中村哲さん、ありがとう

久しぶりに桜新町に出て、まずは赤ひげ先生のところで皮膚の薬を処方してもらい、Ｆ＆Ｆででかいキャベツ一球、白菜4分の一、ニンジン、サトイモを買って、郵便局でちょっと並んで年賀はがきを手に入れる。帰宅して年賀状表裏の印刷と一言記入、前のプリンターに比べて印刷速度が速く書くほうが追いかけられる。
字を間違えそうになるし、うまく書けない。
考えてみればこれが最後の年賀状になるのかもしれないのだから、もっと一字一字ゆっくりキチンと書けばいいのだが、ボールペンが先走って、ゆっくり書くことができない、クシャクシャだ。
むかしは宛名もぜんぶこのクシャクシャで送っていたのだから、思いだしても冷汗が出る。
何百枚も、晩酌の後一杯機嫌で書き殴ったこともある。

きょねん、3分の二ほどの人には「もう年賀状をやめます」と書いてだして、ことしはやめられない130人ほどの顔を思い浮かべながら、なにか書き添えるのだが、なかなかこれという文言が浮かんでこない。
相手はお互いに見せあうわけじゃないのだから、同じような文句でも構わないとは思うものの、書いてる自分が同じ文句では気がさす（それなら印刷じゃないかと思う故か）。

ことしは引きこもり生活だったせいか、年のせいか、過去を振り返ることが多くなり、反省することばかり増えている。
その時は人々に支持されていると思って、やりたいようにやっていたことが、いかに一人合点で周りの人の理解をちゃんと得ていなかったか、また間違っていることもあったかが今になって見えてくる。
そんなことを思いながら、先輩たちには、そんな自分を我慢して面倒を見ていただいたことに感謝していますと書いた。５時前にはすべて完了。
使っているプリンターの故障から始まってメーカーとの相談、けっきょく新しいプリンターをアマゾンに注文した。
それが予定日を過ぎても届かないので、いったんは年賀状を諦めたのを思い直してアマゾンと交渉し、代替機を送ってもらい、それじゃあと図案を決めたり売り切れていないかと心配しながら年賀はがきを買いに行き、その日のうちに130枚完成したのは、ジジイにしては素早かったなあ、と自己満足に浸りながら、投函がてらちょっと散歩。
暗くなった公園で、さっきまで誰かが漕いでいたのだろう、ブランコだけが揺れていた（写真では止まっちゃったけど）。さっさと国会を閉じてしまって、議員は里帰り、なかには酒盛りをして酔っ払ってすっころんで救急搬送された奴もいる。
ＧＯＴＯも昨日まで停止しなかったくせに、今頃になって、「コロナには年末年始もないのだから、国民は静かに暮らせ」とぬかす。
医療関係者の年末年始をどうしてくれる。

右肩急上がりの感染曲線を示した専門家が、「これは勝負の三週間にどれだけ人びとが活発に動いたかを示します。政治家や専門家の言葉が人びとを（自粛の方向に）動かすことができなかった」と語る。
人々はＧＯＴＯキャンペーンとお気楽に「ガースーです」という政治家や「人の移動が感染を増やすエビデンスはない」という専門家の言葉に動いたのだ。
その証拠に，ＧＯＴＯ停止を言ったあとの帰省列車は閑散としている。夜、中村哲さんのドキュメントの終わりの方をみた。
アフガニスタンの人々が傭兵の銃をツルハシとスコップに持ち替えて、人海戦術で難工事に精を出す。
小柄な中村さんの「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る」という言葉を象徴する映像だ。
艱難辛苦のあと竣工した運河からの水を浴びて燥ぐ子供たちとそれを見守る中村さんの笑顔が素晴らしかった。
苦しく厳しい生活を送っている人々だが、中村さんに接して得た幸せは大きいとおもう。
運河ができたこともそうだが、中村さんという奇跡の人間にじかに接したという幸せだ。
中村さんの葬儀で、息子さんが挨拶の冒頭で中村さんといっしょにいて殺された人たちに謝り哀悼の念を表し、これを亡き父も望むだろうと言った言葉にうたれた。