パニックの傲慢から謙虚な当惑へ 「21Lessons 21世紀の人類のための21の思考」(ユヴァル・ノア・ハラリ)

赤坂のホテルで「送る会」で献花して11時前、午後二時半のCT検査までたっぷり時間があった。
水を飲むほか口に入れてはならないというので、カフエで読書というのもできない。
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電車が空いているので、二子玉川まで乗ってみずほ銀行で通帳三冊の記帳と繰り越しをする。
一冊にまとめたいのだが、振替の変更などの手続きが面倒くさい。
銀行から、1月18日からe口座に切り替えだとか、一年以上記帳していないとどうのこうのとメールが来たので、とりあえず記帳したのだ。
世の中が便利になって、ぼくにはどんどん不便になっていく、パスワードとかいわれるとストレスを感じる、心臓も参るわけだ。
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どうやって時間を過ごすか、空いているバスに乗ろう。
心臓が参ってペースメーカーをいれたお陰でバスの運賃が半額110円、遠回りでもなんでもしてやれ。
車窓を眺めてわくわくする気持ちが、まだあるぞ。
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次大夫堀公園とか、鎌田とか、数年前に成城から歩いてきた道を逆走している。
こんなに歩けたのが嘘みたいだ。
そうそうトイレを探して歩いたっけ。
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病院についてもまだやっと12時を回ったところ。
受付に行く途中で主治医に遇う。
あら、似てるなあと思いつつ通り過ぎて帰りにもう一度遇ったら間違いないので、挨拶する。
寝ぼけたような顔をしていたのは、察するに昼休みにどっかで一寝入りしたのではないか。
循環器内科の部長だが、コロナ対応もやっていると看護師が言っていた、お疲れだ。
さいわい空いているロビーのそのまた孤島を見つけて本を読む。
一時半に水を買ってなんとかいう薬を飲む。
心臓のCTもやったことがあるはずだが、こんな薬を飲まされるのは初めてだ。
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造影剤の注射で頭が熱くなるのは気持ちがいいくらいなものだが、尻も熱くなったのはチト怪しげな感じ。
検査技師がかがみこんで大きな声で話しかけるのはふだんならいいけれど、今は気になった。
やれやれ、さあ帰ろうと思ったとたん、マンションのカギを忘れてきたことが閃いた。
いつも履かない黒の革靴、短靴にするか半長靴にするかとか云ううちにバスの時間が迫って飛び出してきた瞬間をフラッシュバック、それでもバッグのなかをガサゴソしたが、やんぬるかな。
折あしく、カミさんも外出なので、用賀駅のDOCOMOでスマホの充電をしようと思ったら、無料サービスの充電器がなくなっていて、なんやら充電器の自動レンタル機らしきものがデンと置かれている。
スタッフはみな忙しそうで振り向いてもくれない。
ようやく一人、目があったのでSOSしたが、「対応中」と別の男の子が代わる。
これもまた、対応中だから待ってくれ、一人でやるならこれを、と説明カタログを見せて「政府の(機械)だから面倒なのです」という、やんぬるかな。
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(現役時代には、よく買ったピンバッチ、こんな高くはなかったけれど)

