大晦日の朝に

今朝も早よからカンテラさげ、ちゃあいないけど大洗濯してるうちにだんだん気分が沈み込んできた。
いろいろ悩ましいことの多い、一年をなんとか過ごしてきて、その悩みの相当部分をクリアしたと思ったらコロナという難敵が控えていた。
きのうなど、せっかく次男夫婦と柴犬椎ちゃんが来てくれても、マンションの玄関で立ち話をしてお別れだ。
何がなくとも老い先短い、悔いのみ多い老人が、まいにちこんなことをやっていてどうする。
血圧を測ると、このところ落ちついてきたのに、再び１６２ってやがる。でも、ながらで「新日本風土記　東京紅白歌合戦」に出てくる、懐かしい歌のそれぞれにまつわる山あり谷ありの人生を見ていると、身につまされることも多く、「７８年の人生には楽しいこと・嬉しいことも人並みにはあったし、よく頑張ったことだってあるのだ。今こそ悩みも悔いも多く、この先さしたる楽しみもなさそうだけれど、それをそういうものとして我が身に引き受けて生きて行くしかないのだなあ」と思えてきた。政府が何兆円という金を湯水のように蕩尽し、総理大臣などが平気で嘘や薄っぺらなお為ごかしをしゃべる。
金の価値と言葉の価値がすっかりなくなってしまい、その結果もあって命の価値も安んじられているようななかで、なんとか生きて、政府にＮＯ！を云い続けるのは満更価値のないことでもないだろう。
そんな風にして、気を取り直して、テレビはまだ続いていたけれど、身支度をして魚屋に行った。
きのうはスーパーで野菜類を買い出し、今日はマグロの刺身を少しばかり。
空いてるぞ、と思ったら開店２０分前、「ごめんね、寒いとこ」の声を背中に聞いて、近辺を散歩する。この寒さの噴水というのも乙なものだ。時間に戻ると既に数人オバサンたちの列、「間開けてね」とオジサンがなんども叫ぶけれど、体が云うことを聞かないようなおばさまたちだ。
その癖にレジでの時間のかかることったらない。
ぼくは小さな「赤身の冊」を買って持って行った保冷バッグにしまいこむ。駒沢公園のカフエで一休みしたい気持ちを抑え込んで、もう一軒スーパーにより厚揚げなどを仕入れて帰る。
子供の小さいころは、坂道をなんども往復して５日間分の食材を買ったことや、今頃の時間には家族そろって大掃除もしていたことなども思い出しつつ。