリとモズが縄張り争いをしています
モズの方が強そうです
Commented by saheizi-inokori at 2021-03-06 18:32
> jyariko-2さん、人それぞれに、心の電柱があるかもしれませんね。
モズはあまり見かけないです。
それとも見逃しているのかな。
Commented by pallet-sorairo at 2021-03-06 18:58
こんばんは。
明治生まれの母はサランラップのことを「サラダナップ」と言っていました。
私はクレラップ派ですが、ラップを使うたびに母を思い出します。
デンキンバシラ君は、今でもデンキンバシラと言っているでしょうか(^^ゞ
Commented by saheizi-inokori at 2021-03-06 23:21
> pallet-sorairoさん、悲しいことに大分前に亡くなりました。
でもほかにも何人かそういっていたような気がします。
Commented by reikogogogo at 2021-03-07 00:00
笑いました!長野県人の友人と話をすると、「デンキンバシラ」になるの。
私も子供の頃、電信柱といわず、デンキンバシラと言ってた。
それと信州が恋しくなる言葉に「ずくなし」という言葉、長野の友人には通じます。
Commented by vitaminminc at 2021-03-07 07:59
ニューヨークみたいに岩盤地質なら、そしてお金をかけられる都市部なら話は別ですが、虚弱地質の日本、地中に電線を埋めるのは不安しかありません。地震のたびに電気の復旧が絶望的になるような気がして。
それに、鳥が電線で体を休めている光景、私も好きですね。強風の日のエオルス音が怖くて仕方ないのですが、それでも地中に埋めてくれとは思いません!
鉄塔も風情あり。好きな小説の1つ「鉄塔武蔵野線」(絶版らしい)で、鉄塔には実に様々な姿形があることを知り、以来見る目が俄然変わりました。
Commented by saheizi-inokori at 2021-03-07 10:09
> reikogogogoさん、そうですか、あれは方言だったのですか!
青っ洟も北国の風物詩ではありました。
ずくなし、に、ごしたい、ふる里の言葉は懐かしいですね。
Commented by saheizi-inokori at 2021-03-07 10:14
> vitaminmincさん、「鉄塔武蔵野線」(銀林みのる)、未知の作家です。
図書館にあるかな。
佐伯一麦の「鉄塔家族」という小説もよかったですよ。
鳥たちをホームレスにしないためにも、デンキンバシラを残しましょう。
Commented by 平名 at 2021-03-07 20:31 x
電線に雀が三羽停まってて、何てのも懐かしいが此れからは上水道、下水道、電線、各種cableは地下へか⁈ 田舎でないと風情は無くなる、、 でもどうなるか
Commented by saheizi-inokori at 2021-03-08 09:36
> 平名さん、土建国家はしぶといですからなあ。
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by saheizi-inokori | 2021-03-06 12:06 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(10)

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