駅前の喫茶店で本を読む。
いい調子になってきたら、5人のオバサングループが入来、やんぬるかな。
ちょうどカミさんが帰宅するというラインがあって救われた。
アチコチチョコチョコ歩いて一万歩を超えた。
それだけ歩けたことを良しとして夜はすき焼き。
スマホで注文した佐賀の山下さんの肉、うまかったぞい。
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くだらないことばかり、うだうだ書いてしまった。
ハラリの言葉をひとつ。
私たちは、この世界のためにアップデート版の物語を創り出す任務を担わされた。産業革命の大変動が二〇世紀の新しいイデオロギーの誕生につながったのとちょうど同じで、来るべきバイオテクノロジーとITの革命も斬新なバージョンを必要としそうだ。だから今後の数十年間は、真剣に内省を行い、新しい社会モデルや政治モデルを考案する時代になるのかもしれない。自由主義は、1930年代と60年代の危機の後にしたように、またしても自らを作り直し、かつてないほど魅力的になって甦ることができるだろうか?伝統的な宗教やナショナリズムは、自由主義者が思いつかないような答えを提供し得るだろうか?そして、古来の叡智を活かして、現代にふさわしい世界観を作り上げることができるだろうか?それともひょっとしたら、過去ときっぱり訣別し、古い神々や国家ばかりか、自由と平等という現代の核心的な価値観さえも超越する、完全に新しい物語を生み出す時が来たのだろうか?
現時点では、人類はこうした疑問に関して合意に達するには程遠い。人々が古い物語への信頼を失ったものの、新しい物語はまだ採用していない。幻滅と怒りに満ちた虚無的な時期に、私たちは依然としてある。ではどうすればいいのか?最初のステップは、破滅の予言を抑え込み、パニックモードから当惑へと切り替えることだろう。パニックは傲慢の一形態だ。それは、私はいったい世界がどこへ向かっているか承知している(下へと向かっているのだ)という、うぬぼれた感覚に由来する。当惑はもっと謙虚で、したがって、もっと先見の明がある。「この世の終わりがやって来る!」と叫びながら通りを駆けていきたくなったら、こう自分に言い聞かせて診て欲しい。「いや、そうではない。本当は、この世の中で何が起こっているのか、どうしても理解できないのだ」と。
というわけで、僕は21のレッスンの8つ目にさしかかっている。
読めば読むほど、お先真っ暗だ。
日本にスガたちという災厄をかかえ、世界がお先真っ暗、これでは心不全になるなあ。
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早くトンネルを抜けて光の方へ歩いて行きたい。

柴田裕之 訳
河出書房新社
Commented by 20070707open at 2020-12-12 13:32
>世の中が便利になって、ぼくはどんどん不便になっていく
openも同じような気持ちです。

ほほう、saheiziさんちも「すきやき」でしたか。
お肉は佐賀牛?美味しいに決まってますね♪
Commented by ikuohasegawa at 2020-12-12 15:00
まだ、記帳の繰り越しをすると有料などということはないでしょうね。
Commented by saheizi-inokori at 2020-12-12 16:37
> 20070707openさん、送料無料でした。こんな便利ならついていけます。
Commented by saheizi-inokori at 2020-12-12 16:38
> ikuohasegawaさん、記帳しないでいるとそんなことになりかねないようで足を運びました。
Commented by りんご at 2020-12-12 20:37 x
当惑はもっと謙虚でしたがって、もっと先見の明がある=

コロナで規制が一段厳しくなった朝にありがたい記事です! 

20年前に今話題のワクチンを独チュービンゲン大学で組み
立てたIngmar Hoerr氏(52)が本日インタビューで音楽が
縁で妻と出会った事やワグナーを楽しそうに話してました❣
Commented by saheizi-inokori at 2020-12-12 22:28
> りんごさん、音楽がとりもつ縁、それくらいはAI抜きでありたいものです。
Commented by doremi730 at 2020-12-13 00:44
まあ、1万歩も歩かれて、大丈夫でしたか?
バッグも礼装用に替えられたりすると
いつもいれているものを失念しますよね。。。
お疲れ様でした。
ふふ、我が家もすき焼きだったんですよ♪
Commented by j-garden-hirasato at 2020-12-13 07:51
この釣り場は、見覚えがあります。
コロナ禍では、釣り人も少ないのでしょうか。
Commented by saheizi-inokori at 2020-12-13 10:13
> doremi730さん、平服と云うことでしたから、リュックをしょって行きましたよ。
クロークに預けられますから。
すき焼き、日本中、いい匂いがしたことでしょう。
Commented by saheizi-inokori at 2020-12-13 10:14
> j-garden-hirasatoさん、平日の朝のせいか誰もいなかったです、さてここは釣り堀でしたっけ。
Commented by at 2020-12-13 10:20 x
小朝が協会の理事だった頃、ある提言をすると、
「アンちゃん、わかるけど、オレがあの世へ行ってからにしてくれや」
と言われたそうです。ああ!


Commented by saheizi-inokori at 2020-12-13 10:34
> 福さん、それでまだ行かないのですか、憎まれ親父は。
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by saheizi-inokori | 2020-12-12 13:02 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(12)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